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2006/02/08

昨日は北方領土の日

 小生はタクシードライバーとして都内を走り回っている。といっても走っているのは車で小生は運転しているだけだが。
 午後早々、虎ノ門辺りでお客さんを乗せて麻布台のほうへ向かった。国道一号線を下り飯倉交差点で右折するのだが、飯倉交差点近辺がやたらと賑やかである。警察関係の車で一杯なのである。
 すると、お客さんが、「今日は北方領土の日だからねー」と一言。
 小生、「なるほど!」
 だからなのか、都内特に港区には右翼の方々の車を方々で見かけていたのも、納得である。
 飯倉の交差点近くには有名な場所(タクシーで目的地をお客さんが支持する場合の目安になったり、まさに目的地になるような場所)が幾つもある。
 歩いて数分のところに限っても、東京タワー、ラジオ日本、霊友会、麻布郵便局、外務省飯倉公館、オランダ大使館、幾つかの有名な教会、アメリカンクラブなどなど。
 あれ? 何か肝心の建物を忘れてはいませんか? 
 そう、ロシア大使館がある(常々不思議に思うのは、アメリカンクラブとロシア大使館の建物がほとんど背中合わせに建っていること…)。
 だからだろうが、ロシア大使館が面する道路へ侵入する飯倉、及び飯倉片町の交差点などには常時、警察(か機動隊)の車両が止まっており、移動式の鉄の柵が設けられていて、必要に応じて柵で封鎖などを行う。

 が、昨日7日については、警戒のレベルが違っていた。
 飯倉の交差点では、警視庁の腕章を付けた私服のお巡りさんや機動隊の車両が物々しく警備し検問を行っている。
 一方、右翼のお兄さん方の車も声が大きすぎてよくは聞き取れないのだが、拡声器を使って何か叫びつつデモしておられる。

 ということで、既に昨日になってしまったのだが、7日は北方領土の日ということで若干のことをメモしておきたい。 
 特に昨日7日は、秋篠宮妃紀子さん(39)が第3子を懐妊されたことが分かっただけに、マスコミではまず話題に上らなかっただろうと推測される(小生は営業中だったので、その第一報がマスコミに流れる前には多少は北方領土の問題が話題になったのかもしれないが、分からない)だけに、野暮と思いつつもメモっておきたいのである(余談だが、秋篠宮妃紀子さん第3子懐妊の第一報はNHKだった?!)。
 
 北方領土の問題はやはり外務省に公式な見解を伺うのが礼儀だろうか。
外務省 よくある質問集 欧州」(「アジア、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ」と各地域ごとに質問を括っているが、ロシアは欧州の頁に同居。これらの分類からロシアを探すにはちょっと迷うかも)を覗くと、以下のよくある質問に対する答えが載っている。
 よくある質問とは:

 

・北方領土問題に関する政府の基本的立場は、どのようなものですか。
・北方四島が我が国の「固有の領土」であることの根拠は何ですか。
・北方四島に居住しているロシア人は、北方四島が我が国に返還された場合、どうなるのですか。
・日本政府は、日本国民による北方領土訪問に対して自粛を要請しているとのことですが、なぜ日本固有の領土である北方領土を日本国民が訪問してはいけないのですか。

 このうち、「北方四島が我が国の「固有の領土」であることの根拠は何ですか。」という質問に対する答えだけ転記させてもらう:
「北方四島はいまだかつて一度も外国の領土となったことがない我が国の領土です。
 日露両国は、今から150年前の1855年2月7日に調印した日魯通好条約により、両国の国境を択捉島とウルップ島との間に定めました。その後1875年の樺太千島交換条約において、我が国は千島列島(シュムシュ島からウルップ島までの18島。)をロシアから譲り受けるかわりに、ロシアに対して樺太全島に対する権原、権利を譲り渡しています。
 ソ連は、第二次世界大戦末期の1945年8月9日、当時有効であった日ソ中立条約を無視して、我が国に対し宣戦布告し、我が国のポツダム宣言受諾後の8月18日には千島列島に侵攻し、その後29日から9月5日までの間に北方四島のすべてを占領し、一方的に自国に編入しました。なお、1951年のサンフランシスコ平和条約で我が国が千島列島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しましたが、そもそも北方四島は千島列島には含まれていません。また、ソ連は、サンフランシスコ平和条約への署名を拒否しました。」

