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2005/05/16

琥珀のこと…バルト三国

樹液のこと…琥珀」なる雑文を綴ったら、「琥珀」についていろいろコメントを戴いた。やはり、「琥珀」から連想することはさまざまなのだなと改めて思う。
 その詳細は、当該頁のコメント欄を参照願いたい。
 戴いた情報はいずれも小生には興味深かったのだが、中でも初耳というのか、ちょっと引っ掛かったのは、「琥珀というとわたしはカメオとかコーヒーしか浮かびません」という点。
 何故、「琥珀」と「カメオ」や「コーヒー」なのか。どうしてそれらが連想で結びつくのか。
 で、とりあえず、「琥珀 カメオ」でネット検索。
「メーテルワールド 幸運の道具屋」パワーストーンの館 ★ 天然石ルース---カメオ」なるサイトを覗いてみる。その冒頭に、「宝石に凸型に浮き彫りされたものをカメオ(Cameo)とよびます。インタリオは裏側から凹型に掘られたものです」とある。
 なるほど、カメオとは宝石の浮き彫りの一種なのであり、インタリオと対の掘り方なのだと分かる。「宝石の彫刻は人類文明発祥の地メソポタミアに、起源を発するといわれ今から約6000年もの昔、紀元前4000年頃のエラムやシュメール文明の時代に、すでに高度な宝石彫刻がなされていたといわれます。カメオのように浮き彫りの彫刻がされるようなるのは紀元前4世紀、アレキサンダー大帝の時代からヘレニズム文明の時代にかけて見られ」るということで、カメオを「制作している所はドイツのイーダー・オーバーシュタイン市で、世界中の90%以上生産されてい」るとか。

 カメオの素材には、瑪瑙(めのう)やシェルやオパールなどがあるらしい。
瑪瑙と玉髄(Agate & Chalcedony)」なるサイトを覗くと、瑪瑙素材のカメオなどの多彩な世界を知ることが出来た。
 文中、「瑪瑙は古代から世界中で宝飾品として愛好されて来ました」とあるが、一方、「日本は歴史的に宝石が一般の生活に取り入れられなかった世界でも稀有な国の一つです」というのも、指摘されてみると、そうなのかなと思わせられる。つまり、「恐らく着物のような完結した衣装にはきらきら光る宝石など邪魔ものであったためでしょう」ということなのか。
 そうはいっても、櫛(くし)や簪(かんざし)などがあるじゃないかと思うが、櫛はともかく、簪は歴史が浅いのかもしれない(後日、調べてみたい)。

Amber(琥珀)」なるサイトを覗いてみる。「世界中で愛されているアンバー(琥珀)は、人類最初の宝石と言われてい」ることは、既に紹介した。さらに、「アンバー(琥珀)は、新生代の第三紀の松柏科植物 (マツ、スギ、 ヒノキなど) の樹脂が、地中で化石化したもので、宝石言葉は「誰よりもやさしく、家族の繁栄・長寿」」なのだという。
 このサイトで、「インタリオ(裏彫り)  Intaglio」を改めて観てみる。「インタリオはカメオとは逆に画を彫り込んだ沈み彫りのことですが、裏側から彫って表にはなんの傷もなく浮き出ているかのように見える技法です」とある。
 また、「技法的には古く、古代アッシリアにまで遡りますが、インタリオは17世紀から伝わ
るロシア芸術です」とも。
 このサイトの末尾近くに、「アンバー(琥珀)の加工が最高技術とされる東ヨーロッパ、バルト3国の一番南に位置するリトアニア共和国は世界最高級技術の琥珀製品です」とあるのが気になった。
 バルト3国というと、リトアニア、エストニア、ラトヴィアのようだが、確か、近くに近頃話題になったグルジアがあったはず。
日本グルジア文化協会」でグルジアの大概のことが分かる、のかも。
 バルト海付近で世界の琥珀の90%が産出されるという。森と湖の国というとフィンランドだが(15万を越える湖!)、そこに琥珀が加わると、グルジア共和国ということになる。
[偶然だろうが、この一文を書いたその日の勤務中、NHKラジオFMを聴いていたら、流れてきたのは、シベリウスの「フィランディア」だった。そう、フィンランドと言えばシベリウス
 学生時代のある時期、毎日のようにシベリウスのレコードを回していたことがあった。ある時期は、ブラームスのみ、またある頃はバッハだけ、そして一時期はワーグナーのレコードを最初に流すのが日課になっていたりした。そのどれかを聴いた後、ほかのクラシック曲だったり、ビートルズだったり、ボブ・ディランだったり、井上揚水だったりしたのである。 (05/05/17 追記)]
 尤も、グルジアの産品で主なものというと、「水晶、縞めのう、石黄、鶏冠石」ということになるようだが。

