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2005/08/04

羅(うすもの)…クールビズ

 もうそろそろ歳時記上は秋になろうとしている。でも、今週はギリギリ、夏の扱い。
 どうも、季語に拘ると、実際の季節感との齟齬があったりし、むず痒い感じが起きて、スッキリしない。

 さて、表題の「羅(うすもの)」は、夏の季語である。「絽 紗 薄物 薄衣 軽羅」といった類義語があり、「紗・絽・上布など、薄く軽やかに織った織物」の意のようである。
こっとんの部屋」の「季語夏」を覗くと、「羅(うすもの)」の項があり、以下のような説明に出会える。松本たかしの句も添えられている:

盛夏の薄織の絹布の単衣、絽(ろ)・紗(しゃ)・明石・上布などをいいます。「蝉の羽衣」と蝉の羽のように、薄く透明感があり、いかにも涼しげです。着ている本人のことよりも、いかに涼しげに見えるかということにより気を配った昔の女性の心意気のようなものが感じられます。

 羅をゆるやかに着て崩れざる    松本たかし

 今朝だったか、テレビで、ミスハワイの方が石原都知事を表敬訪問し、クールビズにアロハシャツをどうぞと薦められていた。
 テレビで国会議員やお役人のクールビズ姿を見ると、いかにも何処かの高級ブランドのシャツを誰かに着付けられるままに着ている、クールビズがお仕着せのように、そんなぎごちなさを感じさせる。

 クールビズの趣旨からしたら、もっと多様なアイデアが示されてよさそうなものなのに。作務衣や甚平、ステテコ姿、ポロシャツ、Tシャツ、それこそアロハシャツ、年配の方には似合わないかもしれないが、肩などの露出の多いランニングシャツ、などなど。
 さすがに海水着は言い出せないが。
 そんな中、日本には作務衣や甚平(ステテコ)以外にも、上記したように、「羅(うすもの)」なる素晴らしいものがあるではないかと、小生自身、改めて気づかされた。

 ついでなので夏を意識した伝統的な衣料ということで、以下、羅列すると、「夏羽織 なつばおり 絽羽織、紗羽織、単羽織、薄羽織」「夏袴  なつばかま 絽袴、麻袴、単袴」「浴衣(ゆかた) 湯帷子(ゆかたびら)、初浴衣、藍浴衣、古浴衣、貸浴衣、宿浴衣」「白絣(しろがすり) 白地」「帷子  かたびら 白帷子、染帷子、黄帷子」などなど。
 頭だって忘れては困る。何も鬘(かつら)のことを持ち出そうというのではない。「夏帽子(なつぼうし) 夏帽、麦稈帽子(むぎわらぼうし)」なんてのがあるではないか。
「夏手袋(なつてぶくろ) 網手袋、レース手袋」などがあるようだが、ちょっと驚いたのは、「夏足袋(なつたび) 単足袋」なんてのがあるってこと。
 夏というと汗、ということでハンカチ(ハンカチーフ)も欠かせないが、思えば、一昔前までは男性だと、ズボンのベルト、お尻の辺りに白いタオルか日本手拭いなどを挟んでいたものだった。

 また、ちょっと懐かしい日本映画だと、洒落た男性は夏は白靴 (しろぐつ…エナメル?)で決め!

 クールビズの極め付けは、裸ってことになるが、さすがにこれも、海水着よりはましだろうが、部屋の中、プライベートの時はともかく、お役所や公の場所では難しそう。
 我が父も、若かりし頃は、夏となると、上半身は裸になり、下はステテコで、濡れタオルを肩や背中にベッタリ張り付け、そこに扇風機の風を当てたり、団扇で煽いだりしていた。
 自分もいつか大人になったら真似したいと思っていたが(ガキの癖に、家族の中でも、団欒の場なのに小生はランニングシャツ姿がせいぜいだった。どうも、その頃は父への反抗期にあったらしい)、今は独り身なので、素っ裸だって思いのままだが、扇風機を独占できるので、そのまま近所へ買い物に出かけても大丈夫な格好である。

 その自分も、前のマンション住まいのころは、夏場は部屋でトランクス一丁の姿。裸一貫で夏を耐え忍んでいたものだった。住んでいた階が8階で、風通しが良く、ベランダと玄関のドアを開放しておくと、新聞だって飛び散ってしまいそうな勢いで風が吹き抜けたものだった。
 でも、一晩中、開けっ放しにしていたので、夜中など隣りの住人の飼い猫が、帰宅の遅いご主人様のご帰還を待ちきれなくてか(当然、隣りの部屋の玄関は締め切りだし)、開けっ放しの小生の部屋を通り抜けて通路に出ていく…(この辺りのことは、「猫と扇風機の思い出」に書いておいた)。

 そうそう、そんな格好で部屋で過ごしていたので、新聞の勧誘などの不意の客が着た時、びっくり。自分もだが、相手のほうも裸の小生を見て、何事か、という不審そうな顔が可笑しかった(可笑しいのは小生のほうだったのか…)。

 夏の日中の暑さをしのぐためには、家庭だと打ち水が効果的だったりする。家の窓という窓を開放し、玄関や庭先など要所に水を撒く。あとは、風が吹き抜けていくのをじっと待つ。一陣の風が吹いてくる。気化熱を奪ってくれるのだろう、気持ち、ひんやりした風が頬を撫でていく。
 昨年だったか、都内などで時間帯などを示し合わせて、一斉に水撒きをしたことがあった。その効果は歴然(は大袈裟か)といっていいほどにあったとか。
 だったら、今度は国会議事堂や自民党の本部などの建物の屋上から水などを撒き散らして、国会議員の先生方の頭を冷やすってのはどうだろう。郵政の民営化で議論というか感情が先走ってヒートアップしているだけに、冷や水を被せるのは、結構、効果的なような気がするのだが。
 今更、冷静に、などと言っても遅きに失しただろうか。

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