鷺草は白鷺の翔ぶがごと
今週末(といっても、既に先週末になってしまったが)は連休だったが、「アンテナ端子取替工事無事終了!」に書いたような次第で、その前の週から部屋の片付け・整理に追われ、なんとか日曜日の午後には落ち着きを取り戻したものの、草臥れ果ててしまって、久々に連句を巻こうかというささやかな思いも吹っ飛んでしまった。
このブログは、「国見弥一の季語随筆読書創作日記」と銘打っているが、肝心の季語随筆からやや遠ざかり気味。
連句を巻くという一念は潰え去ったものの、せめて句の世界に触れておきたい。
すると、あるサイト(「俳句のある風景」)を覗いたら、「鷺草」の画像が載っていて、そこには、吾亦紅さんの「鷺草のいのちに触るる風のいろ」や「鷺草の飛ぶを夢見る月夜かな」などの句が載っている。
ここにはあれこれ書かないが、思うところ感じるところがあっての句のようである。
小生、よせばいいのに、「鷺草は、かつては各地に咲いていた…それが湿地の減少に伴い、今では絶滅危惧植物に。となると、白鷺のような白い花は、白鳥の歌を形で示しているのかも」と前置きし、「鷺草や風の色にも夢紡ぐ」といった句でコメント欄を濁してきた。
たまたまなのか、それともそういう時季なのか、折々覗いては一服させてもらう「花の俳句」なるサイトでも、「俳句のある風景」にお邪魔する前の日だったが、「鷺草(サギソウ)なる記事と画像を読み齧ったばかりだった。
ここには、「鷺草は宙舞うごとく鉢の上」という句が載っていた。土曜日は慌しく気疲れしていて、何も句を残すことはできなかった…。
思えば、小生、季語としても人気のある「鷺草」を我がブログで採りあげたことはない(はずである)。
これを奇縁にちょっと触れてみたい。
ネット検索したら、「文京区医薬品管理センター」がホームページと思われる(リンクが貼ってないので、断定はできない)「鷺草について」という頁をヒット。
「サギソウの名前が白鷺を思わせる花から来ているのはいうまでもなく、見れば誰もが納得する美しい花を咲かせます。かつては日本の各地で見られましたが、湿地の開発と共にその数は激減し、絶滅危惧植物となってしまいました。鷺草は薬としての使い方はなく、代わりに鷺草にまつわるいろいろな話を書き添えます」以下、鷺草全般について、整理された形でいろいろ教えてくれる。
「鷺草の由来」という項目を覗くと、「鷺草の名前の由来は、現在の世田谷が舞台です」とあって、以下、説明を与えてくれている。
この「鷺草伝説」については、「歴史を訪ねて 鷺草伝説」もまた分かりやすい。ホームページが目黒区のようで、地元に関係するからでもあろうか。
今は絶滅が危惧される植物の一つだが、目黒でもおちこちで見られた花のようで、「夏になると、すらりと伸びた細い茎の頃に、空を舞う白鷺にも似た、純白の小さな花を二、三個つける」とある。
やはり、白鷺にも似た純白の花というのは、鷺草を叙する際には誰しもが試みたくなる表現のようだ。
その上で、「その姿の可憐(かれん)さ、不思議さから幾つかの説話が生まれ、今日にまで語り伝えられている」として、「悲劇のヒロイン 常盤姫」の話が綴られている。
なお、この頁の末尾には、「鷺草は、湿地に生えるため、区内でも田んぼがあった大正時代の終わりころまで、あちらこちらに見られたという」とある。
やはり、都会については、田圃や湿地の減少・後退と鷺草とが運命を共にしたということなのか。あるいは事情は地方でも同じだったのだろうか。
地名も同じで、「衾村の谷鷺草(現在の自由が丘二、三丁目付近)や奥沢新田村の鷺の谷などの旧小字名のあった所には、特に群生していたのだろう」とあって、時代の変遷と共に忘れ去られていくのだろうか。
この頁にも、「風が吹き鷺草の皆飛ぶが如」という高浜虚子の句が載っている。彼にしては上出来とは言い難い句に思えるのだが。
