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2006/01/22

光柱…叶わぬ夢?

「氷柱」については、この季語随筆でも「氷柱」にて採り上げたことがある。字面は同じでも「ひょうちゅう」だと氷の柱だし、「つらら」だと軒先などに生じるそれである。
「氷柱(ひょうちゅう)」も「氷柱(つらら)」も、一月の季語である。

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→ 21日夕方、買い物に出かけた際に撮ったもの。東京では久々の雪模様。画像ではしかと見えないが湿っぽい雪が舞っていた。夜中に外に出てみたら、既に大半が溶けてしまっていた。呆気ない夢のような雪だった。未明には溶けた雪水が凍結するのか…。

 冬の日の儚き恋さと雪の降る

 ところで(字面的にのみ)似て非なる言葉、乃至は現象に「光柱」がある。
富山の天気を見よう!!」の「冬の気象」なる頁を覗く。
「冬の夜空を彩る」という項目に、「光柱」現象を示す画像が載っている。
「空にうす雲があるとき富山湾では夜空に光のすじが何本も見えることがあります。これが光柱です。強い漁り火が光源となって、それが雲の中にある氷晶(小さな氷の結晶)に反射され光の柱になる」のだという。

 冬の日本海側では珍しくはない現象のようで(といっても一冬に数回、全くない年もあるらしい。悲しいかな北陸生まれの小生だが、一度も見たことはない)、「やまびこネット」の「自然をさぐる(1)」のさらにその名も「光 柱」という頁を覗いても、「海上の夜空に縦に伸びる淡い光のすじが並んでいます。これは光柱と呼ばれる現象で、上空に漂う氷の結晶に漁船の集魚灯の光が反射したもの」という説明と共に「光柱」の画像が載っている。

 さらに詳しくは、ホームページ(表紙)は削除されたのか見つからないのだが、「今月の話題/気象/No.239 光 柱」にて光柱現象のメカニズムが説明されている。
 大事なのは、「冬の晴れた夜」とのことで、「冬の晴れた、そして海のおだやかな夜、富山湾には漁船の漁り火がともります。漁り火はとても明るく、人工衛星から夜の地球を観測すると、よい漁場がある日本海中部は、たくさんの人々が生活する都市の明かりなみに輝いています。 こんな夜、海の方向に体を向け視線を少し上の方に向けてみて下さい」とのこと。
(尤も、にあるように、「空にうす雲があるとき」でないと光が投影される媒体がなく、現象しようがないわけで、冬の晴れた夜で且つ空にうす雲があるとき、ということになるのかも。以下の説明が大事。)

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← Charlie K. さんの手になるリベルダージ新年会(G.R.E.S. LIBERDADE "FELIZ ANO NOVO 2006" )画像の一つ!

火のごとく命滾(たぎ)れと舞う夜か

「光柱が日本でも知られるようになったのは1983年長崎県の対馬が最初です。たくさんの漁船が作る何百本もの光柱が夜空に現れ、それを見た人々から報道機関などに問い合わせがさっとうしたそうです。中には「UFO」の襲来だと思った人もいたそうです。 その後、函館、札幌、福井など、おもに日本海沿岸の各地で見たという報告がありました」という。

 確かに、いきなり空に光の柱が幾筋も見えたら、びっくりするだろうことは間違いない。
「光柱の正体」という項目を読むと、「雲はその形や現れる高さなどから10種類に分けられています。そのなかで空の高いところに現れる層状の雲、うす雲(巻層雲)は氷晶とよばれる小さい氷の結晶からできています。 氷晶はまた鉛筆のような形をしたもの(六角柱)と鉛筆をうすく輪切りにした形のもの(六角板)の二つに大きく分けられます。この内、六角板の氷晶からできているうす雲が空にあるとき、漁り火の強い光は氷晶によって反射され陸地にいる人の目に入ります。 ところが人の目には、この光が、まるで空にあるかのように真っすぐやってくるように見えます。 これが光柱の正体です」という(太字は小生による)。

 ところで、「光柱」現象は、「ニューフェース」の現象だとか。
 つまり、 「光柱は太陽や月の周りにできるカサの仲間です。「カサがかかると雨」ということわざからもわかるように、カサは昔から知られた気象現象でした。 光柱を作る雲はほかのカサを作る雲と違う特別のものではありません。 漁り火の明るさが昔にくらべてかなり明るくなったこと,つまり人間の営みが自然の中に、このニューフェースを登場させたといえるでしょう」というのだ。

Sunpillar

→ 「太陽柱」 (画像は、「太陽柱 - Wikipedia」より)

Y.AYA's Garden - Skyscape Hill - A.O.Museum 天空博物館」なるサイトの「Y.AYA's Garden - ... - A.O.Museum - Sun Pillar, Subsun 太陽柱・映日」という頁を覗く。
「冬から春先にかけての寒い日などに夕日の上に、光の柱が現れることがあり」、それが「太陽柱 (sun pillar) と呼ばれる現象」である。
「映日」は、「雲の上に出た飛行機の窓から眼下を見下ろすと、雲に映った太陽が見えることがあります。映日 (えいじつ) と呼ばれる現象で」、「地上でも、ダイアモンド・ダストが舞うようなときには、建物の上の階や丘や山の上から見下ろすと見えることもあ」るのだとか。

 上記したように、「光柱」現象は、「日本でも知られるようになったのは1983年長崎県の対馬が最初」という「ニューフェース」の現象のようで、季語のうちには未だ入っていないのかもしれない。
 あるいは、それほど頻繁には見られないし、日常的な現象ではないということで、今後とも季語には成り難いのかもしれない。
 ああ、光柱…。いつかはこの目で見てみたい。叶わぬ夢ではないのだし。


光柱を見たしと北の空望む

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コメント

「光柱(こうちゅう)」と類似の現象に「月柱(げっちゅう)」などがある。下記参照:
「太陽柱(たいようちゅう)」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E6%9F%B1

投稿: やいっち | 2008/02/13 18:06

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