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2006/04/14

今日は日比谷大講習会

 今日は明け番の日だったが、日比谷で行われる大講習会に行ってきた。これは小生の所属する会社東都自動車株式会社の行事として毎年一度、二日にわたって行われるもので、今年で二十年目となる。名称にも日比谷大講習会と、「大」の文字が被せられている。
 我が社は、「タクシー、ハイヤー、観光バス、ゴルフ場、自動車教習所、賃貸マンション、ホテルマロウドチェーン、スポーツクラブ、民間車検場、他」などを営業するグループ企業で、小生はそのタクシー部門のタクシードライバーなのである。
 タクシー部門について言うと、「現在2,105台は業界トップクラス」とか。タクシードライバーも嘱託を含めると、4,000人以上(5,000人近く?)いる。

東都自動車交通 - Wikipedia」をネット検索してみたら、ほとんど書きかけの状態に留まっている。
 ただ、「ボディカラーはベージュ(余談だがこのカラーはトヨタ純正色であり、色名はそのものズバリ「トートベージュ」)」というのは、初耳で、へえー、であった。
 この頁には、当社のタクシーの雄姿画像が載っている。
(ちなみに、だが、当社のタクシーの営業用(無線で呼ぶ)の名刺には、当然ながら当社のタクシーのボディ写真が載っているが、その車は、小生がその当時乗っていた、まさにその車なのだ。中古とは言わないが、既にロートルの域に入ろうという車を何故、撮影するのか小生には理解できなかった。新車が何台か駐車場にはあったのだし。)

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← 講習会が始まるまでの待ち時間の間、日比谷公園にて散策。チューリップが満開だった。

 大講習会とはいえ、全員が一堂に介する介するわけにはいかず、二日に分けて行われるわけだが、それでも日比谷公会堂はさすがに立つ人は居ないが、立錐の余地もないほどで、満杯である。分からないが管理する会社の社員らには会場の中には座席は用意されていない。運転手で二階席まで含め鮨詰め状態で、運転手らは制帽はないが制服着用で公会堂の狭い席に押し込められるようにして座っている。
 肩を寄せ合い…と表現したいが、肩をすぼめないと座れない。何も悪いことをしたわけでもないのに、身を縮こまらせての窮屈な状態なので、それこそ一時期、飛行機のエコノミー症候群が話題になったが、下手すると講習会が終わる頃には血の巡りが悪くなってからだの具合が悪くなってしまいそう。
 たださえ、明け番というのは、その日の朝まで営業してきたのだから、体は疲労の極にある。都合があり、営業は早めに切り上げ(そのため営業収入も減る!)、営業所の休憩所などで仮眠を取ったりするが、正午近くまで大切な行事とはいえ目をサラにして起きて話を聞いていないければならないから、体が辛い。朝、仕事を終えたらまっすぐ帰宅してお茶の一杯も飲んだら、寝るというパターンが崩れる。
 いつもと仕事や休憩の生活リズムが狂って、午後、帰宅してすぐにベッドに潜り込んだが、今もいつも以上に体が熱っぽい。
 愚痴はここまで。

 大講習会の目的は何か。
 それは、(小生の理解している範囲内では)事故防止のためなのである。会社(各営業所)においても月に一度のミーティングがやはり二日に分けて明け番集会が行われ、さらに、毎日、朝礼という形で出番の運転手が三十分乃至一時間毎に数人ずつ集められて営業所の所長や社員らの注意や報告・通知などを受ける。
 その上、さらに大講習会が行われるのは、タクシードライバーが(小生は詳しくは知らないが、ハイヤー部門の運転手も集まっているかも?)一堂に会して、そこに警視庁の交通関係の係官や東京タクシーセンターの幹部クラスの方に来席を賜り、貴重な話を承るわけである。
 無論、会社からは社長を含め役員も出席している。毎年、数千人のタクシードライバーが集まって警察関係の方たちの話を聴くというイベントを通じて、会社が社会的意義を果たしていることを内外に示すわけだ。
 我が社の前社長は、東京タクシーセンターの顧問も務めていた(もしかしたら現在の社長もかもしれない)。
 あるいは、運転手らが集まることで、仲間意識を持つことも狙っているのかもしれない。そもそも一介の運転手が会社(グループ)の社長や役員らの顔を見るのも、そのとき限りで、営業所に飾られている額入りの写真は別儀として、社長の顔を生で見たのも、大講習会においてだった。
 日比谷公会堂という会場も、前社長が懇意にしていた(?)風水師の方のアドバイスもあったようだ。一度、場所を変えて行ったことがあるらしいが、するとその年(か翌年)、当社のタクシーが関与する交通死亡事故が発生して、縁起が悪いといことになり、また、元の公会堂に戻ったという経緯があったと、前社長(現会長?)が講習会で話されていた。

