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2006/05/12

異色のタクシードライバー…横山博人監督ほか

 異色と言っても、映画やドラマの話ではない。また、小説の中の登場人物の話でもない。
 映画だと、監督がマーチン・スコセッシで主演がロバート・デ・ニーロの「タクシードライバー」を真っ先に思い浮かべてしまう。小生はロバート・デ・ニーロのファンで、めったに映画館には足を運ばない(昔はピンク映画とかロマンポルノには通ったが、他のジャンルの映画はまず、行かない)が、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」や「アンタッチャブル」は彼が演じているというただそれだけの理由で映画館へ行ったものだ。
 ただ、「タクシードライバー Taxi Driver (1976) 」は、「ゴッドファーザーPART II The Godfather: Part II (1974) 」での彼の評判を知っていたかどうか危うい。多分、この頃は、仙台の場末の映画館でピンク映画を観るのが息抜きになっていたはずだから、テレビでしか見ていないかもしれない。
 そのほか、観る気にはまるでならなかったが、「TAXI NY」などなどいろいろある。
 日本のテレビドラマでは、「梅沢富美男と前川清がタクシードライバーに扮し温泉街を駆け巡る」という「TBS「月曜ミステリー劇場 駅前タクシー湯けむり事件案内(3)」」や渡瀬恒彦主演の「土曜ワイド劇場「タクシードライバーの推理日誌」(テレビ朝日系)」などは大概は再放送でだが(夜は眠いし、ニュース番組を優先して選ぶので、ドラマモノは見る時間がない。
 仕事が終わった明けの日、日中は断続的に眠るのだが、その合間に再放送ドラマを見つつ食事や居眠りをするのが日課なのである。
 こうしたドラマでのタクシーやドライバーは現実味があまりなくて、多少なりともタクシー業務の実際を知る者には見るに耐えない面もあるのだが、逆に言うと現実離れしていることは歴然としているから、実態と懸け離れていても怒りの念など湧く事はない。まあ、大人の童話ドラマを見ているようなものだ(中身は大概、殺人事件が絡んでいるから童話とは言い難いのかもしれないが)。

 他にタクシーモノの映画やドラマ、小説はリストを作るだけでも長くなりそう。
 まあ、それらはそれらで興味深いが、それはまた後日、ということで。特に小説関係は特集したいね。
 今日は、実際にいる(らしい)異色のタクシードライバーを一人、二人だけ、紹介してみる。

 紹介するといっても、知り合いではないのだが。
(何年か前、走行距離が百万キロ以上のタクシーで営業しているというドライバーがテレビで紹介されたことがあるが、さすがにもう、そのタクシー(車)は走っていないだろう。未確認なのだが。)
ニューストップ 政治・社会 社会 現役最高齢ドライバーが語るタクシー業界今昔 (ゲンダイネット) - Infoseek ニュース」をネットで発見。

「三島由紀夫を乗せたこともあるよ」
 こう語るのは都内で個人タクシーの運転手をしている中本邦夫さん。来月で79歳(来年は80歳!)を迎える現役最高齢タクシードライバーだ。

 といった一文で始まるこの記事は【2006年4月10日掲載記事】のものだから、多分、この方が現役最高齢のタクシードライバーなのだろう(小生は調査し尽くしたわけではないので、記事を信用するしかない)。
「戦前は国会議事堂で貴族院のエレベーターボーイを務めていた」ことがあり、首相だった東条英機もエレベーターの中で観たことがあるとか。
 いろいろあって「昭和50年から個人タクシーを運転している」というから、タクシードライバー歴そのモノが現役中、全国一というわけではないのが、惜しいような。
「オウム事件の頃に、指名手配中だった林泰男を乗せたこともあ」って、乗り逃げされたとか。


「いつ撮れるとも分からない次回作へむけてひたすらに創作メモをつづる」という主旨の「映画監督 横山博人ブログ」というなんの捻りもない名前のブログを運営しているのは、映画監督の横山博人氏。
「電車男」の走りの若者を描いたかのような(?)映画「純(1980) 」(中島ゆたかが出演している!)や「ニート」の走り現象を描いたかのような(?)映画「フリーター(1987)」(鷲尾いさ子が出演している!)、あるいは「川端康成の小説『眠れる美女』と『山の音』とをひとつに融合させ、現代的な解釈で捕らえた文芸ドラマ」だという謳い文句の「眠れる美女(1995)」(川端康成の小説で『雪国』は別格として、『眠れる美女』が一番好き!)、そして谷崎潤一郎の同名の小説の映画化である「卍(1983)」(谷崎潤一郎の『細雪』は別格として彼の陰翳礼賛的世界は好き! 中島ゆたかが出演している!)、 樋口可南子が主演している「恋はいつもアマンドピンク(1988)」(樋口可南子と言えば……篠山紀信撮影のヘアヌード写真集『ウォーター・フルーツ』(1991年)。小生は発売直後に買った! 何故か佳那晃子を想いつつ眺め入ったっけ)などがある。

