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2005/04/24

風光る…杉菜…こきりこ

 サイト巡りをしていて、あるブログサイトの写真に目が止まった。
 小生、自分では、やたらと長い文章を書いておきながら、妙な話だが、そこは素敵な画像と簡潔なコメントで、訪れるのも楽しみなサイト。
 自分でデジカメを使い始めて分かるけれど、撮れば光景は写し出せるけれど、逆に対象の生命感とか、今だからこそ撮ったという感じを画像で示すのは案外と、いや、結構、難しい。撮るだけならカメラがあれば撮れる、多くの人が撮っている、つまり、画像はライバルが多いし、誰もが見慣れているのだし。
 目が止まったサイトというのは、「武蔵野だより」というサイトの「風光る。」なる画像。
 画像もいいが、小生だと、こういう光景に目が止まるかどうか、怪しいものである。まして、朝露に濡れる杉菜の目に鮮やかな<いのち>は、文章はもちろんだが、写真でも表現はできないなと感じさせられる。
 ところで、その画像の表題は「風光る。」とある。「「風光る」は3月ごろの季感3月ごろの季感」だというが、小生、季語例の表をほぼ毎日のように見ていながら、「風光る」がいつ頃の季語例として示されていたのか、気づいていない。
 調べてみると、サイトに依っては四月の季語例に挙げられていたりする。
 しかも、画像に付せられたコメントには、「写真は〈杉菜光る〉(^v^)です。」ともある。
 あれ、杉菜っていつの頃の季語なの、と、これも季語例を探ってみると、同様に四月の季語例表に載せてあった。ホント、我が目は節穴だと、つくづく自覚させられるのだった。
 三月なのか四月なのかは、歳時記上は厳密に決まっているのか、あるいは伝統的に一定の範囲に収まってきてのものなのか、地域による若干の季節感の相違を容れる余地が俳句を実作する上で許されているのか、小生にはトンと分からない。

 こうなると改めて俳句の世界の入り口で戸惑ってしまう。
 あるいは、本来は実感と実際に見た光景こそが大事なのに、過去の事例に過度にこだわる方がおかしいのか…。季節感のズレ、四季の境目の曖昧さ、地球環境の異変、こういった現実が俳句の世界に影を落とすことはないのか、分からないことがあまりに多い。

 それにしても、「風光る」という季語の意味が、そも分からない。「風薫る」との異同はどうなのか。
俳句歳時記の部屋」の「春の季語(自然編-種類順)」を覗かせてもらうと、「風光る」は「日差しが強くなり、吹く風が鋭く光るように感じられること」とされている。
 念のためだが、「風薫る(薫風、薫る風)」は、夏の季語で、「C o l u m n VOL.21 新緑の季節を遊ぶ」によると、「「薫風(風薫る)」は、清々しい新緑の香りを運ぶ風を指し、「青嵐」は青葉を吹き抜ける強風を指しています。どちらも5月に吹く風をなぞらえた言葉ですが、「薫風」は香りに重きをおいているのにたいして、「青嵐」は新緑の色彩に注目しているといえるでしょう」という。
 俳句の世界での常識なのだろう。
 けれど、三月であろうと四月であろうと、薫風を感じる場面というのは、ふとした日常の中で出会ったりすることは間々あるものだけれど…。
 疑問は疑問として、お目直しに「季語の風景|風薫る」の画像などを。

「風光明媚」という言葉は慣用的にも使われる。「自然のながめが清らかで美しい・こと(さま)」を表現するというのは、何も「大辞林 国語辞典 - infoseek マルチ辞書」に依存しなくても、分かる。四月など、春に使用を限定する必要など、皆無の表現のようだ。
 が、「風光る」となると、途端に神経質になるしかなくなる。難しいものだ。俳句や歳時記を意識しないなら、何かの文章の中で、ちょっと「風光る」という表現を使ってみるかもしれない。勿論、季節感よりも、この言葉の持つ表現力やイメージを優先して。

 さすがに「光る風」となると、かなり飛んでしまうことは小生にも分かる。あの「がきデカ」という傑作を書いた山上たつひこ著の漫画のタイトルである(「光る風」という漫画の内容については、「『中春 こまわり君』,そして『光る風』」を参照のこと、是非!)。
 尤も、小生は共に惹かれつつも、「がきデカ」のほうにインパクトを受けたのだった(このことは、どこかで書いたはずだ。尚、山上たつひこは現在、山上龍彦の名前で小説を書いておられるという噂だが…)。

