嫁が君…招かれざる友
「季題【季語】紹介 【1月の季題(季語)一例】」を眺めていて、前から気になっていた季語がある。表題の「嫁が君」である。「新年のねずみの事」というが、一体、なんのこっちゃやら。
「冬・新年の季語」の「嫁が君」なる項を参照させてもらうと(「こっとんの部屋」より)、「これは「新年」の季語です。いかにも初々しい嫁の様子などが浮かびますが、その実体は「ねずみ」です。いつもは追い回される存在が、正月の三が日に限っては新年を寿ぐところから、このように呼ばれるのだそうです」とあり、「あくる夜のほのかにうれし嫁が君 其角」なる句が添えてある。
この句「あくる夜のほのかにうれし嫁が君」については、野暮ながら若干の鑑賞を紹介しておく。
「続猿蓑下巻春の部脚注」によると、「正月に合わせて嫁に来た花嫁。改めて正月に披露され、嫁といわれる白々と明ける初夜のあかりのうれしさ、という艶っぽい意味も裏に隠されているらしい」とか。
[ 花鳥風月 ](「花鳥風月【日本の伝統ミュージアム】」参照)の冒頭にある「嫁が君(よめがきみ)【正月の季語】」によると、「新年には祝う心で、忌み言葉として使わないものがあり、呼び名を変えて使っていました。例えば、雨や雪を「御降(おさがり)」、寝るを「稲積む」としていました」ということで、さらに、「ネズミは、日常生活でもっとも身近な存在として、嫌われてもいたし、親しい動物でもあったのは、様々な民話にも表れています。大黒さまの使いとされ、正月にもてなす習慣がありました」という。
ここには、「餅花やかざしにさせる嫁が君 松尾芭蕉」なる句を載せてくれている。
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