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2005/02/26

公魚(わかさぎ)

 二月も残すところ、後僅かである。
 今年は28日まで。
 一月というと30日ということに慣れているからだろうか、なんとなく試合の途中でリングの外から勝手にタオルを投げ込まれたような、中途半端な感じがいつもながらしてしまう。
 小生はガキの頃、自分の誕生日を29日と思い込んでいたことがある。もしかしたら26(日)という数字と29(日)との区別がはっきり付けられなかったのか、それとも、誕生日という概念をようやく掴み始めた頃だったのか。
 で、或る日、カレンダーを見て、驚愕の事実に気が付いた。なんと、ボクの誕生日がない?! 不幸にも小生は2月のカレンダー、それも、うるう年ではない年だったものを見てしまったらしいのだ。
 悩み事があっても人に相談できなで、物事をついくよくよ思い悩む性分は、ご幼少の砌(みぎり)の頃かららしく、また、<ボク>は、ボクの誕生日ってカレンダーに載ってないんだ。ボクって何? 生れてるはずだよね。父ちゃんと母ちゃんの子だよね。なのに、どうして、載ってないの? もしかして、ボクって、拾われた子なの?
 くよくよ、いじいじ、しなしな、ぐじぐじ、思い悩んだ挙げ句、<ボク>は、その難局というか苦難をどう乗り切ったのか、はっきりは覚えていないのだが、二つの極へ突っ走ったらしいことは朧げながら思い出される。
 一つは、不幸の極みの中で、その不幸をしみじみと味わう、で、幼子ながらにボクって特別な子なんだと思い込んでしまう。その頃はそんな言葉は思い浮かぶはずもないが、敢えて言うと世捨て人的な気分にさえ、陥っていった。
 寂しくはあるのだが、それはそれで結構、甘酸っぱいような感傷があり、もう、いいや、どうなってもいいんだ、ということで、なんとなく世の中を遠くに感じ、遠いことを理由というか、言い訳に、何もしない子になってしまった。努力しないことを自分の不幸で正当化していたらしいのである。

 もう一つの極は、容易に察せられることだろうが、自分は特別だ、という感じから、拾われた子…、もしかしたら高貴な方の世を忍ばざるをえない子で、我が<両親>に預けられている、 そのうちに天からか何処からか分からないけれど、本当の親が現れてきて、そこに愁嘆場というか、土壇場というか、ドラマチックな結末が訪れ、自分のそれまでの目立たない、落ち零れのしがない人生が一転し、日が差し、それどころか、光眩く輝きだす…。
 実際、小生はずっと出来の悪い子で、お袋などは、小学校の時など、何度も学校(担任)から呼び出しを喰らったとか。お宅の子は、何もやる気のないお子さんですね、とかなんとか。
 何もやる気がない(ように見える)のは、当然で、不幸な子なんだから、何をしても仕方ないわけで、また、世の中に自分がいるという感覚もないので、何をやっても、その行為が世の中から浮いているようでもあり、あるいは自分が世の中から締め出されているようでもあり、まあ、だらりだらりとその日その時を投げ遣り気味に遣り過すしかないのだった。
 また、生まれながらに特別な子なのだから、何をしなくたって、時が来たら自ら思わず知らずに輝きだすに決まっているわけで、なにをあくせくする必要があろうか、というわけである。
 まあ、誕生月である二月というと、そんなしょうもない(味が薄い、みずっぽい)ことばかりが、つい思い出されてしまう。

