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2007/02/09

鼓聴きハナ肇から藤舎花帆へ

2月9日 今日は何の日~毎日が記念日~」を覗くのがこの頃の習慣というか癖のようになっている。
 今日もいろいろあったし、今日にちなむ事件や人物が数知れず居る。
 東京は京都や奈良ほどではないにしても、歴史がそれなりに刻まれ詰まれてきている。
 都内を歩いたり、車で走っていても、意外な場所に思いがけない歴史があったことを知らされる。
 ただ、思うに、歴史というのは、あくまで記録に残されたものだとしたら、日本では京都や奈良に敵わないが、記録に残らないもの、痕跡の形でしか残っていないものにまで範囲を広げたら、埋立地でもない限り、日本列島の大半の地は、誰かが生まれ生き暮らし死んでいった地であるはずである。

Da07481

→ 『山田洋次・全映画 なつかしい風来坊』(DA-0748(セル) 松竹株式会社ビデオ事業室)

 小生など、ふと、黄昏てみたくなる心境の時など、アスファルトやコンクリートの下に土があり、恐らくは誰彼の血肉か骨の一部だったものが風化して痕跡さえも留めなくなっているに過ぎない。
 幽霊ではないが、土には、あるいは木々には、そして空気にさえ、古(いにしえ)を生き過ぎていった誰彼の骨肉の一部を成していたはずなのであって、それが今風に言えば原子(や分子)の形に還元され、あるいは今は他の形へ変幻してしまっているだけなのであり、そうした原子などの微粒子には生き死んだ人の思いが乗り移っている…というのは大袈裟だとしても、思いの余波や余韻が微細な振動や波として今も微かに震えている……そんな風に思えたりする。

 余談はともかく、今日という日にハナ肇という(以下、他の方々も敬称を略させてもらうけれど、畏敬の意味を篭めてなのでご容赦を)クレージー・キャッツのリーダーであり(ドラムスを担当していた!)、幅広い芸能活動を展開された方が生まれている。

 小生は、物心付いて間もなく我が家にやってきたテレビに圧倒的に影響された人間である。ガキの頃は、それでも近所の連中と遊びまわったほうだけれど、宵ともなると、漫画の本を手にテレビ、というのが小生のパターンなのだった。
 テレビ番組で印象的なものは数々あるが、筆頭の一つに上がるのが、「シャボン玉ホリデー 」である。
 今回はこの番組には深入りしないが、この番組においても重要な出演者がクレージー・キャッツであり、番組の最後にザ・ピーナッツと共に出てくる、ハナ肇であり、彼の白い立派な歯が今でも印象的である。
 さて、どんなチームにおいてもリーダー役というのは重い責任を担っている。
 ザ・ドリフターズでもいかりや長介という立派なリーダーが居る。
 余人には想像も付かない苦労があるのだろう、それがそうしたリーダーを人間的にも陶冶するのだろうか、立派な役者になってくれた。いかりや長介が出演しているだけで番組に重厚感が漂ってくる。
(我がサンバチーム・リベルダージ(G.R.E.S.LIBERDADE)にも幹部となっているリーダーたちがいる。いつもながら畏敬の念で見てしまう。)

 さて、ハナ肇を単なるタレントに留まらず、役者として見直す切っ掛けとなった映画があった。
 それは、『なつかしい風来坊』で、「1966年に、松竹が制作、公開した山田洋次監督の映画。ブルーリボン賞「主演男優賞(ハナ肇)と「監督賞」をとった初期の山田洋次作品ではもっとも評価の高い作品である」という。

 ちなみに、この映画は、「脚本:森崎東、山田洋次」なのだが、この森崎東という人物は、「京都大学法学部を卒業し、映画雑誌の編集を経て、1956年、松竹京都撮影所に入社」という変わった経歴の持ち主。
「その後、大船撮影所に移り、野村芳太郎監督、山田洋次監督の助監督、脚本などを手がける」という。
『男はつらいよ・フーテンの寅』や『釣りバカ日誌スペシャル』、『美味しんぼ』などに関わっている。
 
 小生が見たのは、放映された66年ではなく(あるいは放映された頃に見たかもしれないが、記憶には残らなかった)、今から十数年、それとも二十年ほどの以前、テレビで放映されたのを、たまたま観てしまったのである。
 まさにたまたまだった。
 たまにテレビで映画を観ることはあるが、大概、CMが入ったところでチャンネルを切り替え、そのまま他の番組を見てしまうかスイッチを切ってしまうのが小生の習いである。
 が、『なつかしい風来坊』は、目が離せなくなってしまった。終幕まで見尽くしてしまった。
 不覚ながら涙を流してしまった(小生が映画館で映画を観ない理由は、幾つかあるが、涙もろいってのもある!)。
 独りでテレビを見る僅かな特権は、番組を選べること、そして涙が流れてきても、誰憚ることなく流せることであろう(その代わり、笑いも涙も、誰とも共感することはないのだが。ひたすらテレビ画面に突っ込みを入れるのみ)。

 悲劇なのか喜劇なのか分からない、こうした映画は脇役もだが、主役の演技力や、それ以上に人間味が作品としての成功に深く相関していると思う。この映画については、主役はハナ肇でなければならなかったのだ!

