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2005/12/22

牡蠣と森との関係?!

 タクシーを走らせていると、いろいろな情報が入ってくる。
 季節ごとの空気の移り変わり、空の眺め、匂いの微妙な変化。人の流れ…。

 街の風景の変化など、最たるものかもしれない。都内を走り回っているように思えて、実は案外と同じようなところをグルグル回っているだけだったりする。それでも、お客さんの指図で走ってみると、あれ、ここを走るのは久しぶりだなと感じることが結構ある。
 で、町並みを眺めることになるのだが、びっくりするほど街の景色が変貌を遂げていたりする。街角などに真新しい、大きなビルが建っていたり、道路が整備されて歩道が一新されていて、装いが一変してしまっているのだと気付く。
 都心を走っている小生には、そんな経験をすることがしばしばである。再開発がドンドン都心で進んでいる。品川、汐留、大崎、大井、丸の内、秋葉原、築地…。
 一方、やや郊外の商店街は、一部を除いて、寂れていく一方なのだが。
 情報というと、ラジオから摂取するものも多い。このブログでも、ラジオから仕入れた情報をネットや本で裏書しつつ、あれこれ書き綴ってきたものである。

 入手するルートというと、お客さんから戴くものもある。
 無論、プライバシーに属するものは、胸に仕舞いこむしかない。
 一方、必ずしもプライバシーの類ではないが、得られた情報にどの程度の確度があるのか、判然としない場合も結構ある。ただの噂話か、場合によっては笑止千万と聞き流すしかないものも。

 以下、例えばどんな笑止な話を聞いたかというと:

 湾岸に沿った地域の再開発が進んでいるのは、そこが都内で大規模開発に適した最後のゾーンだからということ、建蔽率などの規制緩和という後押しもあるが、同時に、実は、近い将来間違いなくやってくると思われる東海地震や東南海地震で発生するだろう津波の東京湾への襲来で、湾に押し寄せた波が一気に都心へ、つまりは皇居へなだれ込むのを湾岸で阻止するため、密かに計画的に海辺が開発され、高層のビル群が帯を成し、防波堤となるように建てられているのであって、つまりは皇居を津波などから守るために、こうした湾岸築での建築ラッシュが続いているのだ、云々。
「津波など」と「など」を付したのは、他にも笑止な噂が聴こえたことがあるからだ。それは、拉致問題で問題となっている国家がテロを計画し、場合によっては海から都心への襲撃を行う可能性がある。
 それを防ぐには、海辺に沿ってビル群を配し、ビル群には警備員を漏れなく配置し…、云々といった実しやかな(?)話もあったりするのである。
 まことにドラマチックな話である。

 最近は、牡蠣による中毒死が増えているという話を車中で聞いた。
 どうやら温暖化の影響で牡蠣の養殖に影響が出ていて、云々という話だった。詳細は、運転中だし聞くことができなかった。安全運転が第一なのだ、耳をダンボにするわけにもいかない。
 まあ、聴いていても、風通しのいい耳(頭)なので、右の耳から左の耳へと、気持ちよく通り過ぎていくだけだろうけど。

 牡蠣は小生の大好物の一つである。生牡蠣も好きだし、牡蠣フライも大好き。この牡蠣に関係する話題となると聞き捨てにはならない。
 念のため、ネット検索で、実際に牡蠣を食べたことによる中毒死が増えているかどうか、そんな情報があるのかどうかを調べてみた。 
 が、裏書するようなデータもサイトも見つけることができなかった。

 但し、記憶している方もいるかもしれないが、「ノロウイルスは毎年秋~冬季(10月~3月頃)に感染性胃腸炎や食中毒の原因となるウイルスである。今シーズンは特別養護老人ホームなどの老人養護施設で集団発生が相次ぎ、広島県福山市の特別養護老人ホームの福寿園では入居者7人が死亡したために注目を集めた。厚生労働省が行った今冬の感染性胃腸炎の集団発生事例の調査によると、平成17年1月12日現在、236施設7,821人の患者(うちノロウイルスが検出された者5,371人)、死者12人である。」という報道が今年の初め、テレビなどをにぎわせたことは事実である。
 ただ、「しかし、今冬は例年に比較して流行が大きくなった訳でもなく、ウイルスの病原性が強まったと言う証拠もない。」という(この「今冬」とは、H16年10月~今年の3月頃のこと)。
 では、今冬、つまりH17年の今、迎えている冬はどうかというと、当然ながら流行するとしても、これからの話であって、データが出てくるのは未だなのは言うまでもない。

 ノロウイルスについては、上で参照している「World Focus(感染症等情報) 国立感染症研究所  主任研究官  松野重夫」というサイトを見てもらいたい。
 近年、ノロウイルスをマスコミなどを通じて耳にする機会が増えているが、何も急にノロウイルスが増えたというわけではなく、「2002年に国際ウイルス分類命名委員会においてノロウイルスと命名」されたという事実があるからに他ならない。
 牡蠣とノロウイルスの関係や、食中毒をどう防ぐかという疑問については、「ノロ新聞」なるサイトが分かりやすい。
「このウイルスは乾燥などに強く、また食品の中で増えるのではなく、人の腸の粘膜で増えるためウイルスの数がごく少量でも感染し、発症」するという。なんと「一般的な食中毒菌は一度に100万個以上が口に入らないと発症しませんが、ノロウイルスは感染力が強く、10~100個程度で人に感染して食中毒症状を起こ」すんだって!

