勿忘草と都忘れとは
いつもながら何を書く当てもなく画面に向かう。まあ、その気になれば書くネタを見つけられないことはないが、強いてこれにするという題材がない。
それでも、四月の季語(季題)表を眺めていたら、表題にある「勿忘草」が目に入った。
思えば、過日より、ブログの名前がまさに「勿忘草」というサイト(の方)とひょんなことから縁を持つことが出来た。
実は、「勿忘草 季語」でネット検索して「勿忘草」の主に季語に絡む情報を摂取しようとしたら、上位に「勿忘草」さんサイトが登場する。大人気サイトなのだ。
ダンスのインストラクターをされつつ、日々、ブログをも運営されている。「DANCIN' FUJI」というホームページをも。曲がりなりにもサンバのファンになっている小生、尚のこと、関心を持ってしまうのは自然の勢いというもの。
ウン、今日の季語随筆は「勿忘草」に決定!
ところで、恥ずかしながらだが、「勿忘草」を漢字表記させようとすると、少しは面倒なのかなと思っていたが、「わすれなぐさ」と書き込んで仮名漢字変換させると、一発で「勿忘草」という感じ表記になった!
今更、感激するのも小生が迂闊なだけかもしれないが、ちょっと嬉しいのは何故?
さて、いつものように、「動・植物編(種類順)」の「勿忘草(わすれなぐさ)」の項を覗かせもらうと、「水色や青紫色の小花で、花言葉は「私を忘れないで」」とある。
と、考えてみたら、「勿忘草 季語」で浮上してきた「勿忘草 ( わすれなぐさ ):忘れな草」なる頁に「勿忘草」の可憐な画像(サイト主の方も驚いておられたが、画像は「向島百花園の入り口の片隅の目立たない場所に咲いていた」ものを撮ったとかで、9月の撮影だとか!)と共に、《勿忘草》についての伝説が紹介されている。
どうやらドイツの伝説らしい。
「季節の花 300」の「勿忘草 (わすれなぐさ)」の項を開いてみる。
冒頭に、「forget-me-not」と別記してある。 「フォーゲットミーノット」と読むのだろう。これが本来の名前のようだ。和名である「勿忘草」がこの名前の和訳なのだとか。
素敵な画像にしばし見入った上で、さて、ドイツの伝説がここでも紹介されている(と、画像の撮影の日付に注目。平地では四月、高原では八月から十月。向島百花園は平地だから、やはり九月に咲くのは謎のままだ):
「ドナウ川の岸に咲くこの花を恋人ベルタに贈ろうとして、誤って川に落ちて死んでしまった騎士ルドルフの物語からきている。その後ベルタはその言葉を忘れず、この花を一生髪に飾り続けた。」
「北信州の道草図鑑」の「ワスレナグサ(勿忘草)」なる頁へ飛んでみる。
「名前に似合わず繁殖力が旺盛で、どんどん増えます」という。へえー、そうなのか。
それはともかく、「ヨーロッパ原産で、ドナウ川の岸に咲くこの花を恋人に贈ろうとして、川に落ちて死んでしまった騎士の物語から名付けられたそうですが、命を掛けるほどの花でしょうかね」とあるのは、ちょっと騎士ルドルフが可哀想。
「OIL 勿忘草(わすれなぐさ)」なるブログの頁に寄せられたコメントによると、「花に手が届いた瞬間すべって急流ドナウ河に落ち流されもがきながら花を高くかかげ「私を忘れないで」と叫びながら飲み込まれてしまいました。私を忘れないでの花言葉は、ルドルフ最後の言葉」だとか。上で転記した文章にもあるが、「このベルタという女性はその言葉を守って一生髪にこの花をつけていたとのことです」という。
騎士ルドルフは花に触れつつも、川に流されていったわけだから、彼女ベルタは、ルドルフから手渡された花ではなく、自分で何処かしらから摘んできたのだろうか。
分からないが、川に落ちるような危ない場所じゃなくても、生えている植物のはずなのに、どうしてルドルフは危険な場所に咲く花を摘もうとしたのだろうか。
「原産地のヨーロッパでは水湿地に群生」というから、そもそも勿忘草の咲いている場所が危ない地だということか。
「ベルタという女性はその言葉を守って一生髪にこの花をつけていた」というのも、若いうちはいいけど……。
ま、余計な詮索はやめたほうがいいのかな。野暮だし。
ああ、でも、真相とかが気になるんだよね。きっと、我がサイトを覗いている酔狂なあなたも?!
「日本新薬株式会社 ハーブの館」の「38.愛と誠実の花「ワスレナグサ」 Myosotis scorpioides L. (ムラサキ科)」なる頁を覗いてみる。
伝説に移る前に画像に注目。葉っぱに微細な毛が生えている。花が顔で葉っぱが腕なら、結構、毛深い植物なのか?!
