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2007/02/24

雨の日の猫の仕草に目をとどめ

 最近知ったあるブログ(「惑星ダルの日常」)を徒然に読んでいたら、「雨猫」という奇妙な名称(題名)を見つけた。
降り始めた午後5時頃、雨粒は大きくなく小糠雨程度。だからでしょうか、茶トラの野良猫はいつもの植え込みで丸くなったままでした」に始まって、「雨の日の野良猫を見ると気持ちが寂しくなります」に終わる、何気ない、短い日記。

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→ 「連句・俳句季語辞典 十七季」(東 明雅、丹下博之、佛渕健悟 編著、三省堂)

 でも、猫好きな人なら、ああ、そんな風に雨降る日、屋外の野良猫を眺めたことがあるなって、ふと、共感・同感しつつ読む。
 昨日の営業は日中はずっと雨だった。信号待ちなどの際、折々路上に見え隠れする猫の影にしばし目を休める。

 さて、でも、小生、「雨猫」という言葉が気になってならない。
 どうも、言葉への偏執の気味が小生にはあるのかも。
 で、今日は、「雨猫」って何?

 早速、ネット上の辞書で「雨猫」を引いてみたが、「該当する単語は見つかりませんでした」と言うだけ。
 素っ気無いね。
「一所懸命調べてみましたが、生憎、見つかりませんでした。すみません」くらいは言ってくれないものか?!

 あるいは、もっと大きな辞書なら見つかるのかどうか。
 それとも、他を当ってくださいとか?

 もしかしたら俳句の季語に、一般には馴染みではない(あるいは昔はそれなりに親しまれていた)言葉の事例があるのかもしれないと、手元の「連句・俳句季語辞典 十七季」(東 明雅、丹下博之、佛渕健悟 編著、三省堂)を捲ってみた。
 「あめ」の項を繰ってみても、「雨祝(あめいわい)」や「雨休(あめやすみ)」などは見つかるが、該当するようなどころか、似て(非なる)言葉すら見当たらない。

 ところで、この「雨休」だが、字面からすると、少なくとも小生などは、梅雨の時期などに雨が降り続き鬱陶しい日々が続いていて、ふと雨が止んだ日(時間帯)がある、そのホッとする感覚や光景・情緒などを意味する季語なのかと思った。
 ところがさにあらず。季語の一種であり[晩夏・生活]、「日照り続きの後の雨は、農家には恵みの雨で、その日は休んで酒肴を楽しんだ。同類=喜雨(きう)、慈雨(じう)、「雨祝」」だって。
 全く逆の意味合いだった。

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← 岩合光昭/写真と文『ニッポンの猫』(新潮社) 文庫版もあるようだ。


 まてよ。「雨蛙」は「あまがえる」と読む。
 同様に「雨猫」だって、何か特殊な読み方があるやも知れぬ。
 例えば、「あまねこ」「あめにゃん」「あまにゃん」「うびょう」「うねこ」「うにゃー」などなど。
 やや読み方に難があることは小生も感じないわけではないが、何しろ、日本語の難しさと来たら。しかも、俳句・俳諧の世界の奥の深さと来たら、想像を絶するものがあるではないか。
 そう、「猫」は「びょう」とも読むことがあるし、「にゃん(こ)」でもある。

 だったら、小生が知らないだけで、若い人の間で「雨猫」と書いたら、それは「あまにゃん」乃至は「あまにゃんこ」「うにゃー」と読むのは既に常識だよってこともありえないではない。
 時代の変化は激しいのだ。ロートルに時代の激変に追随しろったって、この鈍足じゃ、土台、追いつくのは無理というもの。
(あとで気づいたのだが、ハンドルネームとしての「雨猫」を「あまねく」と読ませている方もいた!)

 が、である。
 ここはネットという武器を使わない手はない。
 早速、「雨猫」で検索をかけてみる。
 検索結果が出るわ出るわ、である。
「雨猫 の検索結果 約 27,000 件」!!
 とてもじゃないが、全部を開いてみるわけにもいかない。
 そもそも、検索エンジンの欠点は(あるいは過剰な親切?)は、「雨猫」という言葉を知りたいのに、「雨」「猫」の二つの語が一緒に含まれているサイトを全部、拾うのである。
 なんとか、「雨猫」は一心同体(?)なのだということを言い聞かせることのできる検索エンジンは開発されないものか。
 
 ま、愚痴や苦情はさておいて。
 上位の数十件を眺めただけの印象なのだが、いまのところ、造語として「雨猫が使われている。主に、題名(テーマ)として使われることが多いということ。
 つまり、少なくとも(上位の検索結果からすると)今のところ、「雨猫」という言葉は辞書に事例として載るという意味では、定着した言葉にはなっていない(らしい)ということが言えそう(断定は避ける。自信がないので)。

 上位では「雨猫」という掌編が登場したり(raincat! 文中、「三毛猫は遺伝子の関係で、ほとんどがメスになる。だからオスの三毛猫は珍しく、ペットショップでもかなり高価だ」という説明が出てくる。気になる。これは猫好きな方には常識なのか?)、「八月の雨猫」というブログが出てきたり、いろいろヒットした。
 中でも、「@nifty:デイリーポータルZ:雨の日、猫はなにをしているか」は、まさにヒット。
 この頁では、「雨猫(あめねこ)」と読ませていて、至ってシンプル。
 だが、雨の日、猫ちゃんたちはどのような場所で雨宿りしているか、どんな生態なのかを多くの画像で見せてくれていて、見ていて楽しくなる。

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→ 加藤由子著『雨の日のネコはとことん眠い』(PHP研究所・文庫 1990年 ISBN: 4569533124)


 と、上位から眺めていったら、八番目で、「惑星ダルの日常 雨猫」に遭遇!

