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2005/03/05

風邪の季節・春の風邪

 三寒四温のせいなのか、例年になく寒い日が続くせいなのか、風邪を引いている人が多い。加えて花粉の吸引を防ぐためだろうが、事情を知らなかったら大仰なとも思われかねないマスクをしている人も目立つ。
 風邪そのものは、夏風邪という言葉もあるくらいで、何も冬に引くとは限らない。春にも秋にもで、時期を選ばない。インフルエンザとなると、時節的にかなり限定されるようだが。
 知り合いのお子さんにインフルエンザに罹患した人も居る。
 かくいう小生も、一月末から2月始めの頃に風邪気味だった。それは大事に至ることなく直ったようだが、一昨日の水曜日だったか、タクシーの中で仮眠を取っていて、油断したのか、体が不調気味になってしまった。なんと症状が腰に出た。
 風邪の初期症状は、その人の体の弱い部位から発症するというが(今まではずっと、額…頭だったのに)、なんとなく腰の調子が変だなとは、この頃感じていたけれど、とうとう腰に来たのか、これから先が思いやられると、実は小生、今、戦々恐々なのである。
 なので、季語随筆からは若干、脱線気味になるが、「風邪」を巡って少々、調べてみたい。

 まずは、風邪についての一般的な知識などを見ておこう。

 手元の事典(NIPPONICA 2001)によると、「「かぜ」は風邪とも書き、邪気を含んだ風の意で、古来、その風が通過する部位、すなわち呼吸器系疾患の総称として使われてきた。また、寒冷刺激によるものを寒冒、さらに細菌感染が加わったものを感冒、ウイルスによるものをインフルエンザと使い分けたこともあったが、現在は使われない。すなわち、寒冷刺激だけで発病することはほとんどなく、なんらかの病原の感染によっておこるほか、病原としてはウイルス、マイコプラズマ、クラミジア(オウム病病原体)、細菌などがあり、かぜ症候群の80-90%がいろいろなウイルスによることもわかり、使い分けの意味を失った。」とある。
 また、「病原がウイルスであることが多いので、治療はもっぱら対症療法に終始する。」しかも、インフルエンザ以外は予防ワクチンがないので、一般的には、誘因となる過労や寝不足を避け、うたた寝や入浴後の湯冷めなどをしないようにする一方、普段から乾布摩擦などで皮膚を鍛えておくのもよい。」とも。
 言われているように、風邪薬というのは、風邪の症状を緩和する対症療法の薬なのであって、風邪の原因となる対象(細菌など)を直してくれるわけではないのである。

 つぎに、「風邪」の語源などを。
風・風邪(かぜ) - 語源由来辞典」によると、「風の語源は、「か」が「気(か)」で大気の動きを意味し、「ぜ」は「風(じ)」で「気風(かじ)」の転とされる。風邪の語源も「風」と同じで、日本最古の医書『医心方』には、「風者百病之長也」とある。」という。
 また、漢方などでは、「ふうじゃ」などと読み、「六邪(風邪・寒邪・厚邪・燥邪・火邪)のひとつ」とされるようである(「漢方で考える花粉症 - 漢方薬局」などによる)。「六邪」については、「健康コラム・バックナンバー02-9-28」などを参照のこと。

 一方、風邪と言えば、「インフルエンザ(influenza)」を連想する。インフルエンザは、、「インフルエンザ - 語源由来辞典」によれば、「風邪の一種であるが、ウィルスの種類が異なるため、高熱が出るだけでなく、脳炎や心不全など重症化する恐れのある感染症。流行性感冒。流感」であり、同じく「インフルエンザ - 語源由来辞典」によれば、インフルエンザの語源は「「星の影響」を意味するイタリア語「influence」である。昔のイタリアでは、この病気の原因が解らず、占星術師などにより惑星の並びによるものと考えられていたことによる。」という。
IDWR 感染症の話」を覗くと、「流行が周期的に現われてくるところから、16 世紀のイタリアの占星家たちはこれを星や寒気の影響(influence)によるものと考え、これがインフルエンザ(influenza)の語源であると言われて」おり、「インフルエンザは、いまだ人類に残されている最大級の疫病である」とされる。
 別のサイトには、「「疫病」のことをinfluenza di freddo(寒さの影響)と呼んだことにインフルエンザの語源が由来」していると書いてあった。

「風邪」の語源を探っていたら、なぜか、「酒の語源を探ると」というサイトに遭遇した。
「酒はなぜ「さけ」というのだろうか。素朴な疑問である。これには諸説がある」として、まず、「まず、第1に酒はもともと「栄水(さかえみず)」といっていた。それが、さかえ―さけえ―さけとなったという。」説が、ついで、「第2の説は「さかえのき」という言葉が、酒に発展したというもの」が、さらに第3の説として、「「避ける」という言葉が酒になったという」説が紹介されている。
 他にも、第4の説として、「「くし」という古語が、転じて酒になったという説」などが紹介されている。

 さて、風邪と酒がどういう関係にあるのか。まさか、いくら駄洒落好きの小生でも、「かぜ」と「さけ」が語感的に近いとは、不可能とは言わないが、言い張るのは難しいし気恥ずかしい。
 実は、第3の説の「避ける」が関係している。つまり、酒は、風邪を避けるというのである。
 上掲の幾つかの説も、少々、酒飲みの身勝手な理屈っぽくて、お酒でも入っていないと、素直には呑めない説のような気がする。
 第一、酒を飲んで風邪の罹患を予防するのか、風邪を引いた時に酒を飲んで、風邪を退散させるという意味なのかが判然としない。まあ、酒さえ飲めれば、どっちでもいいようなものなのかもしれない。玉子酒でも梅酒でも酢でも飲めればいいってことなのだろう(か)。