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→ バスの中から携帯電話のカメラで窓越しに皇居のお堀をパチリ。普段、お客さんを乗せて運転しているだけに、たまに他人が運転する車(バス)に乗ると、楽チンで嬉しい!

 講習会では、大きな交差点にある監視カメラの映像を見せるのが一つの売り物だった。数々の事故シーンがやや見づらいとはいえ、生の映像で見られるのだ。必ずしもタクシーの事故に限らないが、そうした映像を見ると、事故を実感する。
「大きな交差点にある監視カメラの映像を見せるのが一つの売り物だった」と書いたが、実は、今回の講習会では、ウィットネス( Witness)装置の事故映像が映写されていたのだ。
 これは当社のタクシー(ハイヤーなどにも?)全車に設置されているカメラで、事故が発生すると、その模様を自動的に録画するものである(「ウィットネス( Witness)のこと」を参照願いたい。関連は薄いが、タクシーエッセイということで、「夜間飛行を堪能する」を読んでみてもいいかも?)。
 他社のタクシーなどにも設置が相当程度にされているようで、事故の際の原因・責任追及・反省などに威力を発揮している。
 今回、多分、他のタクシー会社のウィットネス( Witness)映像が使われていて、よって当然ながら、どの映像もタクシーが関与した事故ばかりということで、身につまされる思いで見入ってしまう。
 ああした映像を見ると、事故は起こる時には起こるものと痛感させられる。交差点で一時停止を怠ったが故に表通りを走りすぎる車、バイク、自転車、歩行者を撥ねてしまう。あれよあれよという具合である。本人は止めているつもりで、実際は止まっていないのだ。停止線で止めても、そこでは前方の交差する道の具合が分からないので、早く様子を確かめたい、あるいは先を急いでいて、つい、車の前部をチョロチョロと出して確かめようとしてしまう。それが、交差する自転車・バイク・車にしてみたら、当方は一時停止すべきところを止まらないで不意に飛び出してしまったという形になるのだ。
 小生にも今年の二月始めにその事故の当事者になってしまった。自転車を撥ねたのだ。というか、撥ねた衝撃は感じなかった。車にも自転車などがぶつかった痕跡が警察官が探しても見つからなかった。
 それでも、路上に昏倒する自転車や人の姿を見た瞬間は、ああ、運転手となって十年目にして、とうとうやってしまった! と、頭の中が真っ白になる思いだった。
 実際には相手の方に怪我もなく、ただ、自転車に破損があって、弁償する形で収まったが、相手にとってもだろうが、自分にとっても辛い経験となった。
 その意味で、今年の講習会に望む小生の気持ちは、いつも以上に、心改まる思いだった。
 そう、いつも戦々恐々だったり、臆病なほどに用心深く走行しているつもりだが、昨年の9月で運転手になって10年選手となった小生、初心に帰らないとダメだと天が我に諭したのだと、改めて事故当時の様子を思い返しつつ、いつも以上に厳粛な思いで望んだのだった。

 警視庁の係官の話は、さすがに話慣れているのだろう、つい、話に聞き入ってしまう。事故で死んだ人は帰らない。朝、今日も無事で帰ってくると思って送り出した子供が、事故で亡くなってしまう。帰ってこない。事故を担当する係官の仕事で何が辛いといって、事故で亡くなられた遺族・家族の方に、事故のあったことを伝えることだという。
 事故を起こして死亡させた運転手に自分で相手方に連絡させたいくらいだ、とも。
 突然の話を聞かされた身内の方の心境は、想像を超えるものがある。

