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2005/06/20

夏袴…夏羽織…麦わら

 表題の「夏袴(なつばかま)」は、夏6月の季語である。しばしばお世話になっている「夏の季語(行事・暮らし-50音順)」によると、「単袴 麻袴 夏足袋 単足袋」といった類義語があり、「薄手の夏用の袴」だという。
 ついでに、同じく6月の季語である、「夏羽織(なつばおり)」は、「単羽織 絽羽織」などの類義語があり、「夏用の単衣の羽織」だという。
 まあ、まとめて言うと、やはり季語である「夏服」ということになるのか。この夏服は、「麻服 サマードレス 夏衣 夏衿」などの類義語があって、「暑さをしのぐ麻、木綿などの薄い布地の服」だという。
 ここまで書いてくれば(あるいは単に表題を見ただけで)、ああん、弥一の奴、クールビズの話題に乗っかってるなと分かってくるものと思われる。

 小生などがガキの頃は、夏の装いなのは当然として、頭には麦藁帽子を被ったものである。邪魔に思ったような、嬉しかったような。小学校を卒業する頃には、麦藁帽子などを被るのは潔しとしなくなっていた。
 実際には、頭を守るためにも、顔や首筋などを紫外線から守るためにも、麦藁帽子は不可欠のものなのだ。中学生だろうと高校生だろうと大学生だろうと社会人だろうと、年齢を問わず、麦わらでなくてもいいからツバのある帽子を被るのが望ましいのだろう。
 クールビズというのなら、いっそのこと、健康のことを考え、クールトップなどと命名して、五月の連休過ぎ辺りから、あるいはせめて六月の衣替えの頃からは、麦藁帽子(素材は、麦わらに拘らない)を被ろうという運動も併せて展開したいいのではと、小生などは思う。
 さすがに、菅笠や編み笠、ましてや虚無僧の天蓋 (てんがい)は今時は、きついとは思うが。
 とにかく、である、クールビズは中途半端なのだ。紫外線はどうした、オゾン層が破壊されている現実を忘れてるのか、と思ったりするのである。

 余談だが、麦藁帽子というと、角川映画「人間の証明」(監督:佐藤純彌、主演:松田優作、原作:森村誠一)で有名になった「母さん ぼくの あの帽子どうしたでせうね?」という科白を思い出してしまう。小生など、教養がないものだから、今日の今日まで、たった今まで、この科白、森村誠一の創作だと思っていた。
 小生が森村誠一(の「人間の証明」)を読んでいないことがバレてしまう。角川映画が流行っていた頃は、横溝正史モノに凝っていのだ(映画も欠かさず、映画館で観た)、なんてことは言い訳にもならないか。
 西条八十については、「江戸net 江戸人物事典 西条 八十」を覗くと多少のことが分かる。「お富さん」「愛染桂」「青い山脈」などの名曲も彼の作詞なのである。

 さて、上掲の文句だが、知る人は知っているのだろうが、西条八十の「(麦藁)帽子」という詩の冒頭部分なのである。
 ネットでは、「母さん、ぼくのあの帽子どうしたでせうね?」以下の詩を下記などで読める:
ノスタルジックな夢の色。。 西条八十の…

 クールビズというと、上着のほうにばかり目が向いている。確かに、背広やネクタイに焦点が合ったりすのだから仕方がない。けれど、ズボン(今時の方はパンツと呼ぶらしい。小生は、未だにズボンをパンツと呼称するのには照れや抵抗感を覚える。特に若い女性などが平気でパンツ!などと口にすると、思わず目線はやや下のほうに向かってしまう。そんな年代なのだから仕方がないのだ)の素材だって、どんなものを選ぶか、大切な問題だ。
 あるいは、本来は、ズボン(パンツと呼ぶべきか)の形状・デザインも。
 さすがに半ズボン(半パンツ?)というわけにはいかない。女性はともかく、男性は脛毛という厄介な問題がある(人によっては女性も似たような問題を抱えているやもしれぬ。ええー、スカートかー、キュロットだってー。やだー、毎日、脛毛を剃らなくっちゃいけない、面倒ーと反発されるかもしれない)。
 でも、ビルのエアコンの温度をさらに一度か二度、下げるためには、やがては夏場は半ズボン乃至はキュロットの採用が現実化するに違いない。地球温暖化が進み、都会のビル群が一層、密になったら、南洋の紳士・淑女たちがどのような姿で暑さを乗り切っているかを学ぶべき時が来るに違いないのだ。
 でも、いくらなんでも、上着の着用一切厳禁ってことには、(特に女性などは)なかなかならないだろうとは思う(が、ま、それは先の楽しみということで。願望としては透湿防水の、さらにはメッシュのような透視線素材などもいいかも。つまり、ガーゼ素材のステテコ?!)。