Keiziweb. ver β - 江ノ島の雨猫11 猫の日記念更新」を覗いて気づいた(思い出させてくれた)のだが、2月22日は、「猫の日」。
 だって、「ニャンニャンニャン」と読めるからって。
 にゃんともはや、安易な命名だこと。分かりやすいけどね。


雨なのにお外に出たいとにゃんにゃん泣くので出してあげたらやっぱり濡れ猫となって帰宅したリンリンです」というけれど、猫って雨が好きなのか、嫌いなのだろうか。猫が雨に濡れて可哀想って思うのは、人間様の勝手な思い入れに過ぎない?

 加藤由子氏著に『雨の日のネコはとことん眠い』(PHP研究所・文庫)がある。
 題名はともかく、猫の生態を研究した本らしい(小生は未読)。
 天性のハンターである猫は、雨の日は狩りが出来ないので、本能的に眠くなるというが…。
 でも、雨のシャワーが好きかも知れない。そんな猫がいたっておかしくはないはず。
 それに、そもそも猫に限らず、多くの動物は、一日の大半を寝て過ごしているはず。動いたり、まして働くのは数時間もあるのかどうか。

 猫の暮らしぶりを見ていると、働くことに執着し、一日の大半を働かないと存在意義を疑われるのではという強迫観念に駆られ始めたことから人間が始まったのではって、妙な詮索さえ、したくなる…。
 うむ。「人間を定義する」に新しい定義を加える必要があるかも?!

 つまり、雨の日でなくたって、いつだって寝子(寝る子)しちゃっているのではないか。
 たまたま雨だから、人間も活動ができず、つい、普段だと忙しくて思うようには相手にしてやれない猫の生態を観察してしまい、猫ちゃんたちがほとんど雨宿りかどうかは別にして、寝てばかりだなって気づいたに過ぎないのでは、という勘ぐりもできないわけじゃない。

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← 天の川 ( by kei 「屋根の上の猫」所収)

 たとえば、「猫が顔を洗ったら雨」という諺というか俗信がある。
 猫を飼っている人は、普段の猫の様子から、この諺が当っていると思うだろうか、どうだろう。
猫が顔を洗ったら雨」なる頁を覗いてみると、否定的のようだ。
 猫は普段から顔を洗う(かのような)仕草をしているのであって、雨の日に限ったわけではないというのだ。
 やはり、雨の日は人間様も暇なので猫にちょっかいを出す、猫を眺める、なんて機会が増え、猫が顔を洗うと雨という諺を結びつけるだけなのか(もしれない。分からない!)。

 で、結局のところ、「雨猫」はどう読むのか、さらに、一体、どういう意味合いが付されているのかも分からないままである。
 単に雨の日の猫であり、暇を持て余す人間が身近なペットである猫を暇の徒然に眺めている、猫の仕草に見惚れている、そんな何気ない日常、取り留めのない光景をほんのり意味しているということなのかどうか、まあ、この辺りに留めておいたほうがいいにゃのかもしれにゃい。
 単純に考えると、「雨猫」とは、「猫が顔を洗ったら雨」という諺を簡略化した表現だと思うべきなのだろう。
 でも、それじゃ、面白くないよね! ん? 面白いじゃないかって?
 どっちでもいいにゃ。猫ちゃんさえ可愛ければ!
 

 ここまで来たので、せっかくだから、小生には「月 光 欲」などの「」連作や「知らぬがネロ」などの「黒猫ネロ」シリーズモノがあることを付記しておく。
[せっかくなので、公表当時、「猫扇(ねこせん)」などと略称されたりして、好評(?)だった、「猫と扇風機の思い出」をブログにアップさせました。読んでね!]

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コメント

本文の末尾に紹介した下記のエッセイが読まれている:
「猫と扇風機の思い出」
http://atky.cocolog-nifty.com/houjo/2007/02/post_d47c.html

嬉しい!

投稿: やいっち | 2007/02/25 23:57

Wikipediaに
英語では「土砂降りの雨」を指して「cats and dogs」という。これは猫が雨を、犬が風を起こす…

という記事があります。ここからきているのでしょうか。

投稿: mochi | 2009/05/15 03:25

mochiさん

英語では「土砂降りの雨」を指して「cats and dogs」というに付いては諸説あるようですね:
「知識の泉 Haru’s トリビア ★「cats and dogs」~化け猫話 (=^. .^=)雨降らすぞ」
http://amor1029.exblog.jp/1622734/


(1)北欧の伝説が元になっていて、異様な力をもつ猫が雨を降らせ、犬は風を吹かせるという伝説からきている説。

(2)ギリシャ語で「大雨」を意味する単語の「katadoupoi」か、フランス語で「滝」を意味する単語の「cataracte」などが転じたのではないかという説。

(3)大雨の雨粒が猫や犬を連想させるという説

(4)昔、町の排水施設が機能したいなかった頃、どしゃぶりの雨が降ると、小さな動物が溺れてしまい、雨が止んだ時、その死体が空から降ってきたように見えたからだという説。

(1)有力のようですが。

個人的には、バケツをひっくり返したような雨って表現が好きです(理由は分からない)。

投稿: やいっち | 2009/05/15 22:20

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受信: 2007/02/24 19:33

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