スウィフトや遠路はるばる風刺かね
昨日18日、フレッツ光が開通!
システムを変更するのは、パソコンに疎いものには気鬱の種になる。大抵、切り替えた直後は何かのトラブルがあるものだし。
今回は、最小限のトラブルとも言えない不都合があっただけに終わり、ホッとしている。
まるで、このときの悪夢のような……。
「10月19日 今日は何の日~毎日が記念日~」を漫然と覗いていたら、今日19日は「晩翆忌」だという。「詩人・英文学者の土井晩翆の1952(昭和27)年の忌日」なのだそうだ。
土井晩翆(どいばんすい)というと、小生にはちょっと悩ましい人物。
小生の郷里である富山と小生が学生時代を過ごした杜の都・仙台との両方に関係ある人物なのである。
以下の記事は、「富山で感性を育んだ滝廉太郎」を参照させてもらう(あるいは、拙稿「富山と滝廉太郎、その周辺」参照)。
← 14日、龍子記念館に行って来たときの画像。その時のブログ記事に載せるのを忘れていた。
作曲家・滝廉太郎の傑作「荒城の月」は、作曲に際し、何処の古城をイメージして作ったのか、必ずしも確然とはしていない(晩翆が訪れたことのある会津若松の鶴ヶ城だとか、あるいは、富山の城だという説があるし…)。
それはともかく、東京音楽学校が教科書としてこれまでにないすぐれた唱歌集を目指して「中学唱歌」を作った。その際、「編纂にあたって作歌と作曲を文学者・教育者・音楽家などの専門家に広く求め」、「当時の文士に作詩を求めましたが、その中の一人に土井晩翆がい」たのだった。
その土井晩翆は、杜の都・仙台生まれ。
「この「荒城の月」を含む歌詞が公表され、一人3曲と限られて曲が一般公募され」、「滝廉太郎は、それらの歌詞の中から、「荒城の月」「箱根八里」「豊太閤」を選び、作曲し提出しました。そして、3曲とも選ばれたの」だった。
「廉太郎が数ある詩の中からなぜ「荒城の月」の詩を選んだのかさだかではありませんが、父の転勤により富山城、大分の府内城、竹田の岡城、東京の江戸城、そして、滝家の出身地・日出の暘谷城とさまざまな城を見ていたことも関係あるかもしれません」以下、詳しくは「富山で感性を育んだ滝廉太郎」を覗いてみて欲しい(ホームページは「松川を美しくする会へようこそ!」)。
さて、「土井晩翆というと、小生にはちょっと悩ましい人物」というのは、富山に無縁ではないし、まして小生が学生時代を過ごした仙台生れの人物であるのに、未だに全く彼の仕事や作品にまともに向き合ったことがないという事情があるからなのである。
しかも、学生の頃は、荒城の月碑(土井晩翆)が青葉山にあることを知っていた。何故なら友人のアパートがその近くにあったので、記憶違いでなかったら、バスの停留所に「晩翆草堂ナントカ」とあったような……。
なのに、ずっと素通りだったのだ。碑の前も、そして晩翠の仕事も。
なので、「晩翆忌」については、せっかくの機会なのだが、さっさと(swiftly )通り過ぎる。
再度、「10月19日 今日は何の日~毎日が記念日~」を覗いてみる。
すると、『ガリバー旅行記』の作者スウィフトの忌日とある。彼に付いては以前、言及したことがあるはずだが、話題が尽きているはずもない。
ネット検索したら、「ナオコガイドのアイルランド日記 スウィフトと『ガリバー旅行記』」なる記事(日記)に遭遇。
ここを覗くと、「『ガリヴァー旅行記』の作者ジョナサン・スウィフト(Janathan Swift, 1667-1745)は、ダブリン出身のイギリス系アイルランド人。晩年の32年間、ダブリンのセント・パトリック大聖堂の司祭長を務めていたことで知られています」以下、スウィフトに付いていろいろ教えてくれる。
まあ、(ある年代以上の)大概の人はジョナサン・スウィフトのことは知っているだろう。少なくとも、『ガリヴァー旅行記』は読んだことがあるのではないか。
但し、「子供向けのお話かのように捕らえられがちですが、本来は風刺小説という分野にジャンルされる4部からなる長編小説」ということで、子ども時代に卒業したと思っておられるか、それとも大人になって読み直したかとなると、人それぞれかもしれない。
