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2004/10/19

炉火恋し

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 今朝は危なかった。出勤日ということで、決まった時間に起き(当然、前夜は、早めにベッドに入った)、しっかり食事を摂り(食べたのは、夕べ注文したピザの残り物の唐揚げ類など)、持物をチェックし、さて、仕事着に着替えようとした瞬間、ハッとした。
 あれっ、今日、月曜日……、今週は、火曜、木曜、土曜が仕事じゃなかったっけ。
 手帳を見て、やはりそうだった。今週の月曜日は休みなのだった。
 途端に体から力が抜け、仕事だという緊張感も何処へやら、秋晴れの一日が急にプレゼントされたようで、しばし、途方に暮れてしまった。
 が、ここが若い人と違うところ、外出しようという思いもあったが、一仕事、やってしまおうと思い立ったのである。若かったら、部屋に燻ってなどいないで、オートバイで何処かへツーリングのはずだ。
 今日が仕事だったのだ、と自分に言い聞かせて、久しくやろうと思いつつ、手が付けられないことに取り掛かったのである。
 それは、エッセイの頁から、タクシーやオートバイなど、交通(道路)関係のエッセイやレポートの類いを独立させ、「タクシーとオートバイの部屋」を作ることだった。
 人様には、なんだ、そんなことか、と思われるかもしれないが、小生にはずっと課題になっていた仕事なのである。
 今まで、「エッセイ祈りの部屋」「富山の部屋」「サンバの部屋」「書評と著作の部屋」「駄文・駄洒落・語源の殿堂!」、そして、勿論、小説の部屋(「掌編作品の部屋」「連作掌編の部屋」)や日記の部屋を独立させてきたが、まだ、独立させたい部屋があったのである。
 その一つが、「タクシーとオートバイの部屋」だったのだ。
 ホームページの転居ほどは大掛かりではないけれど、それでも、独立した部屋を作るため、相当程度の時間を費やすことになった。
 この作業には、ご自身がタクシードライバーだという読者の方から、メルマガでもっとタクシーのことも扱って欲しい、という要望を戴いたことも後押しとなった。
 この部屋を作ったことで、今ある、古い文章群に、追々、タクシーをテーマの、タクシードライバーとしてのエッセイやレポートも追加していきたいと思っている。
 前にも書いたが、タクシー(ドライバー)について、小生が納得できる本も文章にも出会ったことがないので、自分で書くしかないのかと思うしかなかったのだ。タクシーという仕事について語るには、やはり相当な準備が要る以上に、そもそも、語り口、切り口において、自分なりの論理を構築していくしかない…、その意味で遣り甲斐はあるけれど、小生には荷が重過ぎる課題だとも思っている。

 この仕事が終わったら、もう、とっくに正午を回っていた。ようやく、読書を楽しむ時間が持てた。仕事をした褒美に読書を少々、というわけである。今は寺田寅彦の随筆集(岩波書店)と白川静著の『中国の古代文学(一)』(中公文庫)などを読んでいる。両者とも、秋の夜長に相応しい本で、ゆっくり読んでいるので、今月中に読了できるかどうか、といったところ。
 が、読書しながらも、片付けるべき雑用が脳裏をチラチラしている。税金などの支払いが溜まっているだ。口座引き落としができなくて、直接振り込みする羽目になっていた。郵便局へ行くことに。3時ギリギリに局に入ったが、そんなに待たされることなく、用事を済ますことができた。運がいい。
 帰り道、図書館へ行こうかと思ったが、過日、本をたくさん、貰ったことだしと思い直し、真っ直ぐ家路に。途中、素敵な、しかし、小生には珍しい花を見つけたので、写真を撮りたかったが、通行人が多く、気の小さい小生は、立ち止まって撮る勇気もなく、後ろ髪を引かれる思いをしつつ、帰ったのだった。