 小生などは、クールビズにするなら、いっそのこと、仕事自体をクールビズにしたらどうかと思う。つまり、仕事の負担そのものを減らすのである。働く時間を減らし、日中は太陽が出ている間は仕事をしてはまかりならない、という風にしたら、どんなものだろう。
 みんなして風通しのいい日陰に入って涼むわけである。暑くなったら団扇で互いに煽ったりして楽しめばいい。ああ、夢のような日々が待っていそうだ。これこそパラダイスではないか。

 ここで、ふと、我に返って…。

「夏袴 単袴 麻袴 夏足袋 単足袋」とか、「夏羽織 単羽織 絽羽織」って、どんな衣裳なのか。
 夏芭蕉と呼ばれる芭蕉の爽やかさを絹で表現した羽織や、盛夏用の大島紬である夏大島のこの清涼感はどうだ!
 夏袴と夏羽織のセットも画像で観ることができる。

 やはり、ちょっとビジネスにはきつい、というのなら、 仮に小生が夏服の提案を求められたなら、作務衣(さむえ)を提唱する。冬用の作務衣もあれば、夏用の作務衣もあるのだから。ズボン(パンツ)の裾も夏用は(脛毛が見えない程度に)短めに設定すればよい。
 寛いで居る時は、襟元を緩め、フォーマルな時は、襟元をキュッと締めて、襟を正す。ナショナリズムを標榜する方たちが、和服はともかく、作務衣の着用を唱えないとは、小生には理解できない。
 それとも、小生の考え、寒い?


[ コメント欄に作務衣って、甚平のことかしら、という書き込みがありました。
 レスにも書きましたが、本文を書いている最中は、作務衣のことしか思い浮かばず、甚平のことは、まるで考慮の外。なので、改めて調べてみました。
 幸い、ネットではそれぞれの推奨品が豊富。トップにあった画像を見てみます:
甚平
作務衣
 観た限り、似たり寄ったり。違いが良く分からない。
【CROSSユニフォーム専門店】コックコート・調理衣・作務衣のメーカー直売店」なるサイトを参照させてもらいます。ここには以下のような記述が:

【作務衣(さむえ)】 作務衣の語源としましては、京都の修行僧が禅宗の修行の一つ「作務」と呼ばれる日常の労働作業をするときに着る服から「作務衣」と呼ばれているようです。また、そのときの作務衣は今の上衣と下衣に分かれておらず、長作務衣と呼ばれるひざくらいまである長い作務衣を着ていたとの事です。

【甚平(じんべえ)】
私の知る限りでは江戸時代に関東の方で流行った庶民の普段着が甚平(じんべえ)と認識しております。作務衣と甚平(じんべえ)は構造上はほとんど一緒ですが、全体的に甚平(じんべえ)の方が若干やわらかい感じがします。


 
 さらにこの頁には、【法被(はっぴ)】についても説明が施されています。法被は、「世間のお祭りはっぴを想像していただくと早いですが、作務衣と違い左右を紐で止めず、帯を使い服のタルミを防ぎます。結果、作務衣と甚平(じんべえ)は構造上ほとんど似たものですが、イメージ的に作務衣が仕事着、甚平(じんべえ)は遊び着(?)の感じがします。法被(はっぴ)はお祭りの感じを受ける要素が多く」とのこと。

 なるほど、名は体を現すで、作務衣は作業着、甚平は寛ぎ着というイメージなのでしょうか。お寺で甚平に似た服装の方が居ても、間違っても甚平の着心地は如何ですか、などと、うっかり話し掛けたりしないほうがいいのかも。
 情報を寄せていただき、ありがとうございます。 (05/06/21 追記)]