 2月の季語には、季題(季語)の数が少ない中、「白魚、公魚(わかさぎ)、鰔(さより)」など、魚に関連する言葉が三つもある。この三つが相対的に他の月に比べ少ないのか多いのかは、まだ、保留だが。
 たとえば、何故、「公魚(わかさぎ)」が2月の季語なのだろうか。
「あまさぎ 公魚釣」を類義語に持つ、この「公魚」は、「結氷した湖では氷に穴をあけて釣る」光景を、まずは季語からは思い浮かべるらしい。
 ネットで調べたら、「公魚(わかさぎ)の事を 雀魚ともいいます。小型の形状からつけられたのでしょうか」という説明を見つけた。例によって、「閑話抄」の中の頁である。
 この「閑話抄」は、小生のお気に入りで、季語関連の話題をネット検索すると毎回のように、このサイトの頁に行き当たる。「当歳時記は季語を題材にし、四季折々の風物を紹介するものであり、また今では既に絶えて久しい言葉を掘り起こすものでもあります」というが、小生には畏敬すべき先人(先駆者サイト)である。
 ただ、悲しいかな、「公魚(わかさぎ)」については、特に項を立ててはいないようだった。
 さらに調べると、「あまさぎ ちか 桜魚 公魚釣」を例示し、「結氷した湖で氷に穴をあけて釣る公魚は10cm位で小鮎に似る」と説明してくれる頁が見つかったが、何ゆえ、「公魚(わかさぎ)」が二月扱いなのかは、分からない。
「旬 いばらき総合情報サイトGYA 『ガヤ』」の「今月の旬   【2月の魚】」という頁を覗くと、「旬は冬。1月~3月頃がワカサギ釣りの最盛期。小骨が気にならないので食べやすく、フライや佃煮にして食べる。産卵は早春で、卵を持ったメスが美味である。」とある。
 要するに、二月(1月~3月頃)がワカサギ釣りの最盛期だからなのだと思うしかないようである。当たり前すぎて、なんだか拍子抜けする。
 せっかくなので、「公魚(わかさぎ)」について、どのように説明されているか、ネットで探し尽くす。
背は淡黄色で、腹部は銀色の魚。体長七、八センチから十センチ。淡水で生れ海に下って育ち、再び川に遡上する習性を持つ。今は湖水だけで繁殖を繰り返し、投網漁や釣りの対象となっている。フライ、天ぷら、佃煮にして美味。」とある。
 この頁には、「年々に公魚汲みて舟古りし」(橋本鶏二)や「公魚のあがる軽さに糸吹かれ」(河野探風)などが載っている。
「このサイトは、ホテルキャッスルプラザ,毎日名古屋会館,毎日新聞名古屋開発,毎日文化センター,毎日新聞中部本社で運営されてい」て、「全ての内容について、一切の転載・改変を禁じます」と銘記してあるサイトの「つり天国 02/12/27」という頁を覗くと、「初釣りは家族でワカサギ  明治村畔・入鹿池 」という記事とか、「☆ワカサギ☆ 雑学」的記事が載っている。
 覗くのはいいのだろうから、興味のある方には覗いてもらうとして、金園社刊の「俳句歳時記」からの例句として「わかさぎにほのめく梅の匂いかな」(万太郎)「公魚のよるさざなみか降る雪に」(水巴)「雷魚殖ゆ公魚などは悲しからん」(素十)の3句を挙げていることだけ、示しておこう。
レシピ : わかさぎ(公魚) - 食材事典」を覗く。
 ここには、公魚についての豆知識や栄養素が書いてあるのが嬉しい。さらに、小生ならずとも、ずっと気になっていた、何故に、「わかさぎ」を「公魚」と漢字表記するかの理由についても書いてある。転記すると、「江戸時代に霞ヶ浦の麻生の藩主が、毎年の年賀に将軍家にわかさぎを献上したことから。「御公儀(将軍家御用達)の魚」という意味でつけられました」とか。
 なるほど!
 ということは、「公魚」は、このように表記して、「わかさぎ」と敢えて読ませているということになる。「公」や「魚」の組み合わせからは、どうやっても、「わかさぎ」という読み仮名は出てこないのだろう…か。
 ところが更に調べると、 【命名】について更に詳細に説明してくれるサイト(「網走湖 わかさぎ釣り」)を見つけることが出来た。
 転記させてもらうと、「鮖、公魚、若鷺などの字をもって「ワカサギ」に当てているが、いずれも呼名の語意を表わしていない。 「ワカサギ」は「ワカ=幼い・清新」と「サギ=細魚・小魚」の合成語であり、その語意は「清新な小魚」という意」だとか。なるほど! その上で、「公魚の漢字の由来は、霞ヶ浦や北浦の一部を治めていた麻生藩が江戸幕府11代将軍徳川家斉公に年貢として納めたことから、公儀御用の魚、つまり「公魚」となった」と続くわけである。
 これなら、一応は納得である。
 この頁には、「「わかさぎ」についての豆知識」が豊富で、勉強になった。
 他にも、「ワカサギ・わかさぎ / 旬マガ 旬の食材図鑑」も、わかさぎ全般について詳しい。
 テレビで、「わかさぎ」の養殖に最初に成功した場所として、諏訪湖の名が挙がっていた。「諏訪湖のわかさぎは全国の湖沼に、卵として出荷されています。特にわかさぎの甘露煮は諏訪地方の郷土料理として、佃煮ではない家庭的な味付けで喜ばれています」ということで、「わかさぎ紅梅煮」なるものがあるらしいが、食べてみたいものである。
 諏訪湖というと、小生が春や夏にバイクで帰省する際、毎回のようにその脇を通り抜けている。そうだったのか、である。近くに、原田泰治美術館もあることだし、なんとか一度は高速道路を降りて、諏訪湖の周辺など散策してみたいものだ。
 ネット検索していて、恐らくは小生には初耳だろうと思うが、「中央構造線と糸魚川(いといがわ)・静岡構造線は、諏訪湖で交わってい」るという事実を初めて教えられた。これ以上は、今回は、拘らないが、フォッサ・マグナと諏訪湖の周辺は、いつか改めて採り上げたい。
 今朝、帰宅直後だったか、テレビを見たら、「食彩の王国  「諏訪湖ワカサギ繁殖大作戦!」 」をやっていたらしいが、徹夜仕事の上に、朝、会社で集会があって、眠気がひどく、すぐに消してしまった。
 一体、誰が養殖に成功したのか、その肝心な点を見逃し(聞き逃し)たようだ。
 ネット検索してみると、「ワカサギ増殖100年史  ~霞ヶ浦から日本そして世界へ~  工藤貴史(東京水産大学資源管理学科)」と題された頁を見つけた。
 いろいろ書かれている中で、小生が注目したのは、「人工受精卵の移殖放流の研究は、1906年に霞ヶ浦で始められたが、その後約100年の間に霞ヶ浦から日本そして世界へと移殖放流され、その結果日本の淡水魚の中では最も分布域が広い魚となっている」という点。
「霞ヶ浦で始められた」!
『霞ケ浦報道(上巻)1951-1999』の構成」という頁を覗くと、「霞ケ浦の公魚卵六億孵化 日本全国から大量注文」など、詳しい情報が本書からは得られそう。
 が、誰が養殖に成功したのかは分からない。
 いつか、また、調べてみよう。
 ああ、それにしても、中途半端な調査だ。三つ子の魂が、ここにも出ている!

