読書拾遺(浅草の後で…)
昨日の日曜日は、終日、寝て過ごした。
ん? お前はいつも寝て過ごしてるんじゃなかったっけ、だって?
そうなの。でも、気持ちの上ではいつも以上にダウンだった。パレードの結果が期待に反して3位だったことに、ちょっと愕然とした思いがあったのだ。土曜日は予想外の嬉しい付き合い(オフの会)があって、帰宅が夜半に及び、ネットにつなぐ元気もなく、シャワーを浴び、しばらくロッキングチェアーでグッタリしたあと、ベッドへ潜り込んでしまった。
なので、浅草サンバカーニバル(コンテスト)での結果を見たのは、寝て起きた日曜日の未明近くだった。期待と、もしやという気持ちが交錯する中、浅草サンバカーニバルの審査結果の頁を覗く。
えっ、リベルダージがずっと下のほうにあるじゃん?!
って、出場順番の遅いほうから並んでいるのであった。だから、昨年3位のリベルダージは一部リーグの下から3番目にあるのは、当然の話なのだ。
改めて順位を確認する。位置と同じ、昨年と同じ3位!
これはどうしたことか!
信じられない思いだった。
小生でさえ、こうなのだ。メンバーとして頑張ってきた人たちは尚更、失望落胆悔しさの念で一杯だったに違いない。
とはいえ、結果や順位をどう理解すればいいのか、今の所、考える糸口を見つけられない。
そもそも、小生など、スタッフとして山車押しをやっただけで、我がチームのパレードさえ、そのほんの一部分を垣間見ているに過ぎない。
無論、これまで何度かの商店街でのパレードは見てきているが、それらには山車などないし、出場する人数も見物人の数も浅草とは比較にならない。
ただ、沈黙を守る小生だが、チームのメーリングリストの端っこには加えてもらっているので、日頃のメンバーの苦労ぶり頑張りぶり、あるいは楽しそうな様子も含めて、雰囲気の一端だけは感じ取っていたりする。
みんな今年こそは、という手応えを感じている。手応え以上に、間違いないという確信めいた、客観的には根拠は薄い可能性もあるけれど、当人たちでなければ嗅ぎ取れない成功の予感みたいなものを浅草が近づいてくるに従って、段々濃く強く覚え始めていた、小生にはそんなように感じられてならなかった。
それだけに3位という結果は、失望・落胆・愕然・意外といった思い以外の何物でもなかった。
同時に、上記したように、小生のような押しのスタッフは論外としても、パレードをメンバーとして頑張りとおした人たちでさえも、自分たちのパレードの様子を客観的に、外側から、つまり審査員という仰々しいものでないとしても、見物客としての立場から、全体像や全体の流れ、さらには、これが大事なのだろうが、他のチームのパレードの様子との比較対照が、少なくとも浅草サンバカーニヴァルの当日に関しては、叶わないという現実があるのだ。
審査員たちがどう評価・判断したのか、一般のネットなどでの投票がどのような動向だったのか、観客たちはどういった印象を受けたのか、何もかもが分からない。
あるいは、リーダー的なスタッフだと、観客や審査員の受け具合とか顔色、反応などから、ある程度、何かしらを感じ取るものなのだろうか。
いずれにしても、結果が不満だとしても、それが不当なものなのか、悔しいけれど妥当なものなのかは、実際的にはビデオなどで他のチームのパレードの様子を含め、当日の様子を総覧してみないことには、冷静且つ穏当な判断は出来ないものなのかもしれない。
(それでも悔しいものは悔しいのだが。)
二週間に渡る部屋の片付け(ゴミだし)、自転車試走と通勤その他で体が疲れきっている。その上に浅草の結果。ベッドやロッキングチェアーに体を預けながら、日曜日は終日、体から疲れや嫌なものを搾り出すようなイメージを思い浮かべつつ、体と心を癒し続けた。
断っておくが、浅草サンバカーニヴァルが終わった当日も、メンバーは、後片付けをして打ち上げパーティに臨み、さらに昨日の日曜日も浅草寺その他へ片付けの作業に勤しんでいる。小生がのんびりしている間にも。
きっと、口々に結果に付いて意見や愚痴・不満の言葉が突いて出ている…のだろう。あるいは結果については、もう、語るのも億劫。それとも、気持ちの切り替えが早くて、捲土重来を期しているのだろうか。
日曜日の夕方、返却する本もあったので、図書館へ。
返却したのは、ジャン・ピエ-ル・キュザン/ディミトリ・サルモン著の『ジョルジュ・ド・ラ・トゥ-ル 再発見された神秘の画家』(「知の再発見」双書、創元社)、丸木 位里・丸木 俊【共同制作】『原爆の図―THE HIROSHIMA PANELS』(小峰書店)、アントワーヌ・テラス 著の『ポール・デルヴォー』(與謝野 文子 訳、骰子の7の目 シュルレアリスムと画家叢書、河出書房新社)の三冊(内容の簡単な紹介を「デルヴォー…凍てついた夢想」などで試みている)。
現在、読み終え、あるいは読みつつあるのは、アンドルー・H. ノール著の『生命 最初の30億年―地球に刻まれた進化の足跡』(斉藤 隆央訳、紀伊國屋書店)、金子 務著の『江戸人物科学史―「もう一つの文明開化」を訪ねて』(中公新書)、ミヒャエル・エンデ 著の『鏡のなかの鏡―迷宮』(丘沢 静也訳、岩波書店)の三冊。
『生命 最初の30億年』は中身の濃い本で、少々専門的な記述に戸惑ったりもしたが読み応えたっぷりであった。
