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2006/09/22

姿なき守護神ならん守宮かな

 昨日(木曜日)の夜、家事を終え、自室に引っ込み、ちょっとパソコンの載っている机に向おうとしたら、椅子の脚付近に何か小さな影が。
 見ると、「ヤモリ」だった!
 だった! と「!」マークなど付けるのは余計なのかもしれないが、富山の家でヤモリを見るのは、久しぶりだし、やはり、部屋の中で爬虫類か両生類か分からないが、見慣れない生き物を見るというのは、ちょっとドキドキする。
 そういえば、昼間には、蜘蛛を自室で見たっけ。木曜日は生き物を部屋でよく見かける日だ。他に、蛾も見たし、蚊にも悩まされた。この部屋で寝ると体が痒くなるから、きっと、ダニが一杯、うようよしているのだろう。
 ダニが多いから、ダニを餌にしている蜘蛛も、丸々と太っていたのかもしれない。

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→ 木曜日の草むしりの成果!

 さて、目にしたのはホントに小さな小さなヤモリで、頭の天辺から(鼻先から?)尻尾の先までを測っても、小指よりも短い。
 一瞬、足で追い払おうかと思ったけれど、珍しいので、しばし観察。
 小生の気配を感じているはずだろうに、一向に動く様子は見えない。
 あるいは、小生の姿に驚いて、身動きできないで居るのだろうか。
 小生としても、短い時間を無駄にしたくないので、仕方なく、机の上にあるティッシュペーパーを一枚、引っこ抜き、そのティッシュでヤモリ君、それともヤモリちゃんを追い払おうとする。
 でも、背中や尻尾を擽ってみるのだけど、動いてくれない。
 仕方なく、ティッシュで尻尾の辺りを突っついてみる。ようやく、チョロッと動いてくれた。
 けれど、小生の足ほどの距離を移動し、机の脚の下近くに位置したところで、また静止。
 これでは、場所的に、小生が椅子に腰掛けると、ぶらぶらする足先で踏んづけそうだ。
 なので、ティッシュで再度、ヤモリちゃんの尻尾の先を突っつく。
 すると、今度は反応がよくて、チョロチョロ動き、すぐに姿が見えなくなった。

 さて、ヤモリと決め付けて書いてきたけれど、本当にヤモリなのだろうか。
ヤモリがいたよ!」なるサイトの、「ヤモリについて」という頁を覗かせてもらう。
 大雑把なところだけ拾うと、「はちゅう類」であり、「小昆虫、クモなどをたべ」るという。ってことは、昼間、見かけた蜘蛛の姿が見えないのは、蜘蛛が何処かに隠れて休んでいるからではなく、ヤモリに食べられた! のかもしれない。
 それより、「ふだんは、なきませんが、危害を加えられたときに、鳴きます」というのには驚いた。ヤモリって鳴くんだね。でも、鳴かないと思い込んでいた小生が、考えてみたら根拠など思い浮かばないわけで、一方的に決め付け過ぎていたのかもしれない。

「温度や、明るさなど、環境の変化や、気分によって、体の色が変わります」ってのも、なんとなく知っていた。
「足の裏側には、はば広いうろこ(指下板とよばれます。)があり、無数の細かい毛が生えています。この毛を、こまかいでこぼこにひっかけ、まっすぐ立てたガラスなども、登ることができます」という。そうか、何か粘着液のようなもので、あるいは足の裏が吸盤状になっていてすべすべする垂直面も移動できるのかと思っていたけれど、「毛を、こまかいでこぼこにひっかけ」ていたのだ!

「ヤモリは、目がとじられないので、ときどき舌で目をふいて、きれいにします」という記述に驚こうとしたけれど、思えば瞼がないんじゃ、眼を閉じようがないわけだ。

 さて、肝心要の記述が次に続く。
イモリとヤモリはどうちがうの?」に関しては、「イモリは水の中、ヤモリは家のまわりなどの陸にすみます」というのが、小生のようなシンプルな頭脳の持ち主には分かりやすい判別法だ。
 やっぱり、ヤモリだったのだ。
 イモリが水の中から出張してきたわけじゃなかったのだ。

 先に進む前に、他のサイトに寄り道。
日高トモキチ公式ウェブサイト「も吉の物置部屋」」というサイトで「家を守るもの」と題された「守宮」についての小文を見つけた。
 読んで楽しい。

