« 「サンバでガンバ」新作! | トップページ | 田中恭吉の版画に再会する »

2006/05/14

深山霧島…坊がつる賛歌

 図書館が来週一杯、連休に入るということで、冷たい雨の降る中、徒歩でビニール傘など差して夕刻、向かった。五月も半ば近いからと、ジャケットは羽織ったものの薄着だったもので、寒いこと!
 欲したのは、自宅で読む本は既に四冊、借りているので、車中で読めるような薄手の本。
 が、こんな時に限って単行本で掘り出し物に遭遇する。
 新刊本のコーナーでいきなり二冊。
 一冊は、ジェイムズ・モートン著の『わが名はヴィドック』(栗山 節子訳、東洋書林)である。ヴィドックというと、知っている人は知っているのだろうが、小生はほとんど初耳だった。サブタイトルが、「犯罪者、警察密偵にして世界初の私立探偵の生涯とフランス革命時代」で、レビューには、「ポーが一目置き、バルザックがモデルにした男、ヴィドック。一犯罪者に過ぎなかった彼は、その狡智によってフランス警察の要職にまで上りつめ、ついには世界初の私立探偵となった。知られざる怪人の波瀾万丈の物語。」とある。
 そう、ヴィドックであって、今、流行のデトックス(Detoxification detox)の本ではない!
[ 正確には、デドックスなのか、デトックスなのか。ネットでは両方ともに使われている。ネット情報の危ないところだ。英語が「detox(解毒・解毒する)」ならば、デトックスなんだろうが。それにしても、こんな健康法(ダイエット)が流行るなんて、不思議な現象だ。痩身商法が限界に来たから新手の商法だ、というわけか。
 小生、当初はラジオから情報を随分前から漏れ聞いていたので、デトックスなのかデドックスなのか、ゲドックスなのか、聞いていて分からなかった。最近は、新聞での広告も含め文字情報に接する機会が増えて、恐らくはゲトックスなのだろうと判明した次第。
 ただ、その中身は不明のままだ。  (06/05/21 追記)]

 この頃、理屈っぽい本を読み続けているので、ちょっと痛快(?)な本をということで、バルザックも好きな作家だし、波瀾万丈の物語を久々に堪能してみたかったのだ。

 もう一冊は、中沢 弘基著の『生命の起源 地球が書いたシナリオ』(新日本出版社)で、「生命は地下で発生し海に出た-。流動する地球の歴史をふまえた探求が、「太古の海は生命の母」との常識を覆す。原始地球における分子の自然選択による斬新な生命起源論。 」といった本。
 生命の誕生説については、様々な説が出ているが、「生命は地下で発生し海に出た」といった説は小生には初耳。
 困ったことに二冊とも単行本で車中で読むには嵩張って困る。
 でも、読みたいという欲求には勝てないので、一応、新書や文庫本を物色はしてみたけれど、とりあえずはこれに勝るものが見当たらず、雨中、二冊の本をビニール袋に詰め、ビニール傘を差しつつ、帰宅の途に付いたのだった。

 一昨日、木曜日の夜だったか、それともそろそろ仕事の終わる金曜日の未明だったか、「深山霧島(ミヤマキリシマ)」の話題が車中のラジオから聴こえて来た。
 生憎(でも、本来は有り難いことに、ということなのだが)、仕事中でほとんど話の内容が聞き取れなかった。
 本当なら、そのまま流すところだが、今日は何を書こうかと、ネタを求めて『十七季』(東 明雅、丹下博之、佛渕健悟 編著、三省堂)を何気なく捲って、初夏の頁を覗いたら、また会いましたね! とでも言うように、植物の樹木の項に「深山霧島」が載っていて、調べなさいと告げている(ように感じてしまった)。

