胡桃持つ手の温もりも痺れおり
久しぶりに「季題【季語】紹介 【10月の季題(季語)一例】」を覗かせてもらう。
「中身なくせめて題名凝ってみる」で一覧にしてみたように、表中から少なからずの季語を扱ってきている。
秋10月ともなると、サンバ(の表)の季節が終わり、本来の季語随筆関連の記事を扱う気持ちが戻ってくるということなのか。
今日は、表を眺めていて、ふと、胡桃(くるみ)に目が合った。
どうしてなのだろう。
我が心の表面の頑なさを痛感している?
「季語集・秋」によると(「歳時記宝石箱」参照)、「姫胡桃 鬼胡桃 沢胡桃 新胡桃」などの類語があり、「外皮は堅くいが、渋皮に包まれた種子は美味で栄養価高し」と説明されている。
まずは「山くるみ 完全無農薬、無肥料の殻付き天然胡桃を販売 山菜屋.com」にて「胡桃(くるみ)」の画像を。
冒頭にリスの絵が。
胡桃というと、リスが付き物? 何故?
リスがくるみを食べる仕草が可愛いのは確かだけど(「こたままBlog くるみ」を覗いてみる?)。
「胡桃の実を殻から出す作業」が紹介されているが、何故か、殻が割られる前の胡桃に妙に親しみを感じる。
手先に痺れがあったり、指先に神経が通っていないような時(人)には、胡桃を手に握っていて、テレビを見ながら、あるいは街中を歩きながらでも、常に胡桃を手の平の中で転がしたり、2個か3個の胡桃を手の平の中で移動させる、なんてことをする。
握力を増すためではなく、手や指の感覚を鋭敏にしたり、鈍りつつある神経を少しでも劣らないよう胡桃を握っているのである。
もう少し、胡桃の写真を。
これまた久しぶりに「北信州の道草図鑑」から「オニグルミ(鬼胡桃)」の諸相を。
「オニグルミは日本の山地に自生し、栽培もされる。幹は高さ20メートル以上」だというのは、ちょっと驚き。
手にいつも胡桃を握っていたというと、随分昔、テレビで観ていた時代劇を思い出してしまう:
「かれこれ40年近く昔の、松方弘樹の父親の近衛十四朗主演の素浪人物で「素浪人月影兵庫」とか「素浪人 花山大吉」だったと思います。凄く腕のたつ素浪人なんですが、猫に弱くお酒に弱く、ちゃめっけたっぷりの時代劇ヒーローだったんです。その主人公が、いつも手の中に胡桃を握って、カリカリ、カリカリ鳴らしていたのが、子供心に凄くカッコ良かったんですね!」
上の一文は、「久し振りに・・・今日は何の日?-掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と闘うオヤジ!」より。
「覚えてる方いますかね~?」って、覚えてますとも!!
→ DVD モ-リス・ベジャ-ル『くるみ割り人形』 (TDKコア:キングレコ-ド)
くるみを割る画像を見ていて、くるみ割り人形を思い出してしまった。
「くるみ割り人形 - Wikipedia」によると、「ピョートル・チャイコフスキーの作曲したバレエ音楽、ないしそのバレエ」で、「バレエ組曲「くるみ割り人形」作品71aは、チャイコフスキーがバレエ音楽から編んだ組曲」とのこと。
そう、くるみ割り人形というとモ-リス・ベジャ-ルの名を逸するわけにはいかない。が、今回は素通りする。
人によっては、「くるみ割り人形」というと、「1979年3月3日に公開されたサンリオ製作の人形アニメーション映画」のほうを思い出すかもしれない。
なんと主演(?)は杉田 かおるさんである。
← 石川ひとみ『くるみ割り人形』
しかし、小生が「くるみ割り人形」でまず思い出してしまうのは、石川ひとみさんが歌ってヒットさせた「くるみ割り人形」(作詞:三浦徳子、作曲:馬飼野康二、編曲:大村雅朗)だ。
彼女には、「まちぶせ」(作詞・作曲:荒井由実、編曲:松任谷正隆)などのヒット曲があるが、彼女の愛くるしい笑顔とマッチする「くるみ割り人形」が小生は好き。
もしかしたらこの曲が発表された78年に小生が仙台から上京したから、個人的な思いでもあって、何となく脳にインプットされていることも影響しているのかもしれない。
→ 中村禎里著『日本人の動物観 -変身譚の歴史』(ビイングネットプレス)
「「くるみ割り人形」の基礎知識」によると、「ホフマン原作では、くるみ割り人形の正体は、主人公マリーの名付け親のドロッセルマイヤーのおいであり、魔法によって、くるみ割り人形の姿にされてしまっていたのが、マリーによって救われるという筋書き」とのことで、よくある西欧の童話もののパターン(変身譚)を踏襲しているようである。
(この「変身譚」については、日本と西欧とは基本的な性格において大きな違いがあるという。→中村禎里著『日本人の動物観 -変身譚の歴史』ビイングネットプレス)
季語随筆に話を戻す。
「木に関する俳句 季語一覧 樹木別 くるみ」から以下の句:
胡桃割る夜のまとゐに加はりし 高浜虚子
胡桃落つ日の夜となれば月明かく 中村汀女
田舎の母が思い出したように胡桃を握っていたのを思い出しつつ、
胡桃持つ手の温もりも痺れおり 弥一
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コメント
くるみは10月の季語?
そういう事にまったく無知な私ですが、お母さんが忘れた頃に握っていたクルミ…なんかジーンとしてしまいました。
また、勉強に来ます。
投稿: ヨッピ | 2006/10/24 22:39
胡桃の思い出というと、胡桃を拾って、その渋で、大事な洋服が茶色になってしまったことですね。もう、40年も前。青いうちに拾うと、渋をとるために、地面に埋めて皮が腐るのを待ちます。たくさん、拾った記憶は、あるのですが、食べた記憶がまるでない!これはどういうこと?
投稿: elma | 2006/10/25 05:29
ヨッピさん、コメント、ありがとう。
くるみが10月の季語だなんて、小生もこの記事を書く際に調べて知ったこと。小生、無恥な人間ではないと思うのですが、無知なのは確かです。
念のために断っておくと、母は今も健在。ただ、最近はあまりくるみを握る光景をみない…。
投稿: やいっち | 2006/10/25 07:46
elma さん、コメント、ありがとう。
「青いうちに拾うと、渋をとるために、地面に埋めて皮が腐るのを待ちます」ってのは、ネットで調べている中で、そんなことをするんだなって知りました。
なるほど、elma さんも、そんな経験があるのですね。
小生は栗についてはいろいろ遊んだけど、胡桃ってガキの頃は馴染みじゃなかった。
引用した「山くるみ 完全無農薬、無肥料の殻付き天然胡桃を販売 山菜屋.com」には、「取り出した【胡桃】を使ってパウンドケーキを焼きましょう」って記事が載っている。おいしそう!
http://www.sansaiya.com/kinomi/kurumi/kurumi.html
胡桃を使ったお菓子がいろいろある:
http://textlife.tea-nifty.com/cha/2005/07/post_506f.html
どれでもいいから食べたいなー。
投稿: やいっち | 2006/10/25 07:59