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2005/09/02

トンボにあくがれて

 俳句の世界では季重ねに留意が必要だという。季重ねとは一つの句の中に季語が二つ(以上)詠み込まれていることで、避けるべきこととされている。よほど、自信がないと敢えてタブーに挑戦するのは無謀のようだ。
 この季語随筆も一周年を迎えてしまったことは既に書いた。となると、昨年の今頃、何をテーマに書き綴ったかに留意すべきなのかもしれない。季重ねならぬ、テーマ重ね。
 そうはいっても、一つのテーマについても掘り下げる余地は相当程度にありえるわけで、要はテーマ重ねよりも内容重複のないように注意すべきなのかもしれない。
 たとえば、9月の季語例表を見ていて、ふと、「蜻蛉」に目が止まった。トンボの周辺について何か書いてみようか…。
 でも、そういえば、昨年かどうか分からないけど、トンボについては何事か書き散らしたことがあったはず…と調べてみたら、案の定で、一度ならず二度までも書いている → 「トンボのこと」(March 21, 2005)
 日付に注意願いたい。今年の3月! 季節外れもいいところじゃないか!

 どうやら、「羽根突きの羽根は、トンボの羽根を意味している云々という話」を聞きかじったことを契機に、羽子板の周辺を探ってみたのだった。
 しかも、なんと、この一文は入れ子になっていて、中には「富山とトンボのこと」という一昨年の2月の文章が収められている。まあ、それだけ、トンボに関心があるということと、触れるべき話題が多いということなのだろう。
(ついでながら、富山県人としては、トンボというとトンボ鉛筆より竹とんぼより何よりトンボ飲料であり、ラムネなのである。これらをテーマに季語随筆を綴ったことがある → 「ラムネ…サイダー…アイスコーヒー」)

 トンボについては、「日本国語大辞典第二版オフィシャルサイト:日国.NET」の「季節のことば  蜻蛉(とんぼ) 」なる一文を読むのがいい。最初にこうしたサイトがあることを知っていたら、小生、恥ずかしげもなく「トンボのこと」なんて散文は綴ったりしなかったはずだ。
 特に、小生が弱く書き漏らしている学術的記述は、紹介したサイトで読むことが出来る。トンボの名誉の為にも、「とんぼ返りということばもあるぐらいで、その飛行能力は相当なもの。前後の翅を互い違いに動かすので、自在で安定した飛行が可能で、最高速度は80キロぐらい。また翅についている縁紋は、飛行機が高速で飛ぶときに生じて危険な微振動(フラッター)を防ぐ装置の位置と同じだという。さらに蜻蛉の複眼は遠近両用眼鏡で、上半分が遠視、下半分が近眼というすぐれもの。」という点には脚光を浴びせておいてもいいだろう。
 トンボに限らず鳥類や昆虫などの飛翔能力の凄さについては、「星月夜…星の見える森」の中でも言及している、ヘルムート・トリブッチ著『動物たちの生きる知恵』(渡辺 正訳、工作舎刊)を読んで再認識したばっかりなので、あらためて小生も感心したのだ。

 トンボについて全般的なことを知りたいなら、たとえば、「トンボなんでも情報室」がいい。トンボ情報が網羅されている。季語随筆で触れることができるのは、季語や俳句絡みだということもあって、ほんの一部に過ぎないのだ。

 上掲のサイトには、松尾芭蕉の「蜻蜒やとりつきかねし草の上」以下、トンボの織り込まれた句が紹介されている。
 かく言う小生も、「去年(こぞ)の田は夢かとばかりに飛ぶトンボ」など、(赤)トンボ絡みの句を幾つも作っている(「トンボのこと」の末尾参照)。

 ということで、あれこれ書いてきたが、要は、トンボという題材としては有り触れていて親しみのあるテーマを例にとって、季重ねならぬテーマ重ね(内容のダブり)に注意して二年目に入った季語随筆は書き綴る必要があると言いたかったのだ。
 記憶力に自信のない小生にはしんどいことだ。ただ、記述に重複があっても、基本的な事項は、触れる必要はあるのだろうが。

 とにかくこれからも、ボチボチとやっていく。石の上にも3年。もう少し、基礎的な修練を積んで、そのうちに本格的な句作に挑戦できたらと思うが、さて、どうなるものやら。

 トンボの目見るべきものを見たのかい?
 くるくると指を回して目を回す
 さあどうだトンボメガネで変身だ(→ トンボめがね
 ゆうゆうと空行くトンボあくがれて
 

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コメント

やいっちさん

あらトンボ 目で追う私 遊ばれて

目の前をツーツー舞うトンボ。
とうてい私の力じゃ捕まえられませ~ん。

投稿: さくらえび | 2005/09/02 18:31

さくらえびさん、こんにちは。
飛んでるトンボは、虫取り網を使ってもなかなか掴まえられないでしょうね。優れた飛翔能力を持ってますし。
でも、ガキの頃は何度か捕まえたことがあります。但し、止まっている奴。背後からこっそり近付いて虫取り網を被せるわけ。


> あらトンボ 目で追う私 遊ばれて

 トンボ追うあの日の自分追ってみん

投稿: やいっち | 2005/09/02 22:53

ご紹介のサイト見てきました
ふーん、西欧人は 蜻蛉に悪魔的なものを感じてたのか・・・
そういう お国柄の感覚の違いは 調べるとおもしろいかも・・。
 夏が過ぎ、ススキ、蜻蛉、あかね空・・暗くなったら虫の声・・
好きな風景のひとつです。

投稿: なずな | 2005/09/04 10:14

なずなさん、コメント、ありがとう。
秋の空の風景は郷愁の念を誘うものがありますね。やはりだんだんと寒くなっていくせいなのか。それとも、空気が澄んでくるからなのか。
虫への国ごとの感受性は調べる値打ちが大ですね。誰か、既に研究しているのでしょうが。

投稿: やいっち | 2005/09/04 15:52

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