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2004/10/07

宵闇の悪夢

 そろそろ宵闇の迫る頃、ふと、目覚めた。夢を見ていた。悪夢に近い。
 某所で父と子の二人連れを乗せた。父とは旧知の間柄である。といっても、久しく、会っていない。昔、会社で一緒だったことがあるという程度。とても、優秀な奴で、仕事もできれば、人望もあり、素敵な人と結婚し、間もなく他のもっと大きな誰もが知る外資系の会社へと引っこ抜かれていった。
 小生は、彼の後任の課長になったのだけど、能力・人望の差は、圧倒的で、仕事のプレッシャーに、押し潰されそうな日々が続いたものだった。その後、小生も会社を首切りの形で辞め、タクシーの仕事に就く。奴とは大違いの人生だ。
 小生は、今では、しがない、うらぶれた中年男。妻子も社会的地位などあるはずもない。彼は、功なり名も遂げて、忙しい中、ひさしぶりの休日を親子水入らずで楽しもうとしている…。
 そんな奴と、十数年振りに再会したのだった。
 行き先を告げられた。全く知らない場所ではないが、知り尽くしている場所でもない。
 少し、道に不案内な面もあり、不安を抱えている。
 案の定だった、小生、当地の間近になったところで、道に迷ってしまったのだった。すぐ、そこに目的地があるのに、辿り着けない。
 そのうち、お父さん(奴)が焦れてきた。小生が、回り道をしているとでも、思っているみたい。
 小生にも、プロとしての意地がある。
「代金は、戴きません。必ず、お届けします」
 が、分からないものは分からない。道を近所の人に尋ねようと、車を降り、あちこちをウロウロ。
 歩道橋の上だったか、交差する陸橋の上だったかで遠望して、なんとなく場所を探り当てた。
 で、戻ると、今度は、バイク(スクーター)を止めた場所が分からなくなってしまった(何故か、タクシーのはずがバイクに変わっている。が、当人=小生は、全然、不思議に思っていない)。
 小生、必死になって、バイクを探し回る。公園を探し、学校の脇を駈け、あったはずの場所を探すのだが、まるで分からないのだった。小生は、バイクの場所が分からず、当然、彼等のところへ、戻れない。
 彼等は、何かチケットのようなものを持っていた。今日だけの特別な入場券らしい。入場の時間には間がある。でも、早く行かないと、退場時間までに楽しむ時間が減っていく…。
 ここでまた、飛躍する。いつの間にか、小生、タクシーの中、後ろには二人。小生は、道が分からず、途方に暮れている。やがて、焦れた二人は、タクシーを降りていってしまった。
 ああ、目的地は何処にあるんだ!!

 その焦りで脂汗を流すところで、小生、目が覚めた。例によって、ロッキングチェアーである。睡眠障害のある小生、寝起きは体がクタクタ。起きるためには、一休みしないと起きる気力が湧かない。
 まして、悪夢に魘されて、尚更、疲労困憊していたのだから、起きれるはずがないのだった。
 タクシー業務を始めた頃のことを思い出す。都内の道など、まるで分からず、日々、分からない地理に苦しんだものだった。
 オートバイに乗っていたし、仕事で車の運転も経験していたけど、そんな知識など、まるで役に立たない。
 行き先を告げられるたびに、戦々恐々なのだ。神経を擦り減らす日々。夕方に見た悪夢も、現実の悲惨さ厳しさに比べたら、万あるエピソードの中の、小さな小さな瑣事に過ぎないほどの日々。

 悪夢より 日々の逸話の 凄まじき

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