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季語随筆」カテゴリの記事

コメント

わかさぎ を公魚と書くとは知らなかった。
どういうつながりで そうなったのかな・・
意味はないのかな・・鰯はすぐ傷む<<
だから弱いなんだよねぇぇ

わかさぎと言えば一番に思いだすのが
ジョナ○ンのわかさぎサラダ・・
まだあるかしら?最近行ってないので・・

これがけっこう好きで 行くと必ず食べた。
たまねぎの上に何匹かのわかさぎの素揚げが
のっててドレッシングがかかってるだけなんだけどね。サラダというにはちょっと違う気もするけど・・

この前スーパーでわかさぎの素揚げを見つけたので 家で再現しようと思って買ってきた。
たまねぎをひいて わかさぎを乗せる
見た目はそのままだわ・・だけど・・
食べたら~(-゛-;)~
堅くてゴムのようなわかさぎだった・・
やはり、揚げたてがいいよねぇε= (´∞` ) ハァー

投稿: tanu | 2005/02/27 00:21

「わかさぎ を公魚と書くとは知らなかった。
どういうつながりで そうなったのかな・・
意味はないのかな・」
 小生も、季語随筆を書くようになって初めて知った。意味合いなどは本文に書いたよ。
「わかさぎ紅梅煮」なんてのがあるらしいから、一度は食べてみたい。読んで字の如く、煮る際に、梅肉を適当な量、入れるらしいんだけど。
 で、「今日も走るぞ!」の続編を書きましたとさ。

投稿: 弥一 | 2005/02/27 06:07

( ̄∇ ̄;)ハッハッハ 失礼した。
わかさぎ・・で反応しちゃった・・
でも あとで気がついたら わかさぎのサラダ
じゃなくて きびなごだった・・(ヘ;_ _)ヘ ガクッ

(*'ー'*)続編よんだよ・・
((o(▽ ̄*)oワクワクo(* ̄▽)o))

投稿: tanu | 2005/02/27 14:31

わかさぎって、名前の語感がいいね。一体、誰が付けた名前なのか知らないけど、植物にしても動物(特に魚)にしても、名称が実に素晴らしい。
ジョナサンって名前の店もいいね。最近、ファミレスに入っていない。昔は、バイクでのツーリングの途中などで食事したものだったけど。
あれ、新作、もう、読んでくれたのね。ありがと。
あっしも、ブログ、毎日、覗いているよ。

投稿: 弥一 | 2005/02/27 19:27

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