 講習の最後は、昨年も臨席され話をしてくれた、東京タクシーセンターの幹部の方だった。昨年、審議会の答申(?)が出され、それに伴って、街頭指導や東京タクシーセンターでの講習内容が変わるという。
 これまでは新人でもベテラン相手でも、お客さんからのクレームがあって講習を受ける方が対象であっても、講習内容が同じだったのが(同じ教室に集められて講習を受けていた)、今年からはそれぞれの相手に即した講習内容になるとか。
 当たり前じゃん! 今までは何だったのだろう。

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← 同じくバスの車窓から皇居のお堀を撮る。池には白鳥なども泳いでいた。金曜日なのに何故か皇居には観光客がやたらと多かった。よそ目には我々の乗るバスも都内観光のバスに見えていたのかな。眠気があったけど、めったにないバス観光の機会だとばかりに、営業所に帰るまでの間、都内の風景を撮りまくった。

 朝の九時半から始まった大講習会が終わったのは、十一時半近くだったか。講習会の会場である日比谷へは、各営業所から全員がバスで向かう。一部、講習が終わったら、そのまま帰宅する人も居るが、大多数は再度、バスに乗って営業所へ向かい、そこで手続きなどを済ませて解散となる。
 講習会の開催される日比谷公会堂のある日比谷公園では、会場に着いたのが、八時過ぎということもあり、講習会の始まるまでの間、眠い目を擦りつつだが、散歩して回った。
 桜の季節は終わったが、つつじの季節が始まっている。
園内では、チューリップが満開だった。花びらや茎や葉っぱなどが前夜の雨にか、それとも朝露にか濡れていて、日差しもやんわり当たっていて、気持ち良さそうに花開いている。
 ヒマラヤ杉、イチョウなどの木々もこの頃の曇天続きのせいか、しっとり落ち着いているように感じられた。

日比谷公園 - Wikipedia」によると、「幕末までは佐賀鍋島家、萩毛利家などの上屋敷が置かれており、明治時代には陸軍近衛師団の練兵場となった。 その後、本多静六によって「都市の公園」として設計され、1903年(明治36年)6月1日 に日本初のドイツ式洋風近代式公園として開園した」という。
 初の紅白歌合戦も日比谷公会堂で行われたと、可愛いバスガイドのお嬢さんがバスの中で話していたっけ。
キルケゴール…命日…還暦」や「フィギュアスケートの魔力」、「今日という日…二題」あるいは「満月の夜」では、小生が撮影した日比谷公園の画像が拝める。
 日比谷公園近辺の野音や桜田門には思い出がいろいろあるが、後日、改めて。「日比谷公園」の説明や画像を眺めつつ、本日はお終い。

 全くの余談だが、昨日の営業で、今、「Kyoko’s Eye’s MIRAGE」やDVD写真集『FABULOUS MAX』などで話題沸騰(?)の叶姉妹のお住まいが分かった。小生にも馴染みの、懐かしい土地。高級マンションのワンフロアーを占有しているとか。

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コメント

タクシードライバーという仕事は、
大変な重労働と聞きますが、
生活のリズムが狂いませんか?
東都のタクシーはよく目にしますね。
身体にお気をつけ下さい。

投稿: 勿忘草 | 2006/04/14 22:43

勿忘草さん、コメント、ありがとう。
たださえ普段の営業でも生活のリズムを保つのが至難なのに、こうしたイベントが行われると、その意義は認めつつも、体は参ってしまいます。夜半までほとんど寝て過ごしましたが、今も、ぐったり。
幸い、土曜日は休みの日なので、何もする気力はないのですが、とにかく体を休めるつもりです。
勿忘草さんのホームページをまたまた見てきました。素敵な相手とダンスする。3分間はあなたが主役。小生がファンになっているサンバとは違うダンスホールでのダンス、これまたいいですね。

投稿: やいっち | 2006/04/15 00:58

「東都自動車交通 - Wikipedia」を今朝未明、久しぶりに(いちねんぶり?)ネット検索してみたら、若干、記述があった。
まだまだ書くことが随分とあるはず。この日比谷大講習会も、東都の特色のひとつだ。日比谷公会堂を延べ二日間、借り切って、警察の交通関係の課長クラスの人が講師で来るし、16日は、会場からの数十台のバスの出入りを警察が交通整理していた!

投稿: やいっち | 2007/03/18 05:56

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