 さて、先ごろ話題になったとは、何もグルジア人力士の黒海のことではない(「グルジア人力士「黒海」の生い立ち」参照)。
 それは、5月10日にブッシュ米大統領がグルジアを初訪問したこと。「ブッシュ米大統領は10日、グルジアの首都トビリシで演説し、一昨年に起きた「バラ革命」により政権交代した同国を「世界の人々に勇気を与える自由の灯台」と称賛した。さらに、ソ連崩壊後発生しているロシアとの問題解決に向けて支援していくことも約束し、グルジアなど旧ソ連圏の民主化の後ろ盾となる姿勢を示した」ことが日本でも報道されていた。
 さて、そのグルジアは、ロシアとは軋轢を抱えている。グルジア国内のロシア軍撤退問題である。とうとう、「グルジア議会~ロシア基地の強制撤去の最後通牒」という事態にまで至った。
 その前に、「NIKKEI NET:国際 欧州ニュース」によると、「旧ソ連グルジアの黒海沿岸に位置するロシア軍2基地の撤退交渉が6日、決裂した。これを受け、グルジアはサーカシビリ大統領が9日にモスクワで開く対独戦勝60周年記念式典をボイコットすると表明した。同国にはブッシュ米大統領が式典出席後に訪問し、安保協力強化などを打ち出す姿勢を示しており、米ロ関係にも影響しそうだ」というのだが、やはり、ブッシュ米大統領が式典出席後、旧ソ連の衛星国、ラトヴィ
アと共に、グルジア共和国を訪問したわけである。
 ロシアのプーチン大統領も頭が痛いことだろう。
 そういえば、グルジアというと、一昨年、シュワルナゼ大統領が追放されたのだった。旧ソ連時代に外務大臣を務めた、懐かしい名前がここに。
 旧ソ連の外相としては、わりと開明的な印象を受けた。
 実際、「コーカサス安定化作戦  2004年4月29日  田中 宇」によると、「シュワルナゼは旧ソ連諸国の支配者の中では穏健な方だった。グルジアには強い反政府メッセージを流し続けた「ルスタビ2」というテレビ局があったが、シュワルナゼは言論の自由を守ってこの放送局を潰さず、その結果、政権転覆を許すことになった。中央アジア諸国など旧ソ連の多くの国ではこのようなテレビ局の存在が許されておらず、それに比べるとグルジアは民主的だった」のである。
 言論の自由を標榜したがゆえの自滅なのか、それとも、旧ソ連=ロシアからの離反を狙ってのシュワルナゼ氏による計画的政権転覆だったのか、詳細を知りたいものである。

 上に「バラ革命」という言葉が出てくる。
 2003年にミハエル・サーカシビリ氏が、シュワルナゼ大統領を血を見ることなく追放したのである。ゆえに、「無血革命」と呼称され、あるいは、ミハエル・サーカシビリ氏がその際、バラの花をシンボルとして掲げたことから「薔薇の革命(Rose revolution)」と呼ばれたりするわけである。

 やや余談だが、グルジアというのは、「Georgia」と表記する。一方、ブッシュ米大統領の名前は、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ氏であり、George Walker Bushと表記する。「George」と「Georgia」、何かしら因縁があるのではと邪推したり。ま、字面の話に過ぎないのだが。