 ところで、上記の質問の4番目にある「日本政府は、日本国民による北方領土訪問に対して自粛を要請している云々」という質問は、最初一読した時、ちょっと意外(?)だった。
 でも、以下の説明を聞くと、一応は納得:
「北方領土はいまだかつて一度も外国の領土となったことがない、日本固有の領土です。しかし、現実には、北方領土は依然としてロシアの不法占拠の下におかれており、現在、日本はロシアとの間で北方領土返還のための交渉を精力的に行っています。
 このような状況の下で、ロシアが北方領土において管轄権を有していることを前提とする行為を日本国民が行うことは、あたかも北方領土がロシアの領土であることを認めることにつながり、北方領土に対する日本の法的立場を害するおそれがあります。 」

 北方領土問題については、多くのサイトがある。以下に列挙するサイトが代表的なものなのかどうか、申し訳なくも小生、判断できない。

外務省 北方領土問題
 筆頭には、ここを挙げたが、上掲の「日本国民による北方領土訪問に対して自粛を要請」などの問題も含め外務省によるより詳細な説明が載っているということで。
北方領土問題対策協会ホームページ
 独立行政法人北方領土問題対策協会が主体のサイト。納沙布岬から北方領土を望むというライブカメラも設置されている。

北方領土問題」画像や周辺資料が豊富。「ソルジェニーツィン著 【廃墟のなかのロシア 6.困惑するロシア、そして東洋 】から抜粋」も興味津々だった。
根室市ホームページ
 なんといっても北海道の中でも根室市が地元なのだ。
北方領土返還運動
 千島歯舞諸島居住者関係の方が作っておられるサイト。

北方領土復帰期成同盟
 資料が満載。一通り見渡すだけでも相当な時間がかかりそう。関連条約資料集も充実していて、本格的に取り組むという志のある方は、とりあえずチェックしておいたほうがいいだろう。
 日ロ交渉動画集もあるが、小生のパソコンにはデータが重すぎた。

前編は江戸時代の経緯から戦後の日ソ交渉開始まで 北方領土問題基礎知識(前編) - [よくわかる政治]All About
 辻 雅之 (つじ まさゆき)氏による解説。自由主義者、実存主義者だって。

 ご存知のように北方領土返還交渉も拉致問題同様、膠着状態に陥っている。
 日本も近年、ナショナリズムの傾向が強まりつつあるが(愛国心(?)に訴える姿勢を強調したほうが為政者は強気で毅然としているかのように装えるってこと?)、中国も韓国も、そしてロシアも同様のようだ。
 そうした愛国心の高揚の問題はさておき、地政学的に戦略的に考えると、やはり日米同盟がネックなのは明らかなように思える。
 何も日米同盟を解消云々という愚かなことを主張するつもりはない。
 大切なのは、日米同盟と同じように日中関係、日韓(日朝)関係が大切であり、対東南アジア関係が大事であり、対ロシア関係が枢要なのだという認識だろう。
 日本は過度に日米関係に傾きすぎているし、ますますその傾向を強めている。
 そんな中にあって、ロシアが北方領土を返還するような(ロシア側からすれば)愚挙をだろうか。日本の制空権はアメリカが握っているという日米同盟下という現状にあっては、北方四島を返還するということは、日本が、というより、アメリカがロシアのノドモトに匕首を突き立てるようなものだ。
 日本が独自の戦略を持ち、ある程度アメリカとは距離を置き、日米同盟と同等とまではいかなくとも、それに近い日露共存関係と信頼を築き上げないと、友好的な形での北方四島の返還は難しいように思う。
 まずは、せめて北海道の制空権を日本がしっかり握り、北海道から北方四島、広くは千島列島、さらにはサハリン、できれば間宮海峡などに面するロシア本土も含めたエリアを非核友好エリアに設定する方向を打ち出すことが先決なのではなかろうか。
(このことは、朝鮮半島の南北問題にもある程度言えるのではないか。南北朝鮮が統一なるとして、その際の核の傘はどの国が差すのか。アメリカ? ロシア? 中国? 日本? 何れも論外か問題外のことだろう。となると、朝鮮半島そのもの、できれば日本列島(少なくとも日本列島の日本海側)も含めて非核地帯に設定するしか、南北統一は為らないのではないか。やはり、このエリアでも、日米同盟の相対化が肝要と考えられる。)
 そのためにも、アメリカに対し、特に北海道に関して一定の距離を確保する外交戦略を持つことが必要だろう。
 難しいことは歴然としている。が、現状の強まる一方の日米同盟下にあっては、より北方四島の返還は遠のくばかりなのではないか。

