鳴雪や今宵は湯婆も知らず暮れ
[今日のテーマは、内藤鳴雪のこと (07/02/21 作)]
「歌舞伎の日阿国の踊りベリーに見ん」で書いたように、昨日2月20日は「鳴雪忌」(別名、老梅忌)であり、俳人・内藤鳴雪の亡くなった日である。
同氏については、メモ書きさえも試みたことがないので、一日遅れの記事になるが、ちょっとだけ触れておきたい。
まあ、今日は和気清麻呂の忌日で、古代史好きな小生、和気清麻呂の周辺などを書こうとも思ったが、和気清麻呂については、「和気清麻呂 - Wikipedia」や「護王神社その2 和気清麻呂と道鏡事件 とんでもとらべる京都編:京都のお寺と神社」など結構、情報が多いし、今は新たな情報もないので後日を期す。
← 『鳴雪自叙伝』(岩波新書)
ただ、宇佐神託事件などで忠臣として祭り上げられる彼だが、「道鏡 - Wikipediaに見られるように、「(略)このような俗説には、称徳天皇の死をもって天武天皇系の皇統が断絶して天智天皇系の皇統が復活した事から、天智天皇系の皇位継承を正当化するために天皇と道鏡を不当に貶めているのではという指摘もある」ことだけメモしておく。
ゴシップに満ちたような、こうした奇矯な事件の黒幕は、あるいは歴史の真相は藪の中なのだろうとは思う。
「愛媛の偉人・賢人の紹介 内藤鳴雪」なる頁を覗くと、略歴も含め、大よそのことがつかめる。
転記は拙そうなので、「弘化4(1847)年4月15日 江戸松山藩邸に生まれ」、「大正15(1926)年2月20日 東京麻布の自邸で80歳で永眠 」とだけメモッておこう。
「東雲神社(内藤 鳴雪)」(ホームは、「愛媛大学図書館 - Ehime University Library」)には、彼の代表的な句、というか、小生も好きな句が載せられている:
東雲のほがらほがらと初桜
上掲の頁で、「俳号「鳴雪」は、「世の中のことはなりゆきに任す」という意と本名「素行(なりゆき)」をもじったもの」であることを教えられた。
この頁には、下記の句も載せられているが、この句の意味合いは、同頁を覗くと分かる:
詩は祖父に 俳句は孫に 春の風
「道後公園(内藤 鳴雪)」には下記の句が載っている:
元日や一系の天子不二の山
結構、めでたい句。意味合いを知りたい方は上掲の頁をどうぞ。
「俳句の雑学小事典」の中の、「内藤鳴雪(俳句以前)」には、彼の紹介と共に、以下の句が紹介されている:
夕月や納屋も厩も梅の影
初冬の竹緑なり詩仙堂
雀子や走りなれたる鬼瓦
朝立ちや馬のかしらの天の川
矢車に朝風強き幟かな
内藤鳴雪については、小生は何年か前、以前も紹介した『鳴雪自叙伝』(岩波新書)を読んだだけである。本書に付いての感想は、今回は割愛する。例えば、「朔北社の「この本おもしろかったよ!」 『鳴雪自叙伝』(岩波文庫)」などが簡潔で分かりやすく、参考になる。
(余談だが、古代史ファンの小生、邪馬台国論争史上の重要な人物である内藤湖南の本を買いたくて、内藤という名前だけで書店の書棚から抜き出し、買ったのだった。帰宅して、早速、読み始めたが、どうも、話が合わないというか、辻褄が合わない。全然、古代史の話が出てこない。そうだよね! 内藤湖南と内藤鳴雪は別人だもんね! 思い出しても顔から火が噴く!)
内藤鳴雪は俳人なのだし、彼の句をもっと詠みたい。
「日誌>2.20 内藤鳴雪忌 (追記) きのふはけふのものがたり」に多数、紹介されていて、助かった。
(ただ、このブログ「きのふはけふのものがたり」は、コメントもトラックバックも不可となっているのが残念!)
この頁には、「夕月や納屋も厩も梅の影」や「大盃落花も共に呑み干ぬ」「我声の吹き戻さるゝ野分かな」「秋の雲ちぎれちぎれてなくなりぬ」「冬の夜や子犬啼き寄る窓明り」などなど、味わい深い句が並んでいる。
下記の句が絶句だとか:
たゞ頼む湯婆一つの寒さ哉
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