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2006/01/20

水仙…ナルシスの花の香

「水仙」が「季題【季語】紹介 【1月の季題(季語)一例】」(「俳句ステーション」の「季語」へどうぞ)の一例にあるのは気づいていた。
 でも、花に(も)疎い小生、いまひとつ水仙と冬とが結びつかない。
 困った時は、きっとここならちゃんとした説明を期待できると、たいらさんの「閑話抄」を覗かせていただく(たいらさんのメールアドレス)。
 さすが、期待にたがわず、<水仙>という頁がある。
「水仙は冬(歳時記によっては新春でも用いています)に位置する季語ですが、 この水仙は古くからある白い水仙のことです。所謂黄水仙というものは南欧原産のものです。白いものと比べ開花が遅くなりますので、春の季語になっています」という。
 先に進む前に「おしゃべりな部屋 (プラネタリウム,星,植物,熱帯魚,統計学)」の「スイセン(水仙)」という頁で水仙の様子を画像で見てみたい。
 花が黄色の水仙に、「ギリシア神話で,美少年ナルシッサスが水面に映る我が姿に見とれ,そのまま花になってしまったのが水仙だということです。そこで,英名は narsissus です。また,自分の美貌に酔いしれる人をナルシストと呼ぶのもここから来ているわけです。」といったコメントが付せられている。

 たいらさんの<水仙>に戻ると、【ギリシア神話と水仙】という項目に、「水仙というとギリシア神話のナルキッソス(ナルシス)の話が有名ですね。この 語源はギリシア語で昏睡を意味するナルケとされています。水仙にはアルカロイド 系(麻酔系)の物質が含まれているそうです。そういえば水仙は曼珠沙華と同じく ヒガンバナ科の植物です。増え方(結実せず燐茎で増える)や葉の出方などに どことなく共通点があるような気がします。」と説明されている。

 そう、水仙は「ヒガンバナ科」の植物であり、学名は「Narcissus」という。

 上にも「ギリシア神話で,美少年ナルシッサスが水面に映る我が姿に見とれ,そのまま花になってしまったのが水仙」とあるが、さらに詳しくは、この神話は、「ナルシスの語源は、ギリシャ神話にあります。美少年ナルキッソスは、水に映る自らの姿に恋するように神から罰を与えられましたが、決して報われることのない恋にやつれ、森の湖のそばで力尽きて死んでしまいます。そして、可憐な白い水仙(ナルシス)の花に姿を変えたといわれています。 」というもの(「ナルシスの花の保護への挑戦 - スイスのエコライフ - 環境goo」より転記)。
 小生は、ナルシズムは、美少年ナルキッソスが水面に映る我が姿に見とれ…という説明には折々に接してきたのだ、ということはなるほど美貌の持ち主なのだろうけれど、自惚れが強いのか、などと勝手に(かなり安直に)思い込んでいたのだが、実は、「美少年ナルキッソスは、水に映る自らの姿に恋するように神から罰を与えられ」ていたのだ。

 しかしギリシャ神話に由来する話。奥がもっと深いはず。
石川の植物」の「スイセン(ヒガンバナ科)」なる頁を覗かせてもらうと、「属名の Narcissus は、ギリシャ神話のナルキッソスという若者の名からきています。ナルキッソスは、泉に映る自分の姿を目にして、泉に住むニンフ(註)と勘違いし、その自分の姿に恋してしまいました。抱き寄せようと両手を泉の中に入れると、姿が消え、ナルキッソスが体を起こすと、水面にはまたあの姿が映っているという状態のため、その場を離れることができなくなってしまいました。食事を取ることも、眠ることも忘れて、泉の周りを巡りながら、水面に映る恋しい人に向かって話し続けたのでした。」として、ナルキッソスの語りかける言葉が引用されている(ここには転記しないので、どうぞ、リンク先を覗いてみてほしい)。
 そして、「こうして自分の姿に恋をしたナルキッソスは、叶わぬ恋に身も心も焼き尽くし、だんだん衰えていき、とうとう死んでしまいました。ニンフ達がやってきて、亡骸を火葬するために運ぼうとすると、死体が無くなっており、代わりに、 Narcissus poeticus (クチベニズイセン) の白い花が咲いていた、ということです。以後、その花を ナルキッスス と呼ぶようになりました」というのである。
 さらに「花言葉は「自己愛」「自己主義」です。」とも記してある。
 
 しかし、さて、疑問を持たれる向きも多いだろう。何故に、「美少年ナルキッソスは、水に映る自らの姿に恋するように神から罰を与えられ」、「ナルキッソスは、泉に映る自分の姿を目にして、泉に住むニンフ(註)と勘違いし、その自分の姿に恋してしま」うような不毛な状態に追いやられのか…。
 実は、話には前段があって、「ギリシャ神話によると、美少年ナルキッソスは多くの娘に言い寄られたが、ことごとく拒絶した。そこで復讐の女神ネメシスがナルキッソスを、水に映った自分の姿に恋するよう仕向け、ついに彼は自分の姿に恋いこがれて水死してしまったという」のである。