 時間は3時半頃だったろうか。懸念材料も減り、お腹が空いたので、テレビを見、新聞を見ながら、食事。食べたのは、カップラーメンとお菓子。ミカン。

 このあと、某サイトの方から使用の許可を戴いた、クラゲの絵を昨日、アップした、「ディープタイム/ディープブルー」の頁の冒頭にアップする作業を行った。
 この絵、小生のお気に入り。一目見て、あ、この絵を元に、何か書きたいと思った……のだが、「ディープブルー」を最初に書き、「ディープタイム」を次に書いても、得心が行かない。困ったことである。
 でも、絵を載せられて、小生はご機嫌である。
 この日記の冒頭に掲げる絵が、その噂の絵である。描き手は、なずなさんである。ユーモアとセンチさとひたむきさを感じるヴァラエティに富む作品を描かれている。
 これに相前後して、少々ネット巡り。某サイトで、「閑古鳥」という言葉に行き逢う。久しぶりのような気がした。せっかくなので、ネットサーフィンを気取って、語源探索の旅へ。さまざまなキーワードを駆使して、「閑古鳥」の周辺をいろいろ探り、「閑古鳥が鳴く!」という駄文系エッセイを仕立てた。
 こういう文章を書くのは、小生、大好き!
 その過程で、「胡散臭い」とか「眉唾」とか、他に「こじつけ」という言葉について、調べたくなったり。語源探索の旅に終わりはないのだ。

 時刻は五時前だったろうか。絵のアップ作業も終わり、読書しようかなと本を開いて活字を見た途端、眠気に襲われ、ロッキングチェアーで居眠り。何かの夢で目覚めた。部屋の中は、すっかり宵闇に包まれている。外も薄暗い。向かいの工場の窓にも、明かりが灯っている。秋の日は、呆気ないほど、早く暮れていく。
 一人きりで過ごしていると、なんとなく、世間から置いてきぼりを食らったような気分になる。テレビでも見て、気分を誤魔化したいところだけど、読書。そんなに時を経ずに、夕七時に。
 小生のネット巡りの時間である。この時間、お気に入りに入っているサイトを数十個は巡る。書き込みをするのは、そのうちの数個だけで、あとは新作とか更新を(特に日記だ!)を見て回るのである。
 そのあと、読書するかなと思ったが、「閑古鳥」について、新しい情報が入手できたので、続編(補遺)を書いたりして、気がつくと、八時半になっていた。
 少々だけ読書し、入浴…じゃない、シャワー。小生は事情があって、入浴は止めているのだ。
 九時過ぎから、テレビを見ながら、食事。御飯は電気釜で炊いてあるので、あとは、シチューがオカズ。デザートにミカンとお菓子(落雁)。
 食後、掲示板に戴いたメッセージへの返事を書いたり、人様のサイトに書き込みをしたり、気がつくと、夜半だ。早いものだ。
 夜半が近付くまで、今日も掌編を書こうかなと思ったりもしたが、3連荘で創作するのはきついと感じ、取りやめた。今月は、あと三つがノルマ。タクシーの日程がタイトなこともあり、書いておいたほうがよかったのだけど。ま、慌てることもないだろう。切羽詰ったら、シャカリキになって頑張るだけだ。
 そうして、夜半を回ってから、この日記を書き始めているのである。

 さて、今日は自宅にいたこともあり、あまり駄句をひねっていない。どうも、やはり車中とか、散歩の最中とか、そんな動いている時に句が思い浮かぶもののようだ。
 それでも、出来なかったわけじゃないので、幾つか、メモしておく:

(小生が子供の頃、お餅を作るため、お袋が土間の炉で米を炊いているのを横から見て、顔に焔の光が当たって、小皺が妙に生々しく感じられたのを思い出したという、光景である。皺の数が数えられというのは、未だ、肌に艶も張りもあるからこそ、逆に目立つということなのだろう。句の中の、「炉火恋し」は、秋の季語。「肌寒く、火を恋しく感じる頃」の意。)

 笑い皺濃く深くする炉火恋し

(以下は、「閑古鳥が鳴く!」を書いている中で、惰性で作ったもの)

 閑古鳥 我が家の庭で 鳴き荒ぶ
 閑古鳥 嫌われるから やってくる
 閑古鳥 憎まれっ子 世に憚る
 閑古鳥 声はすれども 姿なく
 閑古鳥 元を辿れば 深山なり
 閑古鳥 世が世ならば 都鳥
 閑古鳥 ホントの鳴き声 聞かれない
 閑古鳥 山里で鳴けば 床しかり
 閑古鳥 由緒正しい… でも来ないで
 閑古鳥 祭りの山車に 君臨す
 閑古鳥 我が胸の枝 止まりしか

(下記は、それぞれ、「憂き我を寂しがらせよ閑古鳥(芭蕉)」「ふるさとの寺の畔の ひばの木の いただきに来て啼きし閑古鳥(啄木)」に応じるかのようにして、ひねったもの)

 憂き我も共に鳴かせよ閑古鳥
 ふるさとの 山に迎いて いうことなし ふるさとで鳴くは 閑古鳥のみ

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