 さすがに、ここまで来ると、小生、気が咎める。あまりに中身が薄いと思われて、二度と覗かれなくなる怖れもある。なので、少々、季語随筆らしいことを。
 風邪は、季語なのかどうか。
 どうやら、「春の風邪」とすると、春の季語になるようである。ネット検索したら、「はじまりは仮病なりけり春の風邪」(内田美紗)という句が見つかった(「ikkubak」より)。いいな、こういう句。小生が、小学生だった頃、風邪を口実に学校をずる休みしたことを思い出す。お袋は小生の仮病に気が付いていたのかどうか、今も分からないままである。
 ただ、最初は仮病を装っていても、それが本当に病気に至ることもある。スポーツにしても習い事にしても、形から入るという方法があるようだけど、病気もそうなのかもしれない(かなり、いい加減な説だ)。

2月定例句会選句結果」は、「風邪」という季語を織り込んだ句が多数あって、楽しい。
 風邪とは関係ないだろうが、「冬の月明りを曳いて船出づる」(ひとみ)という句が見つかったが、とても幻想的絵画的で印象に残った。

 本日の季語随筆の表題は、最初は、「風邪の季節」だけにしていた。「風邪」に絡むあれこれを随想風に綴ってみるつもりだったのだ。が、調べていくうちに、「春の風邪」が春の季語だと分かった。なので、付け足しにして、「風邪の季節・春の風邪」に。
 季語重ねは避けるべきだというか、表題の「風邪」の重なりも、かなり不恰好だ。でも、いい。体の調子が今一つだから、頭の調子も不調なのだと言い張るつもり。
 まあ、そのうちに、風は風でも、「東風」を採り上げて、汚名挽回としたい。


 風邪なのと甘えてみせておねだりさ
 マスク越し風邪か花粉か強盗か
 風邪引いて匂い分からず飯不味し
 風邪引いて寝込んで思う日々のこと
 風邪引いた互いに責めて泣き寝入り
 

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コメント

お久しぶりです。
体調が崩れたりして、心惹かれる表題が多いにも拘らず、
読めずにおりました。
今日は、久しぶりに拝見して、くすくす笑えました。

>風邪引いて寝込んで思う日々のこと
これ、子どもの頃は、こうでした。
でも、今は・・・。
風邪引いて 寝込んでおれず 我は主婦
ってな感じですね。

お酒との絡みは、ばらくーだの歌を思い出しました。
「酒が飲める 酒が飲める 酒が飲めるぞ~♪
酒が飲める飲めるぞ~ 酒が飲めるぞ~♪」
要するに、理由は何でも良いのねって。

また、伺います。では。

投稿: Amice | 2005/03/05 22:03

はじめまして。
「知り合いのお子さんのインフルエンザ」に釣られて
「語源由来辞典」のサイトで遊んできてしまいました。

集中力が低下してるのか、長文を、きっちり理解しながら読むという作業がどうしても苦手になってしまっているので、書いておられる弥一さんには 失礼だな、と思いながら、ちょこちょこ つまみ読みみたいな読み方になってしまっています。
blogでは 沢山の情報を下さるので楽しみにしています。
へっぽこ読者ですが、色々感想や、自分が思い出したことなんかもまた、書き込みに来させてくださいね。


投稿: ぽぉ | 2005/03/06 10:21

Amice さん、主婦さんのようですし、小生のような呑気な生活は無理。小生は、いいのか悪いのか、誰にも邪魔されず、自宅では好き放題。掃除はしないし、片付けもしないし、眠くなったら寝る。ひたすら楽しています。申し訳ないほどに。

>風邪引いて寝込んで思う日々のこと (や)
 
 思えば、小生、風邪を引かなくても、在宅の日はほとんど寝て過ごしています。徹夜仕事柄、帰ってからは、終日、頭がボーとしていて、しかも、年のせいか、まとめて何時間も眠れず、細切れ寝を繰り返す傾向が強まっている。
 だから…

 寝込んでも誰も看取られず永眠さ

 …かもしれない。理想的なのか?!

 酒飲みの理屈には敵いませんね。特にタクシーやっていると、夜には、酔っ払いが乗ってきて、<議論>してくるものだから、素面の小生、応じるのが大変。テープに録音しておいたら、本人、赤面だろうな。

投稿: 弥一 | 2005/03/06 11:55

ぽぉさん、ここでははじめまして。メルアド、取得されたんですね。御苦労様。
つまみ食い、大いに結構です。いろんなことを書いているようで、穴が一杯。突っ込みどころも一杯です。
どちらにしても、小生の文章の論旨も飛躍しているのですから、書き込みされる方は、堂々と思い通りのことを書き込んでいただければ、こっちは嬉しい。うん。

そうそう、「投句の細道」は、こっちより気楽かも(似たようなものか)。

投稿: 弥一 | 2005/03/06 11:59

風邪の語源を調べていて、訪問いたしました。
とても深い考察で、勉強になりました!
ありがとうございます。
ことばの世界は面白いですね。
拙ブログでも紹介させていただきました。

投稿: みかり | 2008/10/14 23:31

みかりさん

来訪、メッセージ、ありがとう。

語源探索って楽しい。
字面だけじゃ分からない、いろんな意外な世界に知らず知らず誘われていく。
世界が広がるようです。

ブログで紹介してくれたんですね。
ありがとうございます。

投稿: やいっち | 2008/10/15 00:57

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