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コメント

やいっちさん
毎日麦わら帽子をかぶって庭に出ています。材料は藁ではないですけどね。(^ ^)

作務衣って甚兵服の事ですか?画像を見せて頂くとその様に見えました。孫達の甚平服姿は可愛いです。ゆかたより好きですわ。

昨日実家の父に会いに行くと、甚平服で迎えてくれました。胸元が涼しげでいいモンです。
夏を感じました。

投稿: さくらえび | 2005/06/20 11:35

私が思うに、ズボン(パンツ。笑)は、昭和初期の頃みんな履いてたような、ダボっとしたツータックパンツが涼しいのではないですか?実際履いた事ないですが(^^ゞ
ステテコも汗を吸って蒸発させるから、ズボンを直に履くより実際温度が下がるそうです。
ダボズボンが流行れば、ステテコも履ける!?

投稿: ちゃり | 2005/06/21 11:02

さくらえびさん、こんにちは。
そうですね。小生も田舎で草むしりする時は、麦藁帽子は必需品。で、小生の場合は、麦藁です。ストローハット。さくらえびさんの帽子の素材は? それにしても、草むしりその他、御苦労様です。庭のある一戸建ては、小生には夢のような話だけど、実際には維持が大変なのでしょうね(それでも、欲しいーー)。

甚平と作務衣…。すみません。書いている間は、甚平のことは思い浮かばなかった。迂闊です。
以前は、父の日か誕生日に、作務衣をプレゼントしていたけど、甚平を贈るべきだったのか…。
この件は、このレスには書ききれないので、本文に追記します。
 

投稿: 弥一 | 2005/06/21 12:07

ちゃり さん、こんにちは。
昔の映画…昭和の前半の映画だと、登場する男性の履いているズボン(当時は、断然、ズボンでした)はダボダボでしたね。裾を短くして、その下にステテコ。
いっそのこと、ステテコのみの着用でもいいのでは。植木ひとしとか、加藤茶スタイル。みんなが同じ格好だったら、見慣れるだろうし。
女性用のステテコって、どんなものなのか、それが問題ですね。

投稿: 弥一 | 2005/06/21 12:26

麦藁帽子 なんて、胸の奥がジンとなるような懐かしい言葉、と言うか、麦藁帽子を被って、
夏を過ごした、あの、状況にものすごい、郷愁を感じています。

あの頃の夏は涼しかったなあ・・・
日本で一番、暑いと言われる、我都市でも、夫の子供時代は、夜になると、打ち水のあとに縁台を出して、皆さん涼んだようで・・・・
私、作務依愛好者です、それと、もんぺ、ご存知ですか?野良仕事にはく、それこそパンツ(^.^)です。
夏は特に涼しいのですよ、でも、私がもんぺをはくと、田舎者と言う顔で見る人が約一名がいます。
反抗して、よけいに、はいてやるのです♪

投稿: 蓮華草 | 2005/06/21 19:31

蓮華草さん、コメント、ありがと。
いいな。嬉しいな。麦藁帽子で懐かしい思いをしてくれたら、それだけで嬉しい。
小学校で麦藁は卒業したと思っていたら、田舎で田植えなどをする際に(稲作は昨年から止めた)、あるいは草むしりをする際に、使うようになりました。
やっぱり、これに勝るものはないのかも。

おお、もんぺ! このことも失念している。
涼しいのですか。まだ穿いたことがない。どんなものだろう。
そのうちに、もんぺなど、野良着の特集もしてみたくなりました。もんぺが田舎臭いという評価も、そのうち、変わることでしょう。

投稿: 弥一 | 2005/06/21 20:42

やいっちさん
作務衣と甚平の違い何となく分かりました。調べて頂き有難うございました。いい勉強になりました。

投稿: さくらえび | 2005/06/22 17:01

さくらえびさん、こちらこそ、勉強になりました。一人でやっていると、気づかないこと、足りないことも多々あると思います。
これからも、気軽に感想など、お願いします。

投稿: やいっち | 2005/06/23 14:41

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