『江戸人物科学史』は、現在、読みつつあるのだが、江戸時代に幕府の厳しい目のもとに、驚倒すべき学者たちが幾人もいたことを知る。
『鏡のなかの鏡―迷宮』は、実はようやく手にしたばかり。『生命 最初の30億年』を読むのに手こずったのと、自転車での肉体疲労、買い物(バイクの売却)などがあって、思うように読書が進まなかったのだ。
これら三冊については、「読書拾遺…「鏡のなかの鏡」へ」の中で簡単にだが、紹介している。
「鏡のなかの鏡」というサイトが興味深い。
さて、返却してみて、手ぶらでは帰れない。疲れきっていて、読書どころではないのだが(先週の土曜日26日は本来は営業の日だったが、休みにし、26日の仕事は9月2日(土)に変更。結果的に、明日から三週間は確実に完全な隔日勤務となる!)ついつい、書棚を見ると、物色したくなる。
が、今回は、いきなり新刊コーナーで足止めされた。
小生が図書館へ行くのは夕方。新刊にいい本、面白い本があっても、夕方には大概、既に借りられているか、他の人が手にとってフロアーでパラパラ捲っているのが常。
それでも、残り物に福なのか、それとも小生の読書の趣味が他の人とは違うからなのか、興味を惹く本が数冊、棚に立てかけられていた。
そのうち、横川 善正著『スコットランド 石と水の国』(岩波書店)、ジェーフィッシュ/著 久保田信/監修 上野俊士郎/監修『クラゲのふしぎ 海を漂う奇妙な生態 知りたい!サイエンス 001』(技術評論社)を小脇に抱える。
書架のコーナーをうろうろ。過日、モーツァルトの協奏曲にまたまた感激したばかりでもあり、「沈黙の宇宙に鳴る音楽」なる小文を綴ったほどなので、モーツァルトに関係する写真満載の読み物を探していたが、ふと、恐らくはやはり浅草のことが脳裏にこびり付いていたのだろう、前々から図書館に来るたび、パラパラ捲ってはいた、クリス・マッガワン/ヒカルド・ペサーニャ著『ブラジリアン・サウンド―サンバ、ボサノヴァ、MPB ブラジル音楽のすべて』(武者小路 実昭/雨海 弘美訳、シンコーミュージック)を借り出すことに。
サンバやブラジル音楽のことを、ちょっとは知りたくて。
横川 善正著『スコットランド 石と水の国』(岩波書店)の内容紹介には、「イギリスのなかでも地味で,知られることの少ないスコットランド.しかし石と水に象徴されるその国の文化は豊穣で強靭だ.古代ピクトの石像からバーンズの詩やマッキントッシュのデザインに至る芸術と精神史,カーリングやウイスキーに代表される生活文化-イングランドの陰に隠れてきたスコットランドの本当の形を明らかにする」とある。
スコッチウイスキーの、そしてカーリングの発祥の地。「石と水に象徴される」の一言で、参った! だったのである。
『クラゲのふしぎ 海を漂う奇妙な生態 知りたい!サイエンス 001』(技術評論社)については、「クラゲの揺らめきを見るとなんだか気分が癒される。クラゲの傘の拍動は6億年もの間、止まることなく動いていた。イルカやクジラが波を切り魚やイカが忙しく泳ぎ回っていてもクラゲはいつでも同じ動き。海中で鮮やかな傘を広げてゆらり揺らめくクラゲ。その揺らぎには未知なる不思議が詰まっている。クラゲの神秘のベールをはいでみると…。 」と、内容説明されている。
小生、クラゲが大好きなのだ。クラゲをイメージしての掌編も書いたことがあるし、古事記が好きなのも、「次に国椎く、浮ける脂のごとくして、くらげなすただよえる時に、葦牙 のごとく萌え騰 る物により成りませる神の名……」といった表現にゾッコンだからなのである。
「水母・海月・クラゲ・くらげ…」なんてエッセイを一昨年、綴ったっけ。
車中で読むことを意識して選んだ面もある。仕事が、というか、車中での休憩が楽しみ!
ところで、「クラゲ」は、英語では「jellyfish」である。カタカナ表記すると、「ジェリーフィッシュ」。
著者名に注目。ジェーフィッシュ氏! 小生、本書を新刊コーナーで手に取った時は、この名前を副題だと思い込んでいた。「ジェリー」が「ジェー」なのは、ちょっとシェー(古!)であるが、何か意味があるのかもしれない、なんて。
帰宅して、本書をパラパラ捲り眺めて、初めて著者名なのだと気付いた次第だった。
『ブラジリアン・サウンド―サンバ、ボサノヴァ、MPB ブラジル音楽のすべて』はというと、「ブラジル音楽ガイドの決定版!多種多様なリズム、メロディー、ハーモニー、そしてサウダーヂという言葉で示される独特のフィーリング…音楽のメルティング・ポット、ブラジル。サンバ、ボサノヴァからトロピカリア、そして最新ブラジリアン・ポップまで、その豊饒でディープな世界をまるごと凝縮。入門書としても研究書としても、使える一冊」とある。
手元に置いておきたい本だけど、そうもいかないのが歯がゆい。
手元というと、パソコンを置いている机のすぐ脇の棚の上には、浅草サンバカーニバルでの山車押しの際に纏った衣装類が残っている。そういえば、昨年の山車押しでの衣装のうち、エンジ色のスカーフが残っている。
どうしたものか…。
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