 人は誰でもナルシストの気味が多少なりともあるという。古(いにしえ)はいざしらず、数知れぬ鏡やガラス面や写真(カメラ)やビデオなどが満ち溢れている現代にあっては、鏡面に映る自分の姿かたちを見ずには一日たりとも過ごせない。
 それは本人が望むかどうかに関わらず、である。
 さて、ギリシャ神話ではナルシストの傾向を神の罰として、つまり人にとっての所与、天与のものとして説明(物語化)されている。
 ここでは深入りする余地も、そもそも小生にはその能もないが、美がその人にとっての一番琴線に触れるものであり、他人が何と言おうとそれが美だと思えるとしたら、その美というのは、その人の生まれ、育ち、環境、資質、そういったその人の全ての象徴でもあるのだろう。
 美が普遍性があるかどうかは別にして、とにかく我にとってそのようにしか映らない、この至上の美に勝る美があるだろうかと思えるとしたら、その瞬間において、その人はある意味、その本人の中の、あるいはその本人を通じての天のある種の極限的ビジョンを見ているのに違いない。
 つまりは、人は根底において自らが描き自らが見る美しか見ることができないのではないか、ということだ。
 端的に言って、人はナルシストたるしかありえない、と小生には思えるのである。

 なお、ここには、「スイセンの群落」などの画像や「花びら」や「雄しべ」「雌しべ」などの画像が載っていて壮観である。
 さらには、「スイセンの畑。福井県丹生郡越廼村 越前水仙の里(平成14年1月14日)」の画像も載っている…。ここで小生、思い出した。そう、昨夜、仕事中、車中でラジオ(NHK)を聴いていたら、「水仙が開花した」という何処かの地方からの便りが伝えられたのだった。
(実を言うと、「そうだ、そういえば、一月の季語に「水仙」があるけど、気になりつつも敬遠していたんだっけ、でも、ラジオでこういう話を耳にした以上は、明日(つまり今日)の季語随筆のテーマは決まりだ…」、などと車を走らせながら思っていたのである。)
 ちなみに、越前岬には水仙の花にちなむ悲劇の伝説がある。「櫻灯路」の「厳冬に 香りたつ」なる頁を覗かせてもらうと、「荒々しい日本海の荒波の 直ぐ傍に あの越前の断崖があり 棚田があり そんな狭く偏狭で過酷な土地に 人々は営々として水仙を植え続けて来た 何故こんな場所を敢えて選ぶかのように 植えて来たのだろうか」として、一つの伝説について語ってくれている。

 最後に「水仙」という言葉、季語、それとも水仙のある風景や場面の織り込まれた句を幾つか、掲げておきたい。
花鳥風月【日本の伝統ミュージアム】」の「[ 花鳥風月 ] 睦月の季語」には、「水仙や白き障子のとも移り   芭蕉」が(「移り」とあるが「映り」が正しいのでは…?)、「 「e船団」は俳句グループ「船団の会」(代表:坪内稔典)のホームページです」 の「ikkubak 2002年1月16日」には、「水仙ののぞく手提げを膝の上   中原幸子」が載っている。
「水仙ののぞく手提げを膝の上」に寄せる坪内稔典氏の鑑賞がいい。

浮世占い」の「花の短歌集 水仙」なる頁には、ありがたいことに「水仙の俳句」を幾つか載せてくれている。
 上掲の「水仙や白き障子のとも映り」のほか、「初雪や水仙の葉のたわむまで  松尾芭蕉」「其(そ)のにほひ桃より白し水仙花  松尾芭蕉」「水仙の花の高さの日影かな  河合智月」「水仙の香やこぼれても雪の上  加賀千代女」「水仙や寒き都のここかしこ   与謝蕪村」の数々である。
 しかも、「花の短歌集 水仙」ということで、水仙の織り込まれた短歌が紹介されている。中でも「真ん中の小さき黄色のさかづきに 甘き香もれる水仙の花」は、いかにも木下利玄らしい。
「つめたきはわが天地(あめつち)と 庭の隅に 春をすねたる水仙の花」という金子薫園の歌には、温和な表情のうちに潜む芯の強さを感じる。


水仙の白と競うか雪の降る
障子紙透かして雪の仄(ほの)明かり
残り香を水仙散らす明けの空
白に黄の花の色香の夢の朝

水仙の仄白き花受けし盃 飲みつくさんと飽かず暮れ行く

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