「深山霧島」は季語なのだ!
 早速、「深山霧島 季語」でネット検索したが、言葉の長さが問題なのか、あるいは他に理由があるのか、句作の例が見つからない。そもそもネット検索で浮上するサイトもかなり限られている。
 それでもホームページへのリンクが貼ってないので、検索の網に掛かった頁しか示せないが、「1031 ミヤマキリシマ 深山霧島 つつじ科」なる頁を得ることができた。別名が「きりしまつつし」だというこの樹木の花の画像もちゃんと載っている。
「霧島・阿蘇・雲仙・久住など冬山の標高1000m前後の火山礫帯に生える半落葉の小低木。標高が高くなるにつれて幹の高さが低くなる。低いところでは100cmぐらい、高い所で10cmぐらいで成育している」とか。
「牧野富太郎によってミヤマキリシマの和名が与えられ、クルメツツジの母種であることも指摘された」とも。
 さらに、「なお低地の方からヤマツツジ、キリシマ、ミヤマキリシマと近似の種が住み分けている。産地は上記の外九州の1000m級の高地に自生する」という情報も参考になる。
(探ってみたところ、「都城盆地植物愛好会」がホームページのようだ。)
 但し、「季語:深山霧島、雲仙躑躅、霧島躑躅=晩春」とあるが、『十七季』によると、「雲仙躑躅 山躑躅 蓮華躑躅」は晩春(植物=樹木)の季語だが、「深山霧島」は初夏の季語扱いとなっている。
 
 小生は日本については、北海道へは渡ったことがあるが、四国も九州へも海を越えて行ったことがない。佐渡もいつだったか、島影を遠望したことがあるだけ。
 島嶼には無縁である。そして霧島も。
 当分、隣近所くらいしか出歩けないだろうから、せめて、ネットの力を借りて旅してみたい。
ミヤマキリシマ(深山霧島)大群落/霧島」なる頁が画像豊富でありがたい(ホームは、「グルネット宮崎」のようだ)。
 しかも、画像を拡大して観ることが出来る!
「ミヤマキリシマは、山ツツジが長年火山性ガスに晒され、環境に対応して出来た品種とされています。半落葉性低木で、枝は横に広がり樹高1m以内、酸性土壌を好むようです」などと、詳しい記述に助けられる。

山ツツジが長年火山性ガスに晒され、環境に対応して出来た品種とされています」という記述が引っかかった。
 確か、都内で四月の上旬辺りからボチボチ咲き始め、先月末くらいから満開・全開に咲き誇っているツツジは、品種としては山ツツジの仲間と仄聞したことがある。
 調べてみると、どうやら、「躑躅のなかで花が一番大き」くて、「ふつう「つつじ」と言えばこの種類を指す」という。
正式名称は、「大紫躑躅 (オオムラサキツツジ)」だとか(ホームは、「季節の花 300」)。

 さて、東京の都心の街路で樹木を眺めていて、すぐに気づく特色がある。
 住宅地は、場所によっては違うかもしれないが、その特色とは、花というと付き物のはずの蝶や蜂などの昆虫類の姿を見ることが極めて稀だということ。
 都心の植物にだって花もあれば蜜もあるだろうに、蝶が舞うとか、蜂がブンブン飛んでいるとか、天道虫がサンバを踊っている、なんて姿は一向に観られないのである。
 花粉は風任せなのだろうか。受粉はどうやっているのだろう。
 都心の(ディーゼルなどの排気ガス規制のお陰で環境が改善されつつあるとはいえ)厳しい環境に、ツツジは対応できているが、昆虫類は未だに適応し切れていないということか。
 尤も、車で走行中に、それも渋滞中や信号待ちの間にボンヤリ眺めるだけなので、小生が昆虫類を見逃しているだけなのかもしれない。
 そんな中、都心という過酷な環境下で生き抜くツツジには脱帽……。
 そんなことを、「ミヤマキリシマ(深山霧島)大群落/霧島」なる頁の一番冒頭の写真に写っているアゲハチョウ(アオスジアゲハ?)の雄姿を見ながら、なんとなく思った。