「カキなどの二枚貝の生食は避け、中心部まで充分加熱しましょう」というけれど、これじゃ、生牡蠣は食べられないのかも。それに牡蠣フライにしたって、フライの中の牡蠣の芯が固くなるまで熱を通したら、そもそも牡蠣フライはおいしくない!

 また、「[株式会社アイカム] 第7回 ノロウイルス -4-」という頁も、一問一答形式で素人にも興味深く読める(全般的には、「[株式会社アイカム] 第7回 ノロウイルス 【語り手】 竹田美文(たけだ よしふみ)」なるサイトを開いて欲しい)。
 竹田美文氏の答えの中に、「今患者数が一番多い食中毒は、ノロウイルス食中毒。数年前までは、学生に講義するときに、夏が来たら食中毒に気をつけましょう。温度が高い、湿度が高いから、細菌が食物の中で増えますよと言っていたけど、現在、ノロウイルスが一番多い。これは、夏じゃないですからね。“食中毒は夏”という概念を変えないといけないですよね。冬多い理由は、牡蠣は冬の食べ物だから。」とあるのが怖い。

 牡蠣は海水を漉して必要な栄養分を得ている。その際、海中のノロウイルスも一緒に摂取してしまう。そのノロウイルスはというと、実は人間の生活排水が捨てられ川から海へと流れ込むから、というメカニズムがあるという。
 原因の発端には人間の生活が関与していたわけだ。

 また、野暮な話になってしまった。
 季語随筆らしく、冬12月の季語としての「牡蠣」の織り込まれている句を探してみる。
e船団ホームページ」の「ikkubak 日刊:この一句 バックナンバー 2004年12月13日」に「牡蠣といふなまめくものを啜りけり」(上田五千石)という句が載っている。
 坪内稔典氏の鑑賞が興味深い。「昨日に続いて戸邊喜久雄著『いきもの歳時記』から引いた。牡蠣というと広島が有名だが、広島の牡蠣の生産にふれてこの本には次のように書かれている。「カキの生産に影がさしている。以前なら夏に採ったタネが冬には出荷できたのに、大きく育ちきらないという状態が出てきた。このため、翌年まで育てる『二年もの』が多くなってきた。漁場に流れ込む川の水の水質悪化が原因ではないかといわれる。数年前から、広島のカキ屋は太田川流域の上流で、檜、山桜、欅などの植林を始めた。森を育てることが川の水をよくし、ミネラル分をふやし、カキを大きく育てることになるのが分かってきたのである」。」というのである。
 臭い匂いを断つには根元からというが、やはり、我々の生活環境や生活の在り方、さらには直接には生活の場ではないにしろ、上流に当たる森の環境整備・保全こそが大事なのだと再認識させられるのである。

 例によって「三省堂 「新歳時記」 虚子編から季語の資料として引用しています」というサイトを覗くと、「牡蠣は広島に於て始めて養殖され、販路を大阪に求めてこゝで大いに牡蠣料理が発達し、遂に広く各国に賞味されるに至つた。養殖以外は海岸の石垣や岩礁に付いてゐるのを手鉤で採るのである。牡蠣打といふ。冬、殊に寒中がよい」とある。
 ちゃんと、以下のような句の例も載せてくれている:

「牡蠣打や磯うつりして見えかくれ」 遊魚
「牡蠣の桶うす紫に濁つたり」 蛸雨
「牡蠣の酢の濁るともなき曇りかな」 虚子

 せっかくなので牡蠣の歴史を探ってみると、「牡蠣養殖の歴史は古くヨーロッパでは紀元前1世紀にさかのぼる。日本では広島県が牡蠣養殖発祥の地とされ、その始まりは江戸時代初期の天文年間(1532~55)といわれている」という(「冬の味覚 牡蠣 広島は牡蠣養殖発祥の地 能美島」を覗いてみて)。
 天文年間って、戦国時代じゃないの?
 いや、そんな疑問はグッと堪えて、とにかく牡蠣の養殖は江戸の初期(か戦国時代)に遡るということに驚いた。そんなに古いとは小生には意外だった。

かき村」なるサイトの「<<広島の牡蠣>>」なる頁を覗くと「わが国では、今から360年ばかり昔、元和元年(1620)に、広島藩主浅野長晟公が和歌山から移封の際、和歌の浦のカキを広島へ移植したのがはじまり」以下、更に詳しい情報が載っている。
 説はいろいろあるようだが、「いずれにせよ、江戸時代の初期、広島沿岸の各地に、それぞれの潟独自の方法で、自然発生的に養殖が始められ、次第にひろまっていったのは確かなことであろう」という。

 ああ、牡蠣についてあれこれ調べていたら、生牡蠣を食べてみたくなった。熱々の牡蠣フライもいい。


カキホタテアワビツブイカウニイクラ 
腹下る覚悟で食べる生の牡蠣
信じれば救われるぞと牡蠣食べる
牡蠣の海遥か想いて食しけん

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