 日本も関心を持っていいと思うのは、「ラトビア大統領、ロシアに歴史の再評価を要求」というニュース。「ラトビアのビケフレイベルガ大統領は6日、首都リガの大統領府で記者会見し、9日の対独戦勝記念式典は「歴史を再評価し、空白を埋めるよい機会だ」と述べ、第二次大戦後から冷戦崩壊まで旧ソ連がラトビアなどを「不法占領」したとロシアのプーチン政権が認識し謝罪すべきだと訴えた」というのである。ここでは深入りしないが、歴史認識の問題を抱える日本としても、無関心ではいられないはず(だけれど、あまりニュースにならない…)。
 
 琥珀というと、「琥珀の間」が有名である。「宝石鉱物小事典-琥珀の間」を覗くと、「琥珀の間 (amber room)」の見事さを示す写真も観ることができる。
「エカテリーナ2世が祝典応接室の名目で1770年に完成させた」というが、「琥珀の間に使用された琥珀の総重量は6トン、約10万個に及」び、「ドイツからも多くの琥珀が寄贈」されたという。
 以下、興味深い記述が続く。
 この記事では、ドイツに焦点が合わせられているが、ポーランドやバルト3国の琥珀は使われていないのだろうか。

 例によって、まとまりのない文章になり、しかも、琥珀とコーヒーの関係は調べきれなかった。恐悦至極であり残念である。
 いつか機会があったら、調べてみたい。
 さて、本日は仕事だ。仕事を忘れちゃいけないね。ということで、尻切れトンボ状態だけれど、ここで擱筆させてもらう。
 また、何か情報があったら、教えて欲しい。

 尚、季語随筆に収めきれなかったので、無精庵万葉記に「三浦 佑之著『古事記講義』」なる書評風エッセイを書いた。紹介した本が面白かった。小生、「古事記」や関連する文献を読むのが好きなのである。

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コメント

いつだったか・・・
琥珀の装飾品が展示されていたのを見に行ったことがあります。
遠い昔から時間をかけて作り上げられた琥珀が
今こうして細工を施され私達の目に触れていることに
とってもロマンを感じました。
こんなコメントでごめんなさい。

投稿: マコロン | 2005/05/18 18:53

「琥珀色の時間」っだったか「琥珀色の伝説」だったか・・インスタントコーヒーの宣伝文句にありました。ボトルコーヒーの商品名にもあったかな?(うろ覚なので、間違ってたらごめんなさい)
「薄く黄色みがかった茶褐色」って 色の説明には書いてありました。コーヒーの色の形容として定着しているみたいです。
私の飲むコーヒー(インスタントもレギュラーも)は、もっと濃いこげ茶色なんですが・・・。

投稿: なずな | 2005/05/19 15:13

マコロンさん、琥珀の装飾品の展示、小生も見てみたいです。男は大概、ダイヤモンドもルビーも自分のものとしては興味がないもの。でも、ロマンとしてなら、興味津々です。
さすがにプレゼントは小生にはできかねますが。
ふと、思うけど、小生、ダイヤモンドの実物、見たこと、あったっけかな…ないなー、やっぱり。

投稿: 弥一 | 2005/05/19 15:36

なずなさん、琥珀とコーヒーの関係って、琥珀色繋がりだったの?! この前は、時間切れで調べきれなかったんだけど。
小生など、琥珀色というと、思い浮かぶのはウイスキー。コーヒーより、紅茶のほうが琥珀色に近いような気もするし。

コーヒー。学生時代から、どっぷりとコーヒー(と煙草)漬けの毎日だった。朝起きたら(というか、起きた時を朝と称していただけだが)必ず煙草で一服、コーヒーで一服、トイレで一服。大学の卒業を契機に煙草は止めたけど、コーヒーは不可欠だった。なのに、35歳過ぎから、コーヒーを全く飲まなくなった。別に敢えて呑まないのではなく、全く手が出ないし、コーヒー関連商品の一角にも目が向かなくなった。嗜好の変化、体質の変化があったのだろうか。思えば、その頃から太り始めたけれど、何か関係があるのか(缶コーヒーの類いは飲むし、只だったら、喫茶店のコーヒーも飲むけどさ)。
不思議といえば、小生のコーヒー離れと交錯するようにお袋がコーヒーを飲み始めている。何故だろう?!

投稿: 弥一 | 2005/05/19 15:45

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