 そうそう、「深山霧島」というと、歌の好きな方、山の好きな方、『四季の歌』などのヒット曲で有名な、歌手の芹洋子さんが好きな方は、「坊がつる賛歌」なる歌の歌詞の中にこの植物が登場していたことを思い起こされることだろう。
きりしまつつじ」という頁を覗くと、「霧島躑躅」かそれとも「深山霧島」の画像と共に、「坊がつる賛歌」の歌詞も載せてくれている。
『坊がつる賛歌』は広島高等師範学校(現広島大学)山岳部の部歌であったものが九州の山岳愛好家の間に広がったもの」なのだとか。

坊がつる賛歌」(【作詞】神尾 明正 【補作】松本 マサ夫 【作曲】竹山 仙史)なる頁を開くと、歌詞の全てを知ることが出来る。
 この頁にも、「広島高等師範の山岳部部歌が元歌。1952年に九州大学の学生だった作者達が大分県の九重町の九重連山に囲まれた坊がつるの山小屋で作った替え歌が山の仲間に広まったものです」と一層、詳しい説明が載っている。
 山岳…。登山…。小生の父は若い頃、剣岳などへの登山に熱中したことがあったという。その愚息たる小生は平地で這い蹲るように生活していて、その志の低さそのままのようで忸怩たる気持ちがあるばかり。
 せめて、この歌で心を洗うべきか…、今更、遅いかな。

 ま、最後に「ミヤマキリシマの時期より1ヶ月早い登山」ということで、ツツジの咲く光景は拝めないが、「白口谷上部より坊ガツル全景」を眺めつつ、今日はお開きとさせてもらおう(ホームページは、「我が人生」のようだ)。

かの山を深山霧島悲しかり
踏む道の深山霧島消え果つる

|

« 「サンバでガンバ」新作! | トップページ | 田中恭吉の版画に再会する »

季語随筆」カテゴリの記事

コメント

霧島は大好きです。
母といったときとまったホテルで、食事をレストランで食べている間に寝床を用意してくれるのですがさりげなく鶴が飾られていた!
僕は青島、高千穂、宮崎は大好きなので何度も行きました。
名前は忘れたけど青い海に面して神社があるんですよね、太平洋を望んで絶景!
さて今日は母の日、弥一さん電話でもされますか?

投稿: oki | 2006/05/14 13:05

身近なネット仲間の中に霧島に旅したことがある人がいるなんて、なんとなく嬉しいね。
四国や九州へ一度はゆっくり旅したい。
家へは電話しましたよ。以前なら花を贈るところだけど、花の世話が負担になっているので、今は電話だけ。声だけ。ちょっと淋しい。

投稿: やいっち | 2006/05/14 21:46

昨日の夜又書き込めなかったですここ。
さて、キリシマというとめるがっぱさんが紹介されていた「美しい夏キリシマ」という映画が思い浮かびます。
昨日吉祥寺で探したけど置いてなかった。
明日三越の梅原龍三郎の展覧会行くついでに神保町で探しましょう。
僕も展覧会カタログはたいてい求めます。
ISBNコードもなく一般に流通していないからその場で求めないとという気持ちになりますよね。

投稿: oki | 2006/05/16 00:32

めるがっぱさん、okiさん、さすがにいい映画をご存知なのですね。
「美しい夏 キリシマ」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002HNQBQ
2003年度キネマ旬報ベスト・テン第1位となると、結構、今も店に置いてありそうですね。
この映画を知らない自分が我ながら情けないね。
展覧会の図録、百冊以上はある。読む本がなくなったら、絵だけじゃなく、解説も読むという楽しみがあるってわけだ。


投稿: やいっち | 2006/05/16 12:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/52847/10054724

この記事へのトラックバック一覧です: 深山霧島…坊がつる賛歌:

» わが名はヴィドック―犯罪者、警察密偵にして世界初の私立探偵の生涯とフランス革命時代 [忍者大好きいななさむ書房]
わが名はヴィドック―犯罪者、警察密偵にして世界初の私立探偵の生涯とフランス革命時代 [続きを読む]

受信: 2009/07/25 11:38

« 「サンバでガンバ」新作! | トップページ | 田中恭吉の版画に再会する »