ここでの伝説の説明は一層、詳しい:
「昔、ルドルフとベルタという恋人同士が暖かい春のタべ、ドナウ川のほとりを散策していた。乙女のベルタは、河岸に咲く青い小さな花を見つけた。彼女は、若者のルドルフにその可憐な花を採って欲しいと頼んだ。彼は、岸に降りていきその花を手折った瞬間、足を滑らせ急流に巻き込まれてしまった。ルドルフは、最後の力を尽くして、花を岸辺に投げ、「私を忘れないで」と叫び、流れに飲まれていってしまった。」というのだ。
おお、そうだったのか! ルドルフは乙女(?!)のベルタに頼まれ岸辺に降りて行って手折ろうとして、足を滑らせたのだった。
そして、「ルドルフは、最後の力を尽くして、花を岸辺に投げ、「私を忘れないで」と叫び、流れに飲まれていってしまった」のだ。
そうか、ルドルフは花を岸辺に花を投げ、忘れないでと叫んで流されていったのだ。
「残されたベルタはルドルフの墓にその花を植え、彼の最期の言葉を花の名にした」という。「ベルタという女性はその言葉を守って一生髪にこの花をつけていた」というよりは、納得がいく後日談(話)だろう。
"Vergissmeinnicht"(忘れな草)だという。中国名でも「勿忘草」とか。ということは、「勿忘草」という漢字表記は中国の人の手になるというわけか。
「38.愛と誠実の花「ワスレナグサ」 Myosotis scorpioides L. (ムラサキ科)」には、「植物の名前「忘れな草」について別の言い伝えもある」として、アダムとの神とのやや滑稽(?)な逸話が紹介されている。
この頁には、倍賞千恵子や菅原洋一が歌ってヒットした、「忘れな草をあなたに」(木下龍太郎作詞、江口浩司作曲)という歌謡曲(の歌詞)が掲げられてあるのも嬉しい。
せっかくなので蛇足を。
映画「男はつらいよ」シリーズに「寅次郎忘れな草」 (1973)がある。浅丘ルリ子がマドンナ役だったもので、寅さんシリーズでも名作の部類に入ると思っている。
ところで、この映画の中に「忘れな草」が実際に出てきたかどうか、覚えていない。
青兎氏のレビューによると、「都忘れ」が出てくるらしい。
「季節の花 300」の「都忘れ (みやこわすれ)」なる頁を開いてみる。雰囲気は似ている。与える印象も勿忘草とほぼ同じか(この花に付いても、後日、調べてみよう!)
でも、同じ花じゃない。同じ時期に咲く花だけど。
どうして「勿忘草」ではなく「都忘れ」が登場するのだろう。「勿忘草」が見つからなかった? だったら、「寅次郎都忘れ」にするべき?
もう一度、この映画を観ないと疑問は氷解しないのかな。
それはともかく、小生は「勿忘草」(忘れな草)という名称は、可憐だけれど地味で印象に薄そうなこの花にこだわりを持った誰かが、何か名前を与えよう、忘れないように素敵な名前にしようと思っていたのが、名案が浮かばないうちに、忘れないようにしようと思ったことだけが脳裏に残り、結局、忘れな草となってしまったような気がする。
身も蓋もない話でお粗末だが。
勿忘草…かくは思へど恋多し
あの雲の形に君が勿忘草
目を閉じる勿忘草やら都忘れやら
初恋を勿忘草と今日も恋
勿忘草かく思いし日はるかなり
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コメント
またまた身に余る、嬉しい紹介記事とTBをありがとうございます。
向島百花園で撮影の勿忘草は、僕も今ごろ咲く花なのかなと、ちょっと疑問に思いました。
園に入り口の片隅の、水の張った瓶の中に咲いていたのですよ。
都忘れも我が家のベランダで咲きはじめました。
昨年の画像があります。
よろしかったらご覧下さい。
http://blog.goo.ne.jp/dance-fuji/d/20050423
ありがとうございました。
投稿: 勿忘草 | 2006/04/21 02:04
勿忘草さん、挨拶にも行かず、トラックバックだけして失礼しました。「勿忘草」サイトがネット検索で上位に来ることしばしば。人気サイトであること再認識しました。
再演に間に合ってよかったですね。また、いい出会いもあったとか。
都忘れの画像、見させてもらいました。ほぼ一年前のもの。春…宴、酣という感じでした。そうした花が庭で咲くとは羨ましいですね。
投稿: やいっち | 2006/04/21 03:30
花の種をよく蒔くのですが、勿忘草は芽を出してくれません(私のもの忘れが激しいせいか!?)都忘れは咲くんですけど。。
水が足りないのかも~元々湿地の花のようですしね。
投稿: ちゃり | 2006/04/22 20:25
ちゃりさん、小生、花も動物も育てるのは苦手で意見など言えた柄じゃないのですが…。
勿忘草って、場所さえ恵まれたら自生するのかも。育てないで水辺か湿地もどきを用意して放置プレーするとか。
育て方は、あるサイトだと:
「種は花壇に直播にし、発芽後、間引きます。発芽までに15日くらいかかるので土は乾かさないようにします。春先にポット苗を購入して根を崩さない様に注意して植え込むことも出来ます。我が家の庭の勿忘草はここ数年勝手に花が咲き、種が出来てだんだん増えてきました。今年も沢山冬を越しましたので間もなくピンクと青色の勿忘草のグランドカバーが出来ます」だって。
あるいは:
場所 日なた
種まき 9月
植付け時期 苗 3,10,11月
用土 赤玉土7 腐葉土3(水はけよく湿り気のある土)
肥料 苗の植付け時 緩効性化成肥料 開花期は薄めの液肥を月2回
水やり 表土が乾いたらたっぷり与える 2~3日に1回、冬は3~4日に1回
病虫害 アブラムシ…月1回 オルトラン
その他 根がデリケートなので傷まないよう植え付ける
寒さには強いが霜対策に株元は枯葉などで被う
乾燥しすぎると萎れ葉が痛む
だってさ。
今度、上手くいったら、教えてね。
投稿: やいっち | 2006/04/22 22:38