« 雪降る日待てど暮らせどこんものか | トップページ | 夢うつつ気づかぬうちの月替わり »

2007/02/01

怪談は封印したの怖いのよ

[テーマは、「白いドレスの女」?]

 昨日は営業の日。久しぶりにやや長距離のお客さんが付いて、車中ではずっとお喋り。
 その内容は、堅苦しく言うと職業上知りえた秘密ということで、まあ、小生の脳裏に残っているだけ。それも、既に大半は薄れ行きつつある。
 まあ、お客さんがお喋り好きということ、そして好奇心旺盛な方だったので、小生への質問が多かったとは言える。
 よって、小生の返事へのレスが折々お客さんからあるばかりで、その意味で、昨夜の話を録音しておいて、再生したって、実害(?)が及びえるのは小生のみなのだろうが。

Oeuvre_burnatprovins_etres_abime1_1

← Burnat-Provins, Marguerite(1872 - 1952)Les êtres de l'abîme, 18 mai 1921.  aquarelle et mine de plomb sur papier, 42 x 45.5 cm.(「Collection de l'Art Brut」より)

 一時間ほどのドライブの末、そろそろ目的地に近づこうという頃、幽霊の話が出てきた。幽霊を信じるか云々。
 あまり込み入った話など車中では(小生は真面目に真剣に運転中だった!)難しい。
 幽霊が存在するか否かは…。信じる人の心中には存在するだろうと無難な返事をしておいた。
 小生は一人暮らし。
 仕事を終え外出から帰宅すると、部屋は真っ暗。冬など寒い。
 夜、寝る時には、人によっては明かりを灯したまま、という人も居るとか。

 お客さんは問う。幽霊の存在は信じないのか、一人きりの暗い部屋に帰って淋しくはないのか、いや、幽霊など出るのではと怖くなることはないのか…。

 実は話の前段として、タクシードライバーの経験談(多分。でも多くは人からの噂話や又聞きが多いようだが)で、怪談モノ(お化けモノ)、幽霊モノがあったりするが、運転手さんはそんな経験はないのかという話題がチラッとあった。
 小生は仲間内でそんな話を聞いたことがない(というより、飲み会にはいかないので、じっくりゆっくりそんな話題などで花が咲く機会を持ったことがない)。
 自分にもそんな経験はない。
 でも、お客さんは執拗に訊いてくる。
 ないことはないでしょう。何かあるでしょう。

Oeuvre_burnatprovins_frilute2_1

→ Burnat-Provins, Marguerite(1872 - 1952)Frilute le peureux, 14 mai 1915.  aquarelle et mine de plomb sur carton, 37.3 x 33 cm.(「Collection de l'Art Brut」より)
 
 でも、小生には本当にない。
 ないのが口惜しいので、何年か前、タクシーの怪談話を創作したことがあるくらい。小生には珍しいサスペンス調の怪談話である(比較的読まれた作品だ!):
 無精庵徒然草版「白いドレスの女」(コメント欄が楽しい)
 無精庵方丈記版「白いドレスの女」(上記の記事から創作部分のみを抜粋)
 なお、この幽霊話にはネタ元がある。「幽霊の話を恐る恐る…」の中の「3.やっぱり幽霊の話を恐る恐る」などを参照のこと。小生の創作の秘密の一端が分かるかも?!

 まさか、創作の話をするわけにもいかず、最後まで自分にはそんな風情のある話はありませんで通したのだった(嘘ではないのだし)。

 さて、車はいよいよ目的地に近づいている。当該の下町の自慢などお客さんがされる。
 幽霊話の余波は、それでも続いている。
 幽霊は信じないのか。怖くないのかと、お客さん。
 小生は答える、
「人間のほうが遥かに怖いですよ」と。

Oeuvre_burnatprovins_anthor3_1

← Burnat-Provins, Marguerite(1872 - 1952)Anthor et l'oiseau noir, 14 octobre 1922.  aquarelle sur carton, 37.6 x 33.2 cm.(「Collection de l'Art Brut」より)

 それって、凄い深い! とお客さん。
 驚かれても困る。苦し紛れの、思い付きを言ったに過ぎないのだし。

 現実の中の人間の恨みや情念のほうが幽霊より怖い。
 小生に言わせれば、幽霊がどうしたこうしたなんて言っている人は、余裕があるんだ、言ってみれば暇なんだ、人間の執念の怖さを知ったら、幽霊なんて、どうってことないですよ。
 
 小生としてはかなり行き過ぎた答弁になっている。 
 それというのも、信号、三つ目の角で止めてよとお客さんが言うので、話にケリを付けてしまいたかったから、という事情もある。
 幽霊話は厄介だ。一筋縄では収まらない話題。
 また、下手に深入りも出来ない話でもある。
 安直であっても、決め付けめいていても、結論めいたことを言って収めておきたい……、この話題から逃げたいというのが本音でもあったのだ。


 文中の挿画は、「美に焦がれ醜に嵌って足掻く日々」などで既に参照させてもらった、「Collection de l'Art Brut」なるサイト。
 小生、コノサイトに嵌っている。どれもこれも凄い!
 絵画の可能性、それ以上に、人間の心の奥深さを感じてしまう。

 文中に掲げた絵の描き手Marguerite Burnat-Provinsについては、日本語のサイトでは情報を見つけることができなかった(誰か教えて)。
 但し、下記の本(彼に付いて研究したと思われる)があるようだ:
Marguerite Burnat-Provins, 1872-1952 : de l'art nouveau a l'art hallucinatoire』(sous la direction de Helen Bieri Thomson et Catherine Dubuis/avec des contributions de Helen Bieri Thomson ... [et al.]. Fondation Neumann/Somogy, c2003)
 
 それにしても、歳月の過ぎ行く速さは凄まじい。今年も残すところ11ヶ月となった!

|

« 雪降る日待てど暮らせどこんものか | トップページ | 夢うつつ気づかぬうちの月替わり »

タクシーエッセイ」カテゴリの記事

創作・虚構・物語」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/52847/13741190

この記事へのトラックバック一覧です: 怪談は封印したの怖いのよ:

« 雪降る日待てど暮らせどこんものか | トップページ | 夢うつつ気づかぬうちの月替わり »