「光る風」という言葉が織り込まれているわけではないが、似た形容表現繋がりという、理屈では無理のある連想で、「光る海、光る大空、光る大地、ゆこう無限の地平線~♪ 」という漫画「エイトマン」の主題歌(歌/克美しげる 作詞/前田武彦 作曲/萩原哲晶)が口を突いて出てしまう。
 あの前田武彦がこんな歌詞を作っていた。この克美しげるが後に情ない事件を起こす…。
 主題歌繋がりというものでもないが、主題歌の名作は、メロディも歌詞も素晴らしい、テレビアニメ「鉄腕アトム」の「そらのかなた」だと思う。知る人は、結構、賛同されるのではなかろうか。谷川俊太郎作詞で「そらをこえて ラララほしのかなたゆくぞアトム♪」という出だしの曲は、引き篭もりがちの小生の心をさえ、伸びやかにする力があった。
 この「そらのかなた」と「光る海、光る大空、光る大地」との両者を併せると、「光る風」というフレーズに結晶する…というのは、言い過ぎか。

 余談はこれくらいにして、「杉菜」も見ておきたい。上掲の「春の季語(自然編-種類順)」を参照させてもらうと、「杉のような形のトクサ科の多年草。土筆が終わると出る」とある。
「杉菜」の画像を見てみたいと、「野草(名前順)」なるサイトの「スギナ(杉菜,ツクシ) 」の項を覗いてみると、あれあれ、「土筆(つくし)」の画像じゃないか。
「杉菜」の画像を見てみたいものと、「杉菜 季語」でネット検索したら、「武蔵野だより: 土筆だれの子♪ 杉菜の子」というキャッチィな表題のサイトが上位に登場する。あれれ、また、「武蔵野だより」さんサイトとの遭遇である。
 早速、「武蔵野だより: 土筆だれの子♪ 杉菜の子」へ飛んでみると、「写真はコロっと変わって土筆です」といったコメントの付せられた土筆の画像が。
 分かったのは、土筆がやがて杉菜になるということ(実は今日、初めて知った!)、杉菜は食べられるのは小生も知らないではなかったが、土筆も食べられるということ(これも初耳!)なのだった。
 それよりも、実はこの画像も、アップされた当日に小生、しっかり見ていたじゃないかってこと(!)

 もう自分のドジさ加減に呆れ果てたので、ここからは更に脱線する。
「つくし」というと、関係ないと思いつつ、単に語感繋がりだけで、成世 昌平さんが歌ってヒットした、小生の好きな歌「はぐれコキリコ」の中の、「筑子竹」を連想してしまっていた。
 歌では「ちくしだけ」と歌っているように聞える。
[この「ちくし」は、筑紫地方の「筑紫」とは関係ないのだろうか。「筑紫の日向について」(←誤字が多いのが残念)によると、地元では「ちくし」と読むらしいのだが。
 全くの余談だが、小生、未だにテレビでも活躍されている筑紫哲也氏の苗字が「つくし」なのか「ちくし」と読むべきなのか迷ってしまう。ちなみに、かの大作曲家の滝廉太郎は大分県日田市出身の筑紫哲也氏の大伯父である。今時のテレビキャスターとしては珍しく硬派なので、毀誉褒貶が激しい。タカ派の保守派には嫌われているようだ。]
 この「筑子竹」のことを以前、「コクリコのこと」と題した拙稿を書いた時には、調べきれないでいた。
 ネットで、「筑子竹」を検索してみると、「筑子竹(コキリコ竹)」とされている。
 そうか、「筑子(竹)」って、「こきりこ」と読む(あるいは「こきりこ」は漢字表記すると「筑子(竹)」な)のだということに、初めて気が付いた。迂闊!
愚行連鎖GB楽器博物館筑子竹(こきりこ)」を覗いてみると、「二十四輩順拝図絵より」という小生は初見の興味深い図絵が載せられている。
童歌 -光への旅-」によると、「「こきりこ」は、越中五箇山・上梨の山里を中心に伝承された民謡で、大化改新(645年頃)の頃から田楽として歌い継がれてきたと言い伝えられている」と書いてある。
(ついでながら、「童歌 -光への旅- ●取材ノートから 「郷土芸能にかける青春」」なる頁も覗いてほしい。富山の県立平高校について興味深い記述がある)
 上掲の「愚行連鎖GB楽器博物館筑子竹(こきりこ)」には一層、詳しく、「筑子竹(こきりこ)とは田楽の替名で、田楽の発祥は古くは大化の改新の頃、田舞として起こり、平安時代に田楽と名が変わり、南北朝時代において奈良興福寺大乗院寺領坂本保(平村上梨)など五箇庄(後永正十五年五ケ山と改名)へ放下僧や吉野朝武士が伝え、現在の重要文化財白山宮前で毎仲秋の頃、後醍醐天皇の慰霊祭(タママツリ)を行って筑子は今日に伝承された」とある。
 小生は、「こきりこ節」は越中五箇山近辺に伝わる民謡ということで、てっきり平家の落人(おちうど)伝説に関連するものだと思い込んでいた。
 この点は、「コクリコのこと」という小文を書いた際には、調べきれなかった(あるいは気付かなかったのか)。民謡も「こきりこ節」も奥が深い!
「大化改新(645年頃)の頃から田楽として歌い継がれてきたと」いうが、その典拠など、知りたいものだ。

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