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2005/09/26

嶋岡 晨著『現代詩の魅力』抜粋(3)

 本稿は、「嶋岡 晨著『現代詩の魅力』抜粋(1) 」や「嶋岡 晨著『現代詩の魅力』抜粋(2)」に続くものである。
 記事を書くに当たっての表記方法などについての注意事項は、上掲の記事に書いた留意点を参照願いたい。
 前回は、小生の大好きな宮沢賢治の、取り分けて好きな詩「永訣の朝」で終わっている。
 本書・嶋岡 晨著『現代詩の魅力』の中で著者も書いておられるが、明治以降、数知れない詩人が輩出したが、依然として宮沢賢治や彼の詩の人気は絶大なものがある。詩にも疎い小生も、彼の詩には早くから魅せられてきた。小生の鈍い感性をも震わせ染み入らせるものが彼の詩の世界には、ある。
 今後、どれほどの詩人が新たに現れ我々を魅してくれることと思うけれど、そんな中にあって、まだ半世紀は彼の詩の人気は衰えるとは思えない。
 小生如きが彼の詩の魅力の由縁を書くのもおこがましい。急いで、嶋岡 晨著『現代詩の魅力』から、引用されている詩の断片の抜粋作業を始めよう!

西脇順三郎『ギリシア的抒情詩―「天気」』

(覆(くつがへ)された宝石)のやうな朝
何人か戸口にて誰かとさゝやく
それは神の生誕の日。

村野四郎「体操」(『体操詩集』より)

僕には愛がない
僕は権力を持たぬ
白いシャツの中の個だ
僕は解体し、構成する
地平線がきて僕に交わる……

(註)シャツは漢字表記!


中野重治「歌」(「驢馬(ろば) 」より)

おまえは歌ふな
おまえは赤まゝの花やとんぽの羽根を歌ふな
風のさゝやきや女の髪の毛の匂ひを歌ふな


小熊 秀雄「蹄鉄屋の歌」『小熊秀雄詩集』より

私の歌はぞんざいだろう、
私の歌は甘くないだろう、
お前の苦痛に答えるために、
私の歌は
苦しみの歌だ。
焼けた蹄鉄を
お前の生きた爪に
当てがった瞬間の煙のやうにも、
私の歌は
灰色に立ちあがる歌だ。……


金子光晴 「燈台(『鮫』より)

そらのふかさをのぞいてはいけない。
そらのふかさには、かみさまたちがめじろおししている。
飴のようなエーテルにただよう、
天使の腋毛、
鷹のぬけ毛。

青銅(からがね)の灼けるような凄まじい神様たちのはだのにおい。秤(かんかん)

そらのふかさをみつめてはいけない。
その眼はひかりでやきつぶされる。
そらのふかさからおりてくるものは、永劫にわたる権力だ。……

(「 [一風斎の見る聞く話す] 江戸/東京ものがたり(99) 災害編●関東大震災 その4」に関連記事を見つけた。05/10/04 追記)


大木惇夫「戦友別盃の歌」

言ふなかれ、君よ、わかれを
世の常を、また生き死にを
海ばらのはるけき果てに
今や、はた何を言はん……


伊東静雄「わがひとに與ふる哀歌

太陽は美しく輝き
あるひは 太陽の美しく輝くことを希(ねが)ひ
手をかたくくみあはせ
しづかに私たちは歩いて行つた
かく誘ふものの何であらうとも
私たちの内の
誘はるる清らかさを私は信ずる……


立原道造『のちのおもひに
    
夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に
水引草に風が立ち
草ひばりのうたひやまない
しづまりかへつた午さがりの林道を……


中原中也「サーカス

幾時代かがありまして
  茶色い戦争がありました……


中原中也「汚れちまった悲しみに

汚れちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる……


中原中也「一つのメルヘン

秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、
それに陽は、さらさらと……

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