それにしても、「鷺草(さぎそう)」(ホームは「インターネット花図鑑」)の中の、特に下段の画像を見ると、白鷺に似た純白の…という紋切り型の表現が有無を言わせるほどに説得力を持った表現だと思えてくる。
一言、蛇足的な表現を試みるなら、白鷺が羽を広げて飛ぶような、というのがいいのか。でも、これもありがちではある。
と思ったら、「俳句歳時記」の中の、「季語集・夏」にて、「鷺草」について、「ラン科の多年草、白鷺が翔ぶような姿の純白の花をつける」と説明されていた。
案の定だ。
ここまで白鷺が登場するとなると、機会を設けて、「白鷺」を季語随筆の題材にしておかないとバランスが取れないような。
その際には、白鷺城という別名を持つ姫路城のことなども話題に出すべきかと思っていたら、こんなサイトが見つかった。
「クレイアート通販 さぎ草 花屋KOMACHI」という頁で、「鷺草(さぎそう) Habenaria radiatta 」の「学名のHabenariaは、ラテン語で「手綱」を意味する言葉だそうです。葯の形に因むそうです」と説明されている。
また、「俳諧では、鵞毛玉鳳花(がもうぎょくほうか)ともいい、夏の季語」ともある。
「鵞毛(がもう)」って何? 「鵞鳥(がちょう)」の毛ってこと?
「玉鳳花」って何? 人名や寺院名その他では、「玉鳳」の使用例が見つかったけど、意味までは分からなかった。
ま、誰か教えてくれるのを待つとするか。
さて、最後に、「鷺草は 世田谷区の花に指定されています」ということで、「鷺草讃歌」(作詞:柴田忠夫/作曲:坂本博士)なる歌のあることを付記しておこうかな。
鷺草や風の白さに染められて
鷺草や天使の羽の舞うがごと
鷺草や鼻の下では揺れないで
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コメント
おはようございます。
先日は、コメントをいただきありがとうございます。
鷺草も、吾亦紅も好きです。とてもすてきだとつねづね思っています。でも、それを見て句を読むなどできないのが残念です。ぜひ、やいっちさん、読んで、投稿してください。楽しみにしております。
投稿: elma | 2006/08/07 04:55
elmaさん、朝の五時前だなんて、早朝どころじゃないですね。そんな時間にコメント、嬉しいけど恐縮。
句は、誰の指導も受けていない素人の試みです。誰かに付いて指導を受けたほうがいいのでしょうし、その方が伸びると言われていますし。
でも、昔から勉強が苦手で教えられても学べる自信がない。
それでいて連句にも興味があるんだから、困る。
elmaさん、こんな小生もやっているんだし、是非、句作、試みてください。結構、楽しいかも。
投稿: やいっち | 2006/08/07 09:19
こんばんは!
今日は、夜、コメントさせていただきます。
大体、夜の11時から12時は、とても込み合いますので、早く寝た方がよいと思い、それで、朝に書かせていただいておりました。ブログをアップしても、2,3分でアップできるものも30分ぐらいかかってしまいイライラしていました。
というような理由です。あまり、恐縮の必要はないですよ。
投稿: elma | 2006/08/07 23:13
elmaさん、やはり夜半前後は込み合うのですね。
小生もその時間帯は避けたい。避けてブログをアップしたいのですが、翌日が仕事の日だと、夜半にするしかない。イライラしますね。
都合が付く限り、画面の切り替えの早い時間帯に作業したいもの。
そういえば、小生も結構、変な時間帯にコメントすることもある…。
ま、やりやすいようにやるのが一番ってことですね。
投稿: やいっち | 2006/08/08 07:13