小生は、無論、ガキの頃に絵本のような本で読んだことをおぼろげながら覚えている。挿絵が興味深かった。結構、物語の中に没入したような。
でも、何かの機会に、風刺小説であり大人こそが読むべき本だと知り、そんなに遠くない以前、読み直してみたことがある。
さて、「ナオコガイドのアイルランド日記 スウィフトと『ガリバー旅行記』」なる日記に戻る。
すると、「江戸時代の日本にもやって来たガリヴァー、そこで「踏絵」を強要されるエピソードはなんとも興味深い」という一文に出会う。
おおお、である。
小生、全く気付いていない。あるいは、すっかり忘れている。一体、我輩、何を読んでいたことやら。溜め息である。
さらに、上掲の日記には、「ガリヴァーは1709年にザモスキ(三浦半島の観音崎)に上陸、長崎より船でイギリスへ帰ります」とある。
ますます、おおお、である。
「ガリヴァー上陸300周年を迎える2009年に向けて、観音崎ではさまざまなイベントが予定されている」として、リンクが貼ってある。現実の我輩の体はやたらと重たいが、ネット上での小生は身軽である。ひょい!っと飛んじゃう。懐具合も痛まないし。
「ガリバー上陸300年」へ。
表紙には、「ガリバー旅行記によると1709年5月、ガリバーは日本のXamoschi(ザモスキ)に上陸しています。この場所を推察すると、横須賀の観音崎ではないかという説をもとに、私たちの旅行記が始まりました。2009年、ガリバーが上陸して300年を迎えるので、ワクワクするようなお祝いをしたくなりました」とある。
その中の「ガリバーが観音崎に上陸」なる頁を開いてみると、「ガリヴァ-旅行記の第3篇11章に日本に上陸した様子が書かれています」として、小説における当該の文章が示されている。
← Jスウィフト作『ガリヴァー旅行記』(坂井晴彦訳 福音館書店)
「物語の中でガリヴァーが日本に来たのは、1709年となっており、日本では「生類憐れみの令」で知られる徳川綱吉がこの2月に亡くなっています。1709年5月、ガリヴァーは、日本のザモスキという小さな港町に上陸しました。一般的には、場所の説明から三浦半島のどこかとみられています」という。
その上で、「ガリヴァーのモデルは三浦按針という説があります」として、その理由が縷々、書いてある。是非、当該の頁を覗いて、そのモデルは三浦按針説の真偽のほどを自ら判断してほしい。
ただ、「按針が英国の妻に宛て書いた手紙は、遠く英国に送られ、東洋方面の航海記や紀行を集めたパーチャスの「廻国記集」(1625年)という本に掲載されています。スウィフトは、この本を所蔵しており、按針をヒントにガリヴァーを日本それも三浦半島に訪れさせたのではないかと考えられます」と言われると、素直な小生は納得してしまうのだが。
尚、「ガリバー上陸300年」なるブログもある。「観音崎公園で11月3日、観音崎フェスタがあり」、「11月3日ガリバーに会えます」だって。
関連する記事に「青い鳥文庫- 外国から見たふしぎな日本の歴史(第4回 スウィフト)」がある。
記事のテーマは、「『ガリヴァー旅行記』に日本が登場するわけ」とある。
この記事の中に、「『ガリヴァー旅行記』に日本が登場するわけ」などについていろいろ書いてある。
「スウィフトが『ガリバー旅行記』のなかで「馬の国」を書いたのは、5代将軍の徳川綱吉が出した「生類憐(しょうるいあわれ)みの令」を知ってたからじゃないか、って説」や、「人間より馬のほうがえらい「馬の国」イコール日本だってことね? 皮肉ね、皮肉」とか、夏目漱石が『文学評論』の中で、「スウィフトが日本を『ガリヴァー旅行記』の中へ書き入れたところが、日本人たるわれわれから見れば頗(すこぶ)る興味を惹(ひ)くのである」云々と書いていること、「漱石は、ガリバーが上陸したのは鹿児島じゃないかって書いてる」ことなどなど。
こうして日本に関係する一文だけを取り上げても、「踏み絵」のことなど、いろんな風刺が描かれているわけで、徹底して読み返したら、『ガリヴァー旅行記』にはもっといろんなものが書き込まれていると想像したくなる。
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