映画監督 横山博人ブログ」というだけあって、さすが映画の話題が多いのは頷ける。
 折々にタクシー稼業の話題が出てくる。
 4月30日の記事「タクシー運転あけの日見た映画」を読むと、「2月7日のあさ心筋梗塞で死にかかり危うく一命をとりとめてから82日がたった。タクシー運転手が勤まるのかいまでも心配だが乗務を再開してから一週間が経つ」などという気になる一文が。
 で、慌てて2月の日記に遡ってみる。
 2月9日のブログは「おとといわたしは心筋梗塞で死にかかりました」という題で、2月7日火曜日の様子を振り返って書かれている。
「タクシー勤務どころではない。家族を起こすのは躊躇(ためら)われたのでひとりで悶々とした。我慢しきれなくなり6時すぎ妻に声をかけた」という記述。
 小生も数年前、黄疸症状となって死に損なったが、独り身なので、誰にも声を掛けられないし、電話しようにもすぐそこにある電話に手が伸びず救急車も呼べなかったっけ。その点だけ、ちょっと羨ましい?
 この日の記事の最後に、「このブログを二男に閉鎖させようと考えたがまだまだ続けられそうなのでほっとしています」とある。よかったね。小生の場合、サイトを閉じようにも、表向き家族の誰も知らない(はず)なので、万が一の際にも閉じようがない。まあ、プロバイダーなどへの料金は自動引き落としなので、それが止まったら自動的に閉鎖となるのだろう。

 2月10日の「死にそこなう度に生きていく意欲を点検してみます」という題の記事は読むだけで胸がジンとする。映画監督根性というのだろう。
(小生も黄疸で倒れたその翌日には腹の痛みを堪えつつ、本を読んでいたっけ。一日最低五十頁を読むというノルマを自分に課して三十年。飲み会があった日でも、自宅に帰って水をがぶ飲みして読んだ。もう、病膏肓(こうこう)に入るだね。黄疸で倒れた日も、症状が出て倒れたのが夜だったので、明けだったこともあり、日中のうちにノルマは果たしていた…。)

 以後、タクシー関連の記事は見つけられなかった。当然だ。4月23日頃になってようやく恐々ながらタクシードライバーという仕事に復帰するのだから。結構、激務なのだ(部外者には想像も付かないだろうが)。ドライバーになって体を壊して戦線離脱する人がいかに多いことか!
DSP ふくおか映画塾」なるサイトを覗くと、横山博人監督の肉声を聞けるし、動画も見れる。

 横山博人監督の場合、自覚の上ではあくまで映画監督だし、そうした実績があるから、タクシードライバーはあくまで生活のため、精神的には副業なのだろう。その点、移植のドライバーという呼称にはやや難があるが、ま、紹介する値打ちは十分にあったものと思う。

 他にも異色のタクシードライバーが居そうだ。
 そのうち、第二弾を試みたい(小生のそのうち、というのは、世間が忘れた頃に、場合によっては本人も忘却し果てた頃に、という意味である)。

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コメント

梁石日『タクシー狂操曲』が原作の映画「月はどっちに出ている」(1993、崔洋一監督)を観ました。
岸谷五朗がタクシー・ドライバーの役です。
お金を払わずに逃げようとする客を走って追いかけ、追いつくと、殴るわけでもなく、料金だけをもらうシーンがありました。
スコセッシの「タクシードライバー」に通じる狂気を感じました。
夜の街を走るタクシーは、それだけで画になりますね。

投稿: 滝野 | 2006/05/13 01:58

梁石日のタクシーモノは読みました。映画「月はどっちに出ている」(1993、崔洋一監督)は観ていない。谷五朗がタクシー・ドライバーの役なら面白そう。
タクシーが関係する映画や小説、ドラマはいつか特集したいね。

ちなみにタクシーものじゃないけど、ドラマにタクシーが登場することは多い。緑色のボディの車、オレンジ色のボディの車の会社が多いね。我が社のタクシーが出たサスペンスドラマを再放送で一回だけ、観たことがある。

投稿: やいっち | 2006/05/13 08:17

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