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2006/12/01

グリューネヴァルト…絵の奥に息衝く真(まこと)美か醜か

 早いもので、つい先日、一か月分の索引と、埋め草となる雑文を綴ったと思ったら、もう、月が替わって月初め。しかも12月。師走だ!
 今日は何を書こうかな、師走だし、何か師走に関連する雑文でも書こうかなと思ったら、うん? 月初め? ってことは、索引・目次を書く日じゃないか! と気がついた次第。
 とにもかくにも、一ヶ月を乗り切ったわけである。

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← 29日、午後、皇居のお堀脇で信号待ち。

 毎日、何を書く当てがあるわけではない。画面に向ってから考えるのが常。ロッキングチェアーに腰を沈めている間にテーマなどを考えればいいのだが、腰どころか脳味噌まで沈み切ってしまって、アイデアを練るなんて、とてもとても、なのである。
 なので、そろそろブログの記事を書く時間だなとなると、居心地のいいロッキングチェアーを離れる時間ということで、憂鬱というとちょっと違うのだが、億劫だったり、時には途方に暮れたりもする。

2006_1129061129tonai0023

→ 29日の夜、六本木ヒルズ近くにて信号待ち。期待してたけど、誰も乗ってくれなかった! 尚、画像の中の奇妙な数字は、宮島達男氏の手になる「COUNTER VOID」という名のアート作品である。

 でも、時間だって限りがあるので、パソコンに向ってまでクヨクヨしても始まらないので、ネット検索したり、いろんなサイトをダダダーと、あるいはダラダラと巡って……、要するに悪足掻きの時をしばし過ごすわけである。
 とにかく、記事を書くために割ける時間は二時間。しかも、そこにはアイデアを練る時間や、記事を裏付けるネット情報サイトを百以上も検索し、参照するサイトを選び出すための時間が含まれる。

「索引…ソロモンの指環なくとも指絡め」(2006/11/01
「スティーヴンスン…松蔭の面影つまる宝島」(2006/11/02
「グラミン銀行…ユヌスさん銀行の任呼び覚ます!」(2006/11/03
「アントニオ・カルロス・ジョビンから西条八十の周辺」(2006/11/04
「掌編を書きました:悪夢ですらなかった!」(2006/11/05
「白川静…日本語は仮名しき漢字の迷宮か」(訃報 2006/11/05
「蛍光で浮ぶケルトと縄文か」(2006/11/06
「週末あれこれ日記(写真持参篇)」(サンバレポート 2006/11/07
「週初め週末気分そのままに」(サンバレポート 2006/11/08
「寒ブリかズワイガニか白エビか」(2006/11/09
「ロビンソン漂流記…この話侮り難き思い知る」(2006/11/10

 それでも、今日は、グリューネヴァルトを話題に採り上げようかなとも、一瞬、思ったことは事実。
 けれど、小生如きに今更、彼に付いて何か知見があるわけではない。新たな情報を入手したわけでもない。
 ただ、グリューネヴァルトというと、ハンス・ホルバインと並んで、キリスト像(絵画に限るが)というと思い浮かぶ人物の筆頭なのである。

 突然、グリューネヴァルトの話題というのも、唐突かもしれないが、先ごろより読みかけている、鶴岡 真弓著『「装飾」の美術文明史―ヨーロッパ・ケルト、イスラームから日本へ』(日本放送出版協会)の中で、ゴシックやケルト文化との絡みでグリューネヴァルトのことが触れられていたので、おお、こんなところにもグリューネヴァルトが登場するのかと、改めて彼に注目したくなったわけである。

Holbein_grabe003

← ハンス・ホルバイン(子)『墓の中の死せるキリスト 』

 俗に彼の名前として知られている、マティアス・グリューネヴァルトというのは、実は、「はこの画家の本名ではなく、後世の著述家が誤って名付けたものであ」り、「本名はマティス・ゴートハルト・ナイトハルト」だという(但し、この名前も異説があるようだ)。
 しかも、「「マティアス・グリューネヴァルト」は17世紀の著述家が誤って名付けたもので、これが誤りであることが証明されたのは20世紀に入ってからである」という。
 それほどに、グリューネヴァルトは謎の人物であり、忘れられた(あるいは歴史の闇に葬られかけた?)画家なのである。


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 グリューネヴァルトの代表作というと、何と言っても、「イーゼンハイム祭壇画」であろう。
 というか、小生は彼というとこの絵以外に何も思い浮かばない。

Grunewald_isenheim001

→ イーゼンハイム祭壇画(Isenheimer Alter)1512-1515年頃
269×143cm | Oil on panel | Musee d'Unterlinden, Colmar

 深い精神性、宗教性に満ちているが、一方、見方によっては凄惨で生々しく、救いの可能性を疑わせるようなリアリティがある。
 一体、何ゆえ、このような絵が描かれ像が作られたのか。
 それは、ヨーロッパでは古来より、麦角菌による麦角中毒(食中毒症状)に苦しめられてきて、中世に流行した「死の舞踏」も、「セイラム魔女裁判」も、この病気の深甚な結果であり恐怖の故だったとも言われているほどなのである。
 後者は、「若い女性が麦角菌汚染されたライ麦を食べたことから始まったのではないかともいう」。
 
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← イーゼンハイム祭壇画『キリストの磔刑』。「凄惨で生々しい描写」!

 そして、「中世ヨーロッパでは麦角菌汚染されたライ麦パンによる麦角中毒がしばしば起きている。聖アントニウス会の修道士が麦角中毒の治療術に優れるとされたことから、ヨーロッパでは麦角中毒は聖アントニウスの火(St. Anthony's fire)とも呼ばれてきた」という。
 
イーゼンハイム祭壇画」は、実は上掲の「これらの絵に挟まれた中央は聖者の彫像を安置する厨子になっており、中央に聖アントニウスの座像、向かって左に聖アウグスティヌスの立像、右に聖ヒエロニムスの立像がある」という構造になっているわけである。

「イーゼンハイム祭壇画」や「聖アントニウス会修道院」については、この頁が興味深い:
Hindemith:画家マティス  Grünewald:イーゼンハイム祭壇画

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コメント

やいっちさん、訪問・コメントありがとうございました♪

せっかくお知り合いになったのにもうお別れ・・・☆
でもまたどこかでお会いするかも知れません。
その時はよろしくお願いしますね^^

投稿: ひまわり | 2006/12/01 22:43

ひまわりさん、来訪、コメント、ありがとう。
elmaさんのサイトでひまわりさん(サイト)を知りました。
そしてひまわりさんのサイトでも何度かコメントさせてもらったことがあります。
トップクラスの人気があったのに、一時凍結というのは小生ならずとも寂しいと思う人が多いようです。
まずは、体調を回復させることが先決。
また、会いたいですね。
ネットへの復帰、待ってます。

投稿: やいっち | 2006/12/02 08:35

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