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← いいなー、欲しいなー! えっ、何がって? 勿論、団扇(うちわ)! 小生、団扇を集めるのが趣味。客待ちしながら、暇の徒然に涎を垂らしながら撮った!

 さて、今日は久しぶりに音楽拾遺というか、昨日、営業中に聴いた音楽や曲のことをメモするつもりだったが、ハナ肇さんの存在感に圧倒されて、書く余裕がなくなった。
 例えば、昨日は、「ソレアレス」を聴いた。
「12拍子系。3,6,8,10,12拍目にアクセントがある。フラメンコの母とも呼ばれ重要な形式。曲の途中にエスコビージャを挟む。全体にテンポの暖急が激しく見せ場の多い踊り」とあるが、まさにフラメンコの基本中の基本となる形式であ、その形式に則った曲を聴く機会を得たわけである。
 今年の一月に催されたリベルダージの新年会で、生のフラメンコショーを初めて見て、一遍にファンになってしまっただけに、嬉しい機会に思いがけなくも恵まれたのだった。
 悲しいかな、こうした機会にめぐり合うことは、当分、ないだろうけど。
(フラメンコつながりというわけではないが、夜半を回って夜中の2時からは、NHKの「ロマンチックコンサート」でスペインの曲の特集を堪能することができた。特に、「アルハンブラ宮殿の思い出」やパブロ・カザルスの「鳥の歌」を最初から最後までじっくり効けたのは僥倖だった。……それだけ仕事が暇だったってことで、悲しい!)

 同じく昨日、モーツァルトの「プラハ交響曲」を聴いた。小生にとっては、少なくとも題名を銘記した上でじっくり(でもなかった。一応、営業中だったし)この曲を聴いたのは初めてだと思う。
 小生には、モーツァルトの新しい面を発見したような嬉しいショックを覚えた。

 久しく自宅での音楽は自制していただけに(自由になる時間が少ないので、読書と執筆を優先する意味もあり、音楽は我慢していたのだが)、その反動というのは、食事におけるリバウンドのように激しく、今も、ムソルグスキーの「展覧会の絵」とシュトラウスの「ツァラトゥストラはかく語りき」(クーセヴィツキー指揮)を繰り返し繰り返し聞いている。食事の時間以外は、音楽が部屋を満たしている。

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→ 都内某所にて丑三つ時に月影など。画像では満月のようだが、実際は半月。

 昨日というより、多分、今週ずっと出演しているのだろうが、藤舎花帆(とうしゃかほ)という方の話(彼女へのインタビュー)と共に、当然ながら彼女の演奏を聴く機会に恵まれた。
(NHKラジオ第一・ラジオ深夜便にて。「ないとエッセー」という番組でのことで、「鼓の魅力を未来へ」という題名だった。)
 もともとは麻生花帆だが、「藤舎流名取師範:藤舎呂船師より藤舎花帆の名を許される」ということで、今は、藤舎花帆という名を使っているようだ。
 そう、演奏というのは、鼓(つづみ)と囃子(はやし)なのである。
 鼓奏者・藤舎花帆!
 学歴は「東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程(専攻:邦楽囃子)三味線音楽系統で初の博士号を取得」で、若くして第一線で活躍しているし、順風満帆で来たかのようだが、実際は病気との戦いだったり、そもそも女性で鼓に挑戦すること自体、難儀はあったのだった。

 演奏もさることながら、話の中で、師匠か誰かに「千年後の人物が今、演奏(活動)している姿を見ているのだというつもりで」活動するようにと彼女が言われた、というのがあった(生憎、正確な言葉や言い回しは覚えていない)。
 さすがに伝統の厚さを感じてしまう。
 千年の重みと戦っての演奏というのは、想像を絶する。
 余談だが、彼女は「釣りバカ日誌13」にも関係しているとか。びっくり。
 この映画、我が富山が舞台なのだ。奇縁?!

 調べてみたら、彼女、音楽担当でもなんでもなく、キャストとして出演していて、名前も麻生花帆であり、「受付」の役だった
 小生は当然ながら気づいていない。
 どうして、こうした役で出演したのか、背景事情など知りたいものだ。


 車中ではラジオ(音楽)三昧なので、他にもあれこれ聴いたが、もう、スペースが尽きた(書く力も尽きた)!

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