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2005/02/04

いぬふぐり

 昨日が「猫の恋」だったので、今日は流れから言って「いぬふぐり」以外には考えられなかった。「猫の恋」が季語として選ばれるのだから、犬の恋も季語として選ばれてもいいはず…、でも、よりによって何故、「いぬふぐり」なのだろう。
「いぬ」は分かるとして「ふぐり」というと、「大辞林 国語辞典 - infoseek マルチ辞書」の「ふぐり」の項を参照させてもらうとして、「(1)睾丸(こうがん)。きんたま。いんのう。 (2)松かさ。まつふぐり。」という二つの意味のうちの前者だろう。
 いざ鎌倉という際には、必要不可欠な逸物だとはいうけれど、いくらなんでもあからさまじゃない。
 なんてのは、冗談で、「いぬふぐり」(いぬのふぐり)とは、別名、「ひょうたんぐさ」(ごまのはぐさ科Veronica属)であり、「代表的な路傍の花で、直径数ミリの小さな淡紅色の花である
 但し、「日本の在来種であるが、現在は下記の二種類の帰化種に圧倒されて殆ど見ることが出来ない」という(「いぬのふぐり  ―奇蹟のベロニカ―」より。「下記の二種類」についてはこのサイトを覗いて確認して欲しい) 。
 上掲のサイトによると、「和名のいぬのふぐりは、さらにユーモラスで、日本人の想像力の豊かさを示す、優れた名前である。路傍の花の持つ逞しさ、豊かな生命力に通じるものであろう」というのだが、確かに名前はユーモラスではあるが、花のどの部分やイメージを元に、こうした名前が付けられたのだろうか。

 先に進む前に、この頁には「いぬふぐり星のまたたく ごとくなり」(虚子)という句が載っていたので転記させてもらう。
 また、「いぬふぐり」という題名の反戦歌(作詞・作曲 すずきみちこ)があることも付記しておく。
「いぬふぐり囁く足をあとしざり」(阿波野青畝)などというも見つかるのだが、肝心のことが分からない。
 探していたら、「変な名前の由来は、実(み)が扁円で縦にくぼんだ線があり、2個くっついたように見えるところから来たといわれている」という説明を見つけた(「春の使者 -雑木林へ出かけよう!-」にて)。
(ついでながら、この頁で、「ステップで星またぐなり犬ふぐり」(む三四)を見つけた。)
 面白いのは、この名前がユーモラスだと評するサイトもあれば、変だとか、風情のない、可哀想だと評するサイトもあったりで、評価はバラバラだということ。生真面目に捉える人、大らかに捉える人、理解が及ばない人、いろいろあるのだろう。
 引用したサイトを覗かれれば説明が見つかるように、本来の「いぬふぐり」は明治の頃の外来種である「オオ イヌフグリ」に駆逐され、ほとんど目にすることはなくなっているという。
 だから、俳句で言う「いぬふぐり」とは、元々の今ではめったに姿を見ることのなくなった「いぬふぐり」ではなく、「オオ イヌフグリ」のことを指すのだとか(またまた、「閑話抄」の中の
<いぬふぐり>の頁より)。
「いぬふぐり」のことを調べている過程で、「地の星と見ればかなしも犬ふぐり」(蕉雨)や「大空に似たる色かもいぬふぐり」(辰造)などの佳句を見つけた(「花の歳時記」にて)。
 さらには、「鍬の刃に花飛ばすなり犬ふぐり」などという句も見つけた(「2月 (青畝俳句研究)」にて)。かと思うと、「つけられた名前は好きかいぬふぐり」なども(「俳句1993-2005」から)見つかった。
 確かに、お花さん自身に、この名前は好きかいって、聞きたくなる。

 さて、「いぬふぐり」という「変な名前の由来は、実(み)が扁円で縦にくぼんだ線があり、2個くっついたように見えるところから来たといわれている」という説明を見つけたが、他のサイトでは、「種の形がふぐりに似ている為」と説明されていたりする。
 一体、名前の由来は、「実」なのか「種」なのか。「いぬふぐり何と小さき空の色」(牛庵)などが見つかったりするのに、やはり、肝心の疑問が解けない。写真がないかと探したけれど、名前の由来がここにあるという証左が見つからないのだった。
 ガッカリである。
 ただ、案外な事実として、「いぬふぐり」が織り込まれた句が結構、見つかるということ。名前については、ユーモラスだと評する一部の方を除いては、大概の人が、不適切だと感じておられるらしいという点。
 Veronica(ベロニカ)属の花だという。分類上のVeronica(ベロニカ)は、キリストとのある逸話に出てくるキリスト教の聖女ベロニカに由来するという名前。
 やはり、何か可憐な名前こそが相応しいような気がする。

 いぬふぐり地上の星の哀れさよ
 いぬふぐり春を告げんと咲きにけり
 いぬふぐり春を告げるも寂しげに
 いぬふぐり空の青さが愛しいか
 いぬふぐり空の青さを映すのか
 地の星と呼ばれんがため舞い降りし
 ベロニカも目を剥く名前いぬふぐり
 いぬふぐり嫉妬するのか猫の恋
 星屑や落ちて砕けていぬふぐり
 いぬふぐり雪融けの間の星の砂

[ 「一体、名前の由来は、「実」なのか「種」なのか」と疑問を呈しておいたが、今日になって確度の高い典拠を示してくれるサイトが見つかった。もっとちゃんと探しておけば見つかるはずだったが、限られた時間で調べているので仕方ないのだ、などと言い訳しておく。
「6日の季語随筆で「磯竈(いそかまど)」の説明をネット検索していて、下記のサイトを見つけたのである。
  さて、「2月の季語」によると、「広辞苑」からとして、「ゴマノハグサ科の二年草。高さ約一五センチメートル。三~四月頃、葉腋に小さな淡紅紫色の花を開く。実(ミ)は扁円で、縦に凹線があり、二個のように見える。名はこの実の形による。イヌフグリ。ヒョウタングサ。テンニンカラクサ。漢名、地錦」とある。
 つまり、いぬふぐりの「名はこの実の形による」のだとか。ただ、ここには「いぬふぐり」の写真は載せてくれているんだが、「実」のほうは載っていない。その代わり、「いぬふぐり」の織り込まれた句が幾つも載っていて、参考になる。最初にここがネット検索の網に掛かってくれたら助かったのに。 (05/02/06 追記) ]
 

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コメント

昨日、今日と、この記事へのアクセスが多い。
何故。いぬふぐりが流行っているの?

投稿 やいっち | 2007/04/11 22:48

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