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コメント

弥一さん御訪問ありがとうございます。
無精つながりで来て下さっている方がいるのに、急にタイトル変更などしてしまって、申し訳ありません。
私の方は、弥一さんのように、しっかりと考えられた長文は、とても残せませんが、内容は前と変わりませんので、今後ともよろしくお願いします。

投稿: 殿下信平 | 2006/02/08 23:44

殿下信平さん、こちらこそ、です。
ただただ淡々と書き綴っているだけです。自分については、無精ってのが板に付いている(?)ので、当分、このまま使っていきそうです。
ま、のんびりやっていきますので、よろしく。

投稿: やいっち | 2006/02/09 02:01

こんばんは。
ブログの内容と全く関係なくてすみません。

てっきり弥一さんは富山のタクシードライバーだとばかり思っていました。東京なのですね。
ちょっとだけびっくりしたので書き込みました。
もしかしたら乗ってるかもしれませんねぇ。都区内で乗ることは滅多にありません。が、飲んでて終電逃して家までタクシーで帰ったことが一度ならずあるので。。。。
ではでは

投稿: ぷうくま | 2006/02/14 00:04

ぷうくまさん、ひさしぶりです。
日々是好日ではお世話になりました。
結構、都内の記事を書いているつもりなのですが(自分が撮影した風景の写真も都内がメイン)、富山の話題を取り上げることが多いから、そんな誤解も受けるのでしょうね。
いつか、乗っていただく機会もあるかもしれない?! 期待しています。


投稿: やいっち | 2006/02/14 03:42

ご無沙汰しておりました。

確かに東京の話題多いですね。なんで富山だと思い込んでたんでしょう。

ところでトラックバックし忘れたのでやってみたのですが、うまくいってないかも。わたしのトラックバックはいずこへ?
全く知らない人のところにはりついているのか???

それではまた

投稿: ぷうくま | 2006/02/14 22:38

ぷうくまさん、小生、東京在住も25年を越えてます。なのに都内のこと、あまり知らない。東京タワーも上ったことがないし。
あの、もう一度、TBやってみてね。
引越しされたのですね。荷物の整理、もう済んだのかな。

投稿: やいっち | 2006/02/15 08:47

だめです、TB。できません。
なんでだろう?
以前はできたのに。
ということでまた出直します。

投稿: ぷうくま | 2006/02/18 21:39

ぷうくまさん、調べてみたけど、TB規制はしてません。
コメントが出来るのだから、TBはできるはず。不思議ですね。
sweetlonesomekenさんの書き込みがありましたね。小生、彼の日記(エッセイ)のファンなので、元気でいることに安心しました。

投稿: やいっち | 2006/02/19 07:03

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