 だが、ここでは、ヤモリとイモリの違いに付いて、「の二種類の別は手っ取り早くいえば、人ん家に住んでるのが「家を守るもの」ヤモリであり、水の中に住んでるのが「井戸を守るもの」イモリである。ただしイモリは実際に漢字名も井守だが、ヤモリは家守ではなく守宮と書く」という項だけ、参照させてもらう。
 そう、ヤモリは「守宮」と表記し、俗には「家守」という表記も散見される。
 また、「ヤモリはヘビ・カメ・トカゲと同じ爬虫類で、イモリはカエルやサンショウウオと同じ両生類だ。かたちこそ似ているが両者にまったく類縁関係はない。」のである。

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← 夕方、買い物の帰りにまた夕焼け。でも、ちょっと遅くて夕焼けを撮り損ねた。この空を旅客機が飛ぶ。旅客機の直下には神通川が。富山空港へ着陸する場合は、神通川の河口から川を遡上する。神通川の河川敷に富山空港があるのだ。日本でも、あるいは世界でも珍しい光景かも。→「ノーベル街道をちょっとローカルに見る」参照。

 また、「ヤモリがいたよ!」なるサイトの、「ヤモリについて」という頁に戻る。

 この頁では、他にも興味深い記述が目に付く。
 そんな中、「ヤモリは守り神?」という項に、「日本ではヤモリが家にいる間は、その家には悪いことがおきないと信じられています」という記載が見つかる。
 これは、小生もガキの頃に聞かされた覚えがある。
 どういう根拠で昔の人は、そんな話を伝えたのか分からないけれど、ハエとかクモとかを食べてくれるのなら、ありがたい動物だということになるのだろうか。

「俳句の季語ですか? 」という項が設けられていて、「「夏」の季語です」とある。
 えっ、じゃ、夜に見たヤモリは季節外れだったのだろうか。
 調べてみると、ヤモリは「守宮」と表記し、夏は夏でも6月の季語扱いのようだ
 うーん、やはり、あのヤモリは季節を勘違いしていたのか。

 が、「ヤモリについて」の中でリンクされている、「卵の画像と孵化」という頁を覗いてみると、ある程度、疑問は解けた。
 ヤモリが6月頃に産卵し、8月の半ば頃に孵化したのである。
 孵化したヤモリは、「大きさは頭から尻尾の先まで30mmから40mmの間です」とある。
 小生がたまたま見かけたヤモリは、やはり、生まれたばかりのヤモリちゃんだったのだ。
 人間の赤ちゃんだと、生まれたばかりだと、せいぜいハイハイなのに、ヤモリの赤ちゃんは、早速、徘徊する!
 やはり、野性の動物は逞しい。

 尤も、「玻璃に守宮眠れぬ夜の星遠く」(長島千城)という句を見つけた「NATIVE:Works」なる頁の記事に拠ると、「夏の季語でありながら、今回の守宮を見つけたのは真冬でした」とある。
 どうやら、「荷物置き場の数ある毛布・マット類の中から一番暖かいであろう物を選び、ちゃっかりとその間に収まって冬篭り中でした。毎年孵化した卵だけを残し、近年なかなか姿を見せてくれなかったのですが…まさか冬に会うなんて」ということのようで。

 さて、季語(俳句)の話になるが、守宮だけではなく、「守宮を搗く」という季語もあり、これまた「仲夏」の季語のようだ。
 しかし、意味が分からない。

Siondahlia

→ お馴染み、紫苑さんに戴いた「ダリア」の画像です。川西市役所のアプローチにはダリアが満開だったとか。画像、拡大してみて下さい!

Goto'sRoom」の「ヤモリとイモリを取り違えた話」や「ヤモリには昔話がない!?」は、科学的な記載のほか、古い文献情報が豊富で、読んでいるだけで想像力が刺激される。
 その中から、「ニホンヤモリが外来種であり、馴染みの存在になったのが割合近年であることは」という一点だけを抜き書きするのは忍びないが、仕方がない。
 幸い、以下の句が掲げられているのが嬉しい:

壁にいま夜の魔ひそめるやもりかな  (久保田万太郎)
颱風や守宮は常の壁を守り  (篠原鳳作)

 ネットで調べてみると、「守宮」が織り込まれた句が少なからず見つかる。地味な生き物ではあるが、昔はともかく、近年は戸建てでもマンションでも、しばしば遭遇するわけで、馴染みの生き物になりつつあるのかもしれない。

 それにしても、「ヤモリは家守ではなく守宮と書く」というが、まだ、何故に「守宮」と表記するのかという点に関しては釈然としないものがある。
 ネット検索してみると、「ヤモリはなぜ「守宮」と書くのでしょうか?」という質問に対して、以下のような答えがされていた:

「後宮(女性の操)を守る」から「守宮」です。
その昔、ヤモリの粉末を女性の肌に塗るとその部分がアザになり、その女性が姦淫するとアザが消えると言われていました。

 典拠(出典)が分からないのはもどかしいが、なんとなく、そうだったのかと、素直な小生は納得してしまいそうだ。

 ホームページの掲示板で守護霊の話が出たことがある。守宮に付いてあれこれ書いていて、守護霊はともかく、守護神は守宮がいいな、なんて思ったりした夜だった。


守宮する家の窓から秋の風
守宮せん思いはあれど操(みさお)なく
姿なき守護神ならん守宮かな

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コメント

おはようございます!
今、まだ、富山からの投稿なのですね。

田舎だったら、ヤモリぐらいいるでしょう。私の田舎には、ヤモリもイモリもいますよ。しかも、「イノシシ」まで出てきて、作物を荒らして里の人間の生活を困らせているようです。

ムカデなども、昔見ましたね~。

ヤモリが出てきただけで、これだけの薀蓄を語れるやいっちさんって、すごい!!!(感嘆符をいくつつけても足りないぐらい、賞賛の言葉です)
いつも楽しく拝見しています。

投稿: elma | 2006/09/22 05:50

そうなのです。未だに富山。野暮用があって、いつもなら三泊ほどなのが、今回は長めの滞在。

ヤモリ、東京では我が邸宅(人は集合住宅と勝手に呼ぶけれど)にも出没。珍しくはない。
でも、富山はたまにしか帰らないこともあり(小生が注意不足ってこともある!)、富山でヤモリを見たのは、ホントに久しぶりなのです。
多分、ガキの頃以来。
まして、富山ではイモリは見たことがない(テレビで井森美幸ちゃんは見たことがあるけど)。

ヤモリのこと、小生も知らない。この無精庵徒然草は、小生が関心を持ちはしたが知らないことを(主にネットを通じて)調べ、メモのつもりで書き散らしていくサイトなのです。
つまり、ほとんどが書いた当日に知ったことばかり。
知っていることは、仮にあったとしても、無精な小生は書くのが面倒になる性分なので、そもそも書こうとか調べようと思い立ったりしない、そんな奴なのです。
いろいろ教えてもらいたいことばかり!
これからもよろしく!

投稿: やいっち | 2006/09/22 09:44

我が家にもいるよ~!
都会(一応)の片隅の、こんなにちっちゃな家に住んでくれて、ありがと~!!って、引っ越してきて間もなく、家の外壁に張り付いているのを見て思った。なにせ、「屋守」だし、ってこじ付けかな。
まあ、我が家に姿を見せた理由は、近隣に比較的大きな家が多いからってことなんだろうけれど。

投稿: 志治美世子 | 2006/09/22 18:48

ヤモリ、志治さんのところにもいるんですね。新居じゃなかったっけ。ヤモリは、害虫を食べてくれるし、自分の存在を誇示しないから、トカゲっぽいのに嫌われないのかな。
ところで、ブログを書きながら、しまった! と思ったことが。
それは、せっかく足元にヤモリが姿を見せてくれたのに、撮影するのをすっかり忘れていたこと。
写真、載せたかったなー。

投稿: やいっち | 2006/09/22 22:55

見たかったよ~!
(新しい家に「家守」がいたから、嬉しかったのん!)

投稿: 志治美世子 | 2006/09/23 09:35

そうなんです。惜しかった。手元にデジカメも携帯電話もあったのに、見るのと追うのに躍起で、すっかり撮影を忘れた。
まだ、カメラマン根性はまるでないね。

新居にヤモリが居着くと、それは一家が地元に根付き仲間入りできたってことの印なのかもね。よかったね。

投稿: